表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手のひらサイズの恋 〜小人と人間のサイズ差ガールズラブストーリー〜  作者: 穂鈴 えい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/107

それぞれの恋 5

綾乃さんとの夏祭りを楽しみにしながら、帰りにリリカと桃香ちゃんと合流したのだった。いつものように桃香ちゃんの手のひらの上にリリカが乗せられて、綾乃さんの手のひらの上にアカリが乗せられて家に帰っていたのだけれど、リリカと桃香ちゃんの様子が少しいつもと違っていた。


2人とも、なんだかいつもよりも静かだった。距離があるから、詳しいことはわからないけれど、何かあったのはほとんど間違いなさそうだ。


「あの2人喧嘩でもしたんですかね? あんなに静かなリリカ久しぶりに見ます」

人間へのトラウマが蘇ってしまったのだろうか。まさかと思うけれど、桃香ちゃんに何かされてしまったのだろうか。不安が次々頭に浮かぶ。


「どうかしら、わからないけれど、桃香もいつもより元気がなさそうね……。ていうか、なんか緊張してる?」

綾乃さんも不思議そうに見ていた。


「ねえ、桃香」

綾乃さんが桃香ちゃんに声をかけていた。

「な、なんですか?」

慌てて後ろを振り向いた拍子にリリカを持っている手が傾く。


「モモカ、落ちちゃうわ!」

「えっ、ごめんねぇ!」


慌てて手を水平に保とうとしてバランスを崩しかけたけれど、なんとか均衡を保った。その代わりに、強引にバランスを取ったから、リリカと桃香ちゃんはお互いに至近距離で顔を合わせてから、パッと視線を逸らせて恥ずかしそうにしていた。


「ねえ、あなたたち何かあったの?」

綾乃さんがジッと桃香の方を見つめていた。

「ねえ、リリカ、今日ちょっといつもと違うけど、どうしたの?」

アカリも尋ねたから、2人とも顔を見合わせてから、ほとんど同時に声を出す。


「えっと……、わたしたち付き合うことになったからぁ……」

リリカも一緒に間伸びした声で答えた。


「えっ、良かったわね、おめでとう!」

アカリが言った後、綾乃さんも、良かったわね、とホッとしたような声を出した。2人ともお似合いだったから、アカリまで嬉しくなった。


「ねえ、どっちから告白したの?」

アカリが興味津々で尋ねた。


「桃香から」「リリカちゃんから」

2人とも同時に真逆のことを言っている。


「ちょっと、桃香嘘つかないでよね! あんたが先に『リリカちゃんと恋人同士になれたら楽しそう』って言ってたじゃないのよ!」

「リリカちゃんこそ嘘つかないでよ! 『じゃあ、恋人同士になっちゃうって?』って言ってくれたの、リリカちゃんのほうじゃんかぁ!」


「はぁ? わたしは提案しただけ! 乗ってきたのは桃香でしょ?」

言い争いをしている2人を見て、呆れたように綾乃さんが呟く。


「ねえ、あなたたち本当に付き合ってるの?」

「付き合ってるよぉ! リリカちゃんがモモカと付き合いたがってるんだからぁ!」

「桃香がどうしてもっていうから、仕方なく恋人になってあげてるのよ」


どうやら、さっきまで元気がなかったのはいろいろと緊張していたからのようだ。少ししたら、今みたいに普段通りに痴話喧嘩を初めてしまっていた。しかも、今回は恋人同士の本当の痴話喧嘩。付き合うことにはなったみたいだけれど、今までとあんまり関係性が変わっていなさそうで、とても微笑ましかった。


(わたしもいつか綾乃さんとそんな関係になれるのかな……?)

そっと見上げた綾乃さんの顔は、いつもと同じように凛々しくて、カッコよかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いきなり恋人同士になっちゃってますね。この2人展開速いです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ