壹、異世界から転移してきた魔法使いの卵が無期限で居候することになりました
何を書きたいかがよくわからないby作者
俺、西峯ユウイチは田舎に住む男子高校生だ。田舎といっても、地方の辺鄙な所ではなく、車に乗って少し国道を走れば大きめの街には出られるし、ネットは繋がる。田畑はジジババが管理し、村に住む若者(とは云っても少なくとも還暦までだが)は隣町で働く。俺もそこの高校に通っている。
ある日、家の水が出なくなった。この辺には水道は通っていなくて、山に井戸を掘って、そこから水を引っ張ってきている。完全に個人で所有しているところもあれば、我が家のように何軒かで共同使用しているところもある。丁度、我が家でも個人用の井戸を掘ろうか、と計画していた矢先の出来事だった。
祖父とともに山に入り、井戸の蓋を開けると、井戸は枯れていた。代わりに、ヒトのような姿をした生きのもが出てきた。
長く伸びた薄汚いボサボサの橙髪、つぎはぎだらけの服、そして草鞋のような履物。化け物だ。
「水神様がお腐りになられたお姿だぁ」とか言って祖父は腰を抜かしていた。
「誰が『腐った』だ」
腕組みをしてヒトの女性の声をした化物は威圧的に人間の言葉を発する。
「何者…」
俺はやっとの思いで化物に向かって問う。
「押忍!!私は郡立第一高等魔法学院、二年次期生徒会長候補ノア=オキア、魔法使いの卵だ!!間違えて寝言で異世界転移する魔法の呪文を唱えてここに来た!!」
は??魔法?異世界転移?何を言っているんだ。ノアなんて男のような名前だな。異世界だからそういうこともあるのか。というか、いきなり叫ぶな。
とりあえず祖父の提案で、家に連れて帰って身なりをどうにかしてもらうことにした。
はずだった。
「髪や体を洗うことくらい魔法を使えばここでできる」
「じゃあ俺達あっち向いてるからさっさとして」
「断る」
は?
「この格好は我が校の誇り高き伝統だ」
出たよ、伝統。俺の学校でも伝統とか云って訳わからないことやっているんだよなぁ。まぁめんどくさそうなのを家に入れないだけいいか。警察に引き渡そう。
「ただし…」
彼女が続ける
「お前らの家で暮らさせてくれたら身なりはこの世界に合わせる」
よし、警察に引き渡そう。
だが、もう彼女は身なりを整え終わっていた。まって。かわいい。さっきまで髪で見えなかったが、使う言葉に見合わない顔をしている。欧米というわけでもないし、アジアともまたちょっと違う。なんだろう、漫画みたいな美人。え、かわいい。警察に引き渡すのはやめた。さっきまでの服の割にはいい身体してるし。やばい。俺が変態みたい。でも、え、こういう人漫画にいるよね?なんであんな汚い言葉遣いするの?変な人だ。俺も彼女も。
家族もノリノリだったので、無期限でこの変人を我が家に居候させることになった。
次回はノア=オキアについてと、新しい井戸を掘っていこうと思います。ノア=オキアってアで韻踏んでる…。