作戦2
俺が殺されないために。
俺にはいくつかの選択肢があることは分かった。
ただもう巻き戻りはあるものとして考えない方がいいと僧侶が言った。
魔法使いの体はすでにボロボロで無理と考えた方がいいらしい。
実際、魔法使いは戦いの時はきれいに魔法を放つものの、それ以外の時会話がおぼつかないことに気が付いた。
そもそもまともに声が出ていない。
魔法の詠唱だって声が出なければ困るだろうに、それでも魔法使いは強かったし魔王討伐はともに行くという覚悟があった。
「権力闘争は楽しいのか?」
俺は僧侶に聞いた。
「人によって向き不向きはありますよ」
たぶんあなたは向いてない。そう言われて苦笑いをした。
自分でも何となくそう思ったし、以前の俺がやろうとしては何度も失敗して死んでいた。
「じゃあ、取れる道はそれほどないなあ」
俺が言う。
「あなたの優先したいことは?
私が協力できることであれば協力します」
「俺が協力できることも協力するぞ」
俺のしたい事。
俺が魔王をしたらやりたいこと。
「多分報われたかっただけなんだよな」
俺は思わず言ってしまった。
そして、それからすぐに「……本当に報われなきゃいけないのは」と呟いてしまう。
本当に報われなきゃいけないのは俺ではないと思った。
俺ではない。
何かを失いながら、俺の死を悼む彼女ではないのかと思った。
「彼女が本当に俺を救うために時を巻き戻しているのなら、それに報いたい」
俺は僧侶と戦士にそう言った。
呪いにかかっているのであればそれを解いてあげたい。
それは勇者がお姫様と結ばれることよりも必要なことに思えた。
僧侶はまるで俺が最初からそういうと知っていたみたいにニコリと笑顔を浮かべると、「それならいい提案があります」と言った。
コン○イじゃないので提案は大丈夫なやつです。




