15話・魔王リッチェ
「パーティー…いいわね」
ミイサはフラベルにそう言った。
「貴方もどう思うわけ」
フラベルはそうカナタに言った
「いいと思うよ。俺は、
ミイサに養ってもらうし」
「は?私、養わないけど。
女に養ってもらうとか、恥とかないわけ?」
「恥なんてもう捨てたわ!」
「なんで威張ってるの、この男…」
フラベルにそう睨まれたカナタは…
「だー!パーティー?漫画でしか知らねーけど、
やってみてーわ!どうせ、
こんな俺みたいなのはこの世界で
長生きできないのだろうしよ!
やれそうな楽しいことなんてなんでもやってやる
どんとこいや!」
カナタはなぜが胸を張って言った。
「ミイサ様、この男頭おかしいです」
「大丈夫、元からよ」
「酷っ!きずつく!」
カナタは心に深いダメージを受けたように
地に膝をつく。
「そんな大袈裟な…ふふふ、はは!」
ミイサは口に手を当てて笑った。
倒れたカナタに手を差し伸べて、
「やりましょ!私達のパーティーってもんを!」
太陽より眩しいその笑顔を見せたミイサに
カナタは頰を赤らめた。
そして立ち上がり、フラベルを見た。
「ミイサ様、この男私をじろって見て来ます」
ミイサの背後にフラベルは隠れる。
「ちげーよ、お前はいいのか、俺とパーティー」
「いいですよ。ミイサ様が言ってるので。
私は貴方のこと、こうは言ってますけど、
ちゃんと認めてますし」
「可愛いとこあるじゃん」
カナタはフラベルに近づく。
「キモい!」
フラベルはカナタを拒絶する
「傷つく!」
「ふふ」
ミイサはその光景に笑った。
「おやぁ、裏切り者のフラベルちゃぁん」
後ろから甘ったるい女の声が聞こえる。
「リッチェ…」
フラベルは睨む。
「こんにちは、アタシ、魔王リッチェ。
そして、君たち3人を葬るもの」
「魔王…死の地へ招く者!」
剣を持ち、リッチェへ向かう、ミイサ。
「無駄っ!」
リッチェの前の魔法陣で剣が跳ね返される。
「なっ」
「ミイサ様!」
フラベルはミイサを蹴り飛ばし、
リッチェと相対する。
「アタシ達側に戻って来たら、
全員無事で済ますわ」
「ミイサ様を裏切るなどしない。
第一、魔王に恨みしかない。
強制的に忠誠を誓わされていたのは
これのせいでしょう!」
フラベルは首輪を無理やり引きちぎる。
「それを破壊!できるなど」
「私が魔王に忠誠を誓うのが嫌と言う思いやり
ミイサ様への、愛情と忠誠の方が大きいから
破壊できたのよ。真の力を発揮するわ」
「真の力だと?そんなのできないに決まってる」
「さあ?」
フラベルは自信を覆う覇気に力を込める。
「レクイエムフレアっ!」
一般的な魔獣より大きい、炎の球を
上空に出して、それが旋回する。
そして、リッチェへ炎が落ちる。
それを食らった、リッチェは無事では済まないはず。なのに―
「あーはっはっはっはっ」
笑って炎の中から出て来たのは、
リッチェだった。
右腕は焼けていたが、それも、軽くだ。
重症ではない。
「油断を!死の地へ招く」
技を詠唱し切れず、ミイサの脇腹にリッチェの拳が強く入る。技を放てなかったミイサは、
「クハッ……」
剣を手から離し、空高く舞った後、ミイサは地面に強く転がり落ちる。
「ミイサ様を!」
「ミイサ、ミイサ、うるさいわぁ!」
リッチェが100本以上の短剣を魔法で作り出し、
フラベルに向けて放つ。
「フレア!」
炎で結界を張るが全部の剣を抑えられない。
10数本体に刺さる。
「うっ…」
フラベルは地へ跪く。
「あとはお前だ」
リッチェとカナタが相対した。
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