7話 入試会場にて
7話 入試会場にて
試験前日になった。
こんな短期間でよくここまで出来るようになったと思う。
最後にクラッチさん本人と戦ってアドバイスをもらい、学校までの地図ももらって、完璧!
...だと思ったんだけどなぁ~。地図ってどうやって見るんだ?これどこの道だ?貴族街どれも建物が大きすぎるし細道が多すぎる。
当日道に迷ってしまった。
最終集合時間まであと1分。通りすがりの騎士から道を聞き出す。どうやら反対方向に歩いていたようだ。
足に稲光を纏わす。騎士の制止を振り切って一気に走り出す。10秒ほどで純白の校舎棟にたどり着いた。
「名前は?」
「エバン·ロベルギアです」
「君下層民じゃないか。ここは魔道を使えるものしかはいれないし貴族街にはいるのは犯罪だ」
やっぱこうなるか。
「魔道なら使えます」腕に稲光を纏わす。
ぎょっとする試験官に受験票を渡し、中に入っていく。
参考保証人欄にクラッチと書いてあるのを見て、さらにぎょっとしていたがまあいい。
受験生らしき人たちが集まっているところに入った。屋外ステージのようなところが出来ていて、壇上にクラッチさんを含む教師たちが立っていて、クラッチさんが話し始める。
「冒険者となるため、決意をひめて、今日ここに集まってくれた諸君にまず礼を申し上げる。ではこれより、第59回冒険者ギルド「牙狼」選抜試験を始める」
見回した感じ受験者はざっと100人。ここから20人まで絞られるから、倍率は5倍といったところか。
「試験は幻影決闘結界内部でおこない、最後の1人が残るまでのバトルロワイヤル形式とする」
みんながざわめいた。当たり前だ。幻影決闘結界は結界内部の者の全ての情報を写しとり具現化してその中に自分の自我を入れて戦う「幻影決闘」のための結界だ。
この決闘においては全てが現実と同じように感じられる。そしてバトルロワイヤル形式ということは、他の受験者と殺し合え、ということで、死ぬという感覚もあるため、精神的にもかなりリスクのある戦いになる。
昨日クラッチさんが幻影決闘のことを教えてくれたのはこのためだったのか、と思う。
「戦いの舞台はこの学校だ。9時半になったら結界を展開する。飛ばされる場所はランダムだ」