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暗号少女  作者: さかいおさむ
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僕の暗号戦記

今回はメアリの暗号とビジュネル暗号の解読についてダサくて頭の悪い男子の小説仕立てで解説します。


まずあなたが学校に来なくなった理由を教えてくれる?

学校の生活指導員の英子は僕に聞いてきた。

今まで誰にも話してこなかったことだ。

本当は誰にも話したくなかったんだが、今となっては誰かに言っておきたかった。

一人で秘密に耐えるにはあまりに苦痛だったからだ。


僕には好きな人がいた。

その人は女子じゃない。断じてかわいい女の子じゃない。

僕が好きだったのは、僕のクラスのある男子だった。

僕は彼への思いを告白もできずに募らせていった。

告白なんかしたら、僕の居場所はクラスからなくなってしまう。

それが怖くて誰にも言えなかった。

でもそれに気づいたやつがいた。

クラスでトップの、いや、学校で一番頭のいいマリという女子だった。

そしてマリも彼に思いを寄せていたのだ。

マリは頭もいいし男子からも持てる。

いわば学園の女王だった。

彼女は僕の着けている日記に目をつけて、体育の授業で校庭にいる隙に日記をかすめ取ったのだ。

でも僕には自信があった。

そういう事もあろうかと暗号で日記をつけていたのだ。

僕には暗号が解けないという絶対の自信があった。

だからもし解かれたら、そんなことは考えもしなかった。

でも彼女は簡単にそれを解読してしまったのだ。

僕の使っていたのはメアリの暗号と同じだったのだ。

マリは僕の暗号日記から使われている記号の数が50個ある事を特定し、日本語のひらがなで書かれていると判断した。

そしてそれぞれの文字の出現確率を統計の知識で割り出して、暗号を解読したのだ。

僕は死ぬほど恥ずかしかっただけでなく、どうしようもない絶望に襲われた。

これでもう僕の人生はおしまいだと。

これだけは知られたくなかったのに!


僕は家にこもりがちになり、ネットで暗号の知識を集めまくった。

絶対解かれない本物の暗号が欲しかった。

そしてそれは彼女へのリベンジが目的だった。

次に見つけたのはビジュネル暗号だった。

コンピュータに目を付けたのはつい最近だ。

そのあと彼には嫌われてしまったのだが、今となってはどうでもいいことだ。


兎に角それが僕の暗号を勉強しようとした最初のきっかけだった。


学校で居場所をなくした僕は、引きこもり支援団体の作業所で同じ性的指向を持った男子と巡り合う。

彼と僕は恋愛関係になったが、ともに両親や作業所のメンバーには秘密にしていた。

ある日その恋人が自殺したと僕は聞く。

そして色々調べた挙句、マリがパソコンをハッキングして、暗号メールを解読して彼の両親に証拠を送ったことが原因だと分かる。

サイコパス-マリは、僕の家の前で待ち伏せして、僕にこういう。


「彼氏が死んだってどんな気分?どのくらい悲しかった?」


僕はマリへの復讐を誓った。

彼を殺したのはこいつだ!

その時僕はビジュネル暗号を使って彼とメールをしていた。

デートの約束とかだ。

然しその暗号も既知平文攻撃で破られてしまった。

僕に残されている道はただ一つ、破れない究極の暗号を作る事だった。


僕はなぜ暗号が解読されたのか調べてみた。

その結果次のようなことが分かったのだ。

暗号の解読法には大きく分けて4つある。

最も困難なのは選択暗号文攻撃である。

以下、難易度が高い順に書いていくと、


1.選択暗号文攻撃

2.選択平文攻撃

3.既知平文攻撃

4.暗号文単独攻撃


である。


マリはその中から最初、暗号文単独攻撃を試したらしい。

それは菓子スキー検査というちょっと込み入ったものだった。

然し彼女の能力でその程度のことができないはずがない。

鍵はパスワードの長さだった・・・


続く。


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