18話・ミイサの思い
「く、首?!首?!」
カナタは魔獣の首が落ちていたりことに気づいて、大声を出す。
「うっせ」
フラベルがその声に起きる。
「今のは…」
ミイサがフラフラながらにも立ち上がり、カナタの側に寄る。
「ミイサっ!ごめん!
その、真似しました…その、技を…」
ボソボソ言いながら、手を合わせ、頭を下げる。
そして剣をミイサの鞘に入れた。
「ふふ、別にいいわ。だって、
私の技より、完璧にその技を出来ていたのなら」
剣を取り出し、ベルトで固定した鞘を持って、
「はい」
ミイサが鞘にしまった剣をカナタの前に差し出す。
「は?」
「だって、貴方魔法も使えない、
武器もない。そんなんじゃ死ぬわ。
なら、あげる、これ。
だって、この剣に私は所有者として
認められてないから。
月の剣がカナタに呼応したのなら、
貴方が剣の所有者として相応しいと言う事。
だから、これはカナタにあげる」
ミイサが鞘を撫でながらそう言った。
「ミイサ様、本当によろしいのですか?
こんなのにあげても…」
「いいのよ、私は剣を使うのに向いていないし
それに、私、魔法の方が向いてるもの。
帝王の背中を追いたくて、始めた剣の修行。
私はほとんどの属性の魔法が使える。
だから!いいの。剣はカナタに。
だってカナタ、魔法が使えなさそうだし」
そう言って、ミイサは指を頰に当てて言った。
「アンタも!ミイサ様の剣なんだから、
大事にしなさいよ!」
フラベルがカナタを指差した。
「わかってる。でも本当にいいのか?
大事な帝王からの…」
「いいのよ、私は」
ミイサがそう言って、カナタの手を握って、
「だから、だから、私が」
そこまで聞こえるような声で言って、
「なくなった、………ても、……つにしてね」
途中途中本当に小さな声で言って、
なかなか聞き取れなくて、カナタは聞き返す。
「今、なんて?」
「なんでも、なんでもないよ」
ミイサはそうして微笑んで目尻に少し涙があった。
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