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【完結】夜明けの理 魔王を倒した後にいつも死んでしまう勇者と女魔法使いの話  作者: 渡辺 佐倉


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西の勇者

戦士視点


世の中には戦いの中でしか生きられない人間とそうではない人間の二種類に分かれる。

俺は戦いの中でしか生きられない人間だ。


領主となってしまった俺は領地経営を早々に代官に任せることにした。

領民が普通に生きていける様な税にすること、俺が宮廷に捕まる様な違法行為とどでかい税の横領はしない事。

それだけ約束してくれればいい。


領民たちはこの地出身の自分を慕ってくれている。それがどういう意味か分かるか?と尋ねれば代官達は大きくうなずいていた。

暴動になんて巻き込まれたくはないだろう。


そして政務のほぼすべてを任せてしまうと俺は度々魔族討伐に出た。

そしてそれが勇者の手によるものだと雑な工作をした。


僧侶曰く偽装工作は雑でも雑でなくてもどちらでもいいらしい。

どちらにせよ中央の人間は信じるか疑って調べるかしなくてはいけない。

疑って調べられたら人手を無駄なことにさけたのでよし、信じられればそれもそれでよし。という事らしい。


どちらにせよそれが俺だと思われる可能性は薄いだろうと僧侶は言っていた。


俺には元々魔法の適性はまるで無かった。

それは今も一緒だ。


けれど、今は魔法の様なものが二つだけ使える。


勇者からもらった祝福だ。

一つは帰還という祝福。

勇者は転移という祝福も持っている上、彼には帰る場所が無い。

故郷は燃え、初めて家になる筈の王城は彼の家にはならなかった。

だからそれを使えばいいと僧侶は言った。


片道分の時間が無かったことになる。

それで戦士が魔族の残党狩りをしているとは誰も思わないだろうと。


最近、勇者から魔法使いが嘘を言えるようになったと連絡が来た。

あの娘っ子は嘘すらいえなかったのか。

あんな金勘定が上手かったのに……。


ん?


金勘定が上手かったのか?

魔法使いに対してはこういうことがたまにある。

僧侶はそれが大切なのだと言った。

違和感があったものは僧侶に教えて欲しいと。


違和感の内容を僧侶に新たに連絡をする。

それを元に大規模な癒しの祈りを発動させる予定だと僧侶は言っていた。


「西の勇者様ですか?」


今いるのは大陸の西側だ。

そのため最近ではそう呼ばれることが多い。

何も言わず金になる魔族の角等の希少部位を渡す。


「ありがとうございます!!勇者様」


この村人たちに勇者への嫌悪はまるで見られない。

そういう人たちが増えればなあと思う。


ただしゃべることはできないので、村の子供たちの頭をそっと撫でそれから魔族に襲われていた村から立ち去る。


勇者と魔法使いは戦いの中でなくても生きていける人間だと思う。

だから、願わくば戦いの無い場所で幸せになって欲しい。

そう思いながら帰還の祝福を使った。


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