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気が付く

勇者視点


* * *


小さいころ海沿いの街で暮らしていたが、その街は魔族によって壊滅的な被害をうけた。

故郷の街はもうない。

仲間と最低限、その話には触れて欲しくないという意味で出自について話したことはあるけれど、それ以上の話はしたことはない。

戦士も同じように一度故郷が魔族に滅ぼされたと聞いた。

魔法使いについて詳しいことは知らない。


お姫様は一目見た時から可愛いと思った。やっぱり貴族階級は違うんだなあと思った。

肌は抜けるように白いし、髪の毛もつややかだ。

穏やかそうな笑顔を浮かべていて美しいと思った。


命をかけて魔王を倒すのであればその成果は報われたいとおもう。

だけど具体的に報われるがなんだかはわからない。

けれど、栄誉を賜れるという事であればそれはきっといいことなのだろうと思った。


だから、それに対して王宮で疑問は持たなかった。


その後教会に向かう。

正式に勇者と認められるためには儀式が必要らしい。


教会の大きな像の前で祈りをささげる。

表れたのは水の塊をふわふわと浮かび上がらせたおとぎ話の精霊みたいな見た目の老女だった。


「悪いねえ、神というイメージからほど遠い私で」


神様はそう言った。

俺は慌てて大げさに否定する。


「神からの祝福は、言葉通り祝いだ、激励でもある。

祝えないと思ってしまったらもうできないんだよ」


悲しそうな目で老女は言った。

神様のいう事はよくわからない。


「さて、祝福をあたえよう」


神様はこちらに手をかざした。

何かが体の中に入ってきたのが分かった。


「祝福が何かは、自分で確認できるはずだよ」


神様はそう言った。

感覚を研ぎ澄ませる。


「やはり、魔王を倒すというのは大変なことなんですね、こんな何百個も祝福をいただけるなんて」


今自分の中に入ってきたものを自分の中側を探るようにするとすぐにそれを知覚することが出来た。


「いや、私が今お前にやったのは1つだけだよ」

「え?」


どういう事だろう。


「何故、そんなにたくさんの祝福があるのかはお前さん自身が探さないといけない」


神様はそう言うと、まあ焦らずに一つずつ確認してくんだねと言った。


「それは魔王を倒すよりも大切なことですか?」


魔王は、魔族は、故郷を滅茶苦茶にした。倒さねばならないものだ。

何においてもそれだけは優先したかった。

二度と俺と同じような目にあうものを出したくはない。


「だから、焦らずおやり」


そんなことはお見通しなのだろう神様はそう言った。


何を確認すればいいのか分からず、とりあえずすでに持っている祝福を一つずつ確認していくことにした。

祝福は思い浮かべるとそれがどういうものなのか分かるようになっていた。

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