12話.魔獣
12話目です
「魔獣??!!」
カナタは後ろを振り返ったが遅かった。
だが―
「回復が少し、まぁ遅れちゃいましてねぇ」
ミイサは半魔人。自動回復なぞ、簡単なものだった。
「ガウルルルルル!!」
魔獣は威嚇するように吠える。
「うるさいな、黙って欲しいな。」
剣でミイサは魔獣の首を斬り落とそうとする。
「ガルルルル!!」
そう威嚇し、魔獣がミイサは殴り飛ばす。
「チッ。キモいな」
ミイサはそう吐き捨てて、
「壊破割!」
魔獣を、頭から足にかけて縦に真っ二つに切る、
ミイサ。
「ガルルルルルルル!!ブワゥヴヴ!!」
魔獣は吠えて、ミイサを踏みつけようとする。
「っ!??ヤバい…」
ミイサは目を見開いた
「危ねぇ!!」
カナタはミイサを魔獣から離れるように
蹴り飛ばした。
「カナタッッッ!!??」
ミイサはその光景に愕然とする。
踏みつけられてるカナタがそこにあった。
「ミイサ………」
カナタは最後の声を振り絞ってそうミイサの名前を
呼んだ。
「ガルルルルルルル」
魔獣の足はカナタを踏み潰す。
「離れろ!魂崩壊」
ミイサは鬼気迫る顔で魔獣を千切りにする。
「グルルルルルルルル!」
それは魔獣の最後の咆哮だったのだ―
「カナタっ、カナタっ、ねえ、ねえってば!
返事して!お願いだからっ!!」
ミイサは目から涙を溢しながら叫ぶ。
「……………」
カナタは無反応だった。
「回復魔法治癒の神』
回復魔法をカナタにかけるミイサ。
「起きて起きて起きて起きて」
ミイサは呪文を唱えるようにその言葉を
口にする。
「うっ。ミ…イサ。」
カナタは苦しそうに言う。
「カナタっ!?今から帝都へ戻るから!
もう少しの辛抱よ!我慢してね!
治癒の神!」
ミイサは急いで言う。
「俺は平気だ。」
カナタはミイサに心配をかけたくなかった。
だが、平気なわけがない。回復魔法の上位種である
治癒の神でも治さないともなれば
相当な重症だった。事実、血が止まっていなく、
口からは血が流れる一方だった。
「バカなこと言わないで今から運ぶから」
そうミイサは宣言した後、
カナタをお姫様抱っこする。
「ミイサさん?!」
カナタは照れるように言う。
「喋んないの!!」
そうミイサに怒られるカナタ。
―――――――――――
「シュリエル!!カナタのこと治せそう?!」
ミイサは急いで、最上治癒術師シュリエルに
頼み込む。
「うーん。かなりの重症だねぇ。治せそうだけどぉ
全て完璧にぃ、ってのはぁ、無理かもぉ。
だけどぉ、この窮地から助け出すことは可能よぉ」
シュリエルはいつもの口調でそう言う
「お願い!早くっ!」
ミイサはシュリエルを急かす。
「はいはいぃ。頑張りますよぉ。」
シュリエルはそう言って、カナタの治療を始める
「かなり重症だねぇ。これはぁ。
どうしたのかなぁ?ミイサ殿。」
シュリエルは治療をしながら、ミイサに問う。
「魔獣が、それにバランが操られてて…
ってあれ?バランはどうなったの??!」
ミイサは、ハッとしたようにそう言う。
「どうしましたのぉ?」
シュリエルがそう問うても返事をしないミイサ。
「ミイサ殿ぉ?」
シュリエルは不思議そうに尋ねる。
「バランを追ってくる。その間のカナタのこと
よろしく頼むわね。シュリエル。」
ミイサは部屋を急いで飛び出して行った。
「ミイサ殿…」
シュリエルはそう言いながらもカナタの治療に
専念していた。
「これは、かなりの重症だねぇ。私がいなかったら
死んでたかもによぉ。」
シュリエルは目覚めたカナタにそう告げる。
「俺生き返ったのか。うわぁ。マジ死ぬかと思った
こんな思いはもう懲り懲りだな。」
そうカナタは苦笑いをする。
「それとあなた、ありがとうございます。」
カナタはシュリエルに礼を言う。
「そんなぁ。ミイサ殿の頼みだったのでねぇ。」
シュリエルはカナタにそう言った。
「ミイサは?」
カナタはシュリエルに尋ねると
「バランという人を追いに行きました。」
シュリエルは的確に応える。
「バラン?まさか操られたやつを?
あれは俺が追い払ったはず。でもまだ殺してない
あれだとミイサが危ない。俺も行こう」
カナタは自分が足引っ張りだとわかりつつも
ミイサを危険に巻き込みたくなかった。
「そんなぁ!危ないですよぉ。君はまだ、
病み上がりなのぉ。ゆっくり休んでてぇ。」
カナタをベットに横たわらせるシュリエル。
「でも!!!」
カナタは起き上がる。
「ミイサ殿は相当な実力者ぁ。君がいなくても
大丈夫ですよぉ」
シュリエルはカナタを落ち着かせる
でも嫌な予感がしたカナタ。
その予感はそう簡単に当たらないように思えたが―
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