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手のひらサイズの恋 〜小人と人間のサイズ差ガールズラブストーリー〜  作者: 穂鈴 えい


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リリカの怪我 7

気付けば、お昼過ぎにやってきていたのに、すでに日は暮れていた。


待合室で待たせてもらっていたのに患者が来なかったのは、今日が午後休診日だったからなのか、それとも緊急の手術だったから、臨時で休診にしてくれたのかはわからない。誰もいない日当たりの良い待合室には、アカリたちの不安な気持ちなんて気にせず、穏やかな日差しが差し込み続けていた。


待っている間、ずっと緊張感は収まらなかった。ただじっと、リリカの手術が終わるのを待っていた。


沙希さんも一緒に待ってくれていた。今日が初対面で、しかも始めはアカリは意地悪な態度をとってしまっていたというのに、ずっとアカリのことを手のひらに乗せて、指を抱かせてくれていた。


それからもまたしばらく待っていると、神妙な顔つきで、先ほどリリカを連れていった女性医師がツカツカと待合室のほうに歩いてきた。アカリも沙希さんも同時に女性医師の方を見る。


「リ、リリカは……?」

「一命は取り留めたわ」

朗報の筈なのに、女性医師の表情は神妙な顔つきのままだったから、アカリは不安になる。


「あの……、リリカはもう大丈夫なんですよね? 治ったんですよね……? リリカとはまた会って、おしゃべりできるんですよね?」

急かすように尋ねると、女性医師が重たい口を開いた。


「無事に意識は戻ってきているから、明日にでも話すことはできると思うわ。ただ、もう左足を動かすのは難しいと思う……」

その言葉を聞いて、アカリの表情が固まった。


もちろん、リリカの命が助かったことは、何にも変えることができないくらい嬉しい。だけど、女性医師はリリカの足はもう動かないと言う。その事実はとても重たい。


アカリやリリカたちの住んでいる集落は森の中にある。昔から周辺に住んでいる動物たちは、不思議とアカリやリリカたち小人族に対して友好的だから、怯える必要はない。だけど、集落に住んでいると、それ以外の脅威が山ほどあるのだ。


時々他所からやってきた動物たちが集落を襲ったり、人間に見つかってしまったりするリスクもある。ちょっと強めの雨や風のような自然現象だって、小さな体ではとんでもない脅威になる。そんな場所で充分に身動きが取れないというのは致命的なのだ……。


アカリが塞ぎ込んでいると、女性医師が「こちらに来てもらえるかしら?」と手招きをした。アカリは沙希さんに連れられて、一緒についていく。


「リリカさんの症状について、うちの旦那から説明があるから、ここで聞いてもらってもいいかしら」

連れて来られた人間向けの診察室の真ん中にはテーブルがあり、その上に小さなデスクや、ベッド等の医療器具が置かれていた。そのテーブルの上にはアカリと同じくらいの大きさの男性医師がいた。


そして、診察室の端っこにもまたテーブルあり、清潔そうな透明なプラスチックケースの箱がある。プラスチックの壁に守られた箱の中には仕切りがある。部屋がいくつかに別れていて、その中の一つに、左足を大きなガーゼで包まれたリリカが眠っていた。

その姿を見て、「リリカ……」と無意識のうちにアカリの口から名前が漏れていた。


「とりあえず、わたしたちは外に出るから」

そう言って女性医師と沙希さんは会釈をしてから外に出ていく。


お別れの前に、アカリは机の上から沙希さんの方に呼びかける。

「あの、沙希さん。今日は本当にありがとうございました……。もし沙希さんに助けてもらえなかったら、きっとリリカは……」

そこまで言って言葉が止まってしまう。


そんなアカリの心を察してくれて、沙希さんは優しい声を出す。

「気にしなくていいよ。その代わり、リリカちゃんが治ったら、アカリちゃんとリリカちゃんの写真撮らせてよ」

「写真?」

「そう、わたし写真撮るのが趣味なんだ。アカリちゃんもリリカちゃんも可愛らしいから、きっと良いのが撮れると思うから」

「撮るだけなら、もちろん良いですけど……」


アカリの答えを聞いて、沙希さんが、やった、と小さく声を出してから、手を振ってくれる。

「じゃあ、約束ね。早くリリカちゃんにも元気になってもらわないとね!」

笑顔の沙希さんを見ながら、はい、とアカリは小さく頷いてから、手を振り返した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 机の上にまた机、これは面白い光景ですね。 [気になる点] なんか最初から今までこの物語には男性キャラは直接登場がなくて、やっと登場したと思ったら台詞がないですね。
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