4話 授業ー魂の解説
4話 授業ー魂の解説
「さて、魂について説明しよう」
そう言うとクラッチさんはいきなり手のひらに炎を出現させた。ぎょっとする俺に対してクラッチさんが言う。
「そういえば言ってなかったか。俺の魂刻魔道は、偉大なる太陽、熱や炎を操る魔道だ。この炎は俺の魔力で作ってるんだ。俺は火傷しない」
唖然とする俺をよそに、彼は説明を続ける。
「魂の構成は炎と似ている。一番内側の最も魔力密度が高い部分を魂心、外側にいくにつれて魔力の密度は小さくなっていく。一番外側で最も密度が低い部分を外魂、外魂と魂心の間を内魂と言う」
魂は炎か...少しイメージしやすくなったかもしれない。
「魂は通常、水槽を泳ぐ魚のように体という器の中をゆらゆらと漂っている。だから魂刻魔道を使うには、自らの魂がどこにあるかを常に把握、必要なときに制御することが必須となる」
「でも、それと階級制度に一見関連は無さそうですけど」
「実はあるんだ。下層民は魂の場所を把握することが出来ないんだ。つまり、下層民は魂刻魔道を使えない」
「でもそれだけでこんなに待遇が違うのはさすがにあんまりじゃないか...」
「君は魔族について習ったことはあるか?」
「それはあまり覚えてないけど少し習った」
魔族とは、俺たちの世界と違う世界に住む者たちで、争いを好む狂暴さがある。遥か昔、人間に戦争を挑み、当時の王の手によって異界に追放されたと習った気がする。
「俺も自分で調べる前は当時の王が魔族を倒したと思っていた。俺は一時期王立図書館の司書をしていたことがあって、蔵書を整理してるときに昔の文献と俺が習ったことに何個か矛盾があったんだ。深く疑問に思ってね、任期だった2年間、事実を求めて調べてまわった。俺もこんなことがあるとは思わなかったが、魔族を異界に封印したのはエバンたち下層民と同じく、魂の場所を把握することが出来ない者だった。しかもその者は、当時の王に暗殺されている」