5話 勇者と俺
第5話 勇者と俺
「魔族を倒し、一躍魂刻魔道を使えない者たちの英雄となった彼に対して王族は危機感を抱いた。使える者より、使えない者の方が数が多いからな。反乱を恐れ、自らの保身を重要視した王は、彼を暗殺し、階級制度を作り、国民を厳しい統制下においた。たぶんこの事実を知っているのは、俺しかいない」
衝撃的な話だったし、なにより国に対して怒りがわいてきた。それと同時に一つ疑問が浮かんだ。
「でもその人は魔道を使えないんじゃない?」
「そうだね、実は魂刻魔道以外にもう一つ外魂魔道というのがある。これは、魂の場所を把握しなくても、魂の知覚さえ出来れば、制御するだけで出来る。これは下層民でも、条件さえ満たせば上手く使える。そしてその条件を満たしているのは魔族を封印した勇者、そして君だ」
「エバン君と勇者に共通すること、それは魂の密度がそこらの貴族と比べても段違いに高いってこと。外魂魔道は単純だが威力が高い魔道だ。しかしそれと引き換えに膨大な量の外魂魔力が必要になる。一回の戦闘で使えるのは長くて5分。
けど君みたいに段違いの魔力を持つ人は半永続的に使える」
「と、いうわけで、この1か月間で俺が君を外魂魔道のスペシャリストに仕立ててあげよう。では復習問題、外魂魔道を使うのに必要なことは?」
「えっと、魂の知覚と制御」
「そのとおり、まずはこれを一週間でマスターする」
マジかよ...
「まずは魂の知覚からだ。これに必要なのは集中。最初は難しいけど一度出来ると簡単に出来るようになるから」
とは、言われたもののまさか飲まず食わずでやらされるとは思っていなかった。