3話 修行スタート!
3話 修行スタート!
「辛いこと思い出させちゃったかもな。わるい」
「大丈夫です。今まで親のこと考える暇なくて、ちょっと考えてただけです」
「そうか。さっきの質問の回答だ。今向かっているのは俺の修行場みたいなところだ。1か月後に俺の運営する冒険者育成学校の入団試験がある。君に試験資格を与えるため、1か月間修行してもらいたい。単純な話、君みたいに才能のある人が埋もれていくのはもったいないからね」
街から少し離れた山にその修行場があった。ざっと小さな家くらいの大きさだ。
一つ目の部屋にはいると、机をはさんで椅子が2つおいてあった。
「さあ、座ってくれ。一つ目の修行を始めようか。まあ、今日するのは授業だけど。俺は飲み物を持ってくる」
やがて2つのグラスともにクラッチさんがやって来て向かい側の席に座った。氷の浮いたそのグラスには、茶色の液体が入っている。
「これ何です?」
「まあ飲んでみなよ」
「あ、おいしい」
はじめて飲んだけれど、こんなにおいしいものを飲んだことがなかった。甘くて、牛乳みたいなコクがある。
「アイスココアだよ。気に入ったか?
それはそうと、授業を始めよう。
まず問題だ。貴族階級、中流市民、下層民の違いとは何か?」
「え、所得とか、収入の違いから自然に差が生まれたんじゃないの?」
「それは後の政策でそうなっただけだ。元々の違いは、魂刻魔道が使えるかどうかだ。何を言っているか分からないだろうから、まずは魂について説明しようか」