17話・カナタには…
「2人ともっ!」
カナタが急いで2人のところへ向かう。
「まっ、たこいつ何もしなかっ、た……」
死にかけのような声でフラベルが言うと、
ミイサが立ち上がって、フラベルに治癒魔法を施す。
「ミイサは大丈夫なのか?」
「平気…っ…」
ミイサがカナタに体を預けて、後ろに倒れた。
「ミイサ…っ!!」
カナタはミイサを揺さぶる。
「そっとしなさい。寝てる、だけだから…っ」
「大丈夫か?」
「大丈夫よ、あんたに心配されなくたって」
フラベルが強がる。傷は治っているが、使った魔力の量は絶大。
「本当か?」
「本当よ」
「絶対?」
「何回もうるっさいわね、アンタ何もしてないん
だ、か…ら……」
そう言った後に、フラベルが倒れた。
「2人とも…」
死んではいない。死にもしない。ミイサは自分で魔力を使い、内側から治癒したし、フラベルもミイサに、治癒してもらっていた。死にはしない。だが…
「ガルルルルルルルル」
その声が聞こえた。
カナタは振り返る。
「ガゥゥゥゥルルルルルルルル!!!!!」
右目がない鼻が欠けている、開けた口元からは
舌も歯もない魔獣がカナタを襲った。
ミイサから月の剣を奪い
剣先を魔獣に向けて剣を握る。
「ガゥルルルルルルルル」
突進してきた魔獣にカナタは為す術もなく殺された。―わけではなかった。
「ら、ら、終死!」
カナタはミイサがやった技を再現する。
再現しかできない。だが…
(カナタのような並の人間が再現できるわけなどない。なのに再現をしている。元の技より上手く、魔力を制御できている。)
ミイサがそう思いながら、カナタと魔獣との対決を見ていた。
助けたいのにできない。動かないミイサはそれを見た。月の剣がカナタに呼応した以上、ミイサの出る幕は無い。
そのままカナタは目を瞑りながら、剣を振る。
「ガゥルルルルルルルル……」
鳴き声が途中で止む。
なぜなら、魔獣の首が落ちていたから。
(なんで…月の剣がなぜ?あんなにも強く光った?なぜ?なんで?私は月の剣の所有者として剣から認められていなかった。だけど、あれは、帝王が使っていた時よりも光っている…なんで?でも、まさか…)
カナタは気づいていなかったがカナタが剣を振るった直後、剣が強く強く光った。
カナタには秘めざる力が…―
ミイサはそう考えた。
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