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3歳の誕生日。俺は父と姉と共にに教会へと向かっていた。
教会では3年ごとにスキル鑑定ができるようになっているみたいで、今日は生まれて初めてのスキル鑑定だ。
「リュウイはどんなスキルがあったらいいと思う?」
父がそんなふうに聞いてきた。
「おれは剣士になりたい!」
こんな親子のやりとりは、誕生日の前にはしょっちゅうである。しかも村の中ではこんな感じのやりとりなんて、そこらじゅうで見られるようなありふれた光景だったりする。
「レイナおねえちゃんはどんなスキルがあったの?」
「わたしは〈癒し手〉って言うスキルがあったよ〜。なんか治療とか回復魔法とかが得意になるから、病院の先生に向いてるって言われたかな〜」
姉のレイナは今7歳。生まれてからすでに2回のスキル鑑定をしてもらっている。
本来は親が教会に連れて行き鑑定結果を聞くのだが、レイナお姉ちゃんはお祝いだからと言って一緒に付いてきてくれている。
ま、実際は暇だから一緒にいるとかが本音だと思うが。
「それより、おねえちゃんは来年の見ならいしごとって何にするの?」
8歳になると見習い学校と言って、なりたい仕事に応じた学校に通う事ができる。
基本的には基礎教育と専門教育の2つを一緒に学ぶ教室みたいな場所で、そこで言語・算術・歴史を学びながら将来に向けた教育も行う。
もちろん一般学校もあり、基礎教育だけを行う学校もあるのだが、大体の子供が見習い学校に通うようになる。何故なら、スキルに応じた教育を受ける事ができる可能性が多くなるだ。
「わたしは病院で働けるようにしたいから、病院学校に行くよ〜。それにお母さんもいるから一緒に行けれしね〜」
母は病院の教育係だ。医者見習いの教育や、一般学校の校医とかもやっている。
だからだろう、姉も母の仕事を見て興味を覚えたのか、たまに母の仕事場に遊びに行ってお手伝いをしてくる事もある。
「父さんはリュウイが剣士だったら、村の兵士になって父さんの手伝いしてくれたら嬉しいぞ!」
父は村の兵士だ。と言っても村の周りで狩りをしたり、危険な魔獣を駆除するのが主な仕事なので、今の俺では一緒に行く事はできないだろけど。
この世界にはスキルに応じた職業や家業が数多くある。スキルに関しては親の遺伝を受けることも少なくないので、案外親の通う場所や同じ職業につく可能性はあると思う。レイナが母親似のスキルなので、俺は父の持っているスキルとかに似てくるかもしれない。
そうなると俺も兵士になるって選択肢がかなりの幅を占めている気もする。
「おれもおとうさんみたいに強くなって、村を守れるかな?」
「そうだなぁ。いっぱい訓練していっぱい勉強すれば、きっとすごく強い剣士になれるぞ!」
「うん!じゃあ強くなってみんなを守れるようにがんばる!」
和やかな雰囲気の中、楽しそうに教会に向かっていった。
新しい自分の可能性に心を躍らせて。
しばらく歩くと真っ白な建物が見えてきた。まるで貴族のお屋敷みたいな外観のその建物が教会だ。
小さな村でも必ず1つは教会が建っていて、だいたい真っ白な外観をしている。なんでも、国がスキルを重視した方針になっているのでスキルの確認ができる施設が必須になっている。そのため国の要職の中でもかなりの規模を誇る事業なのである。
教会ではスキル確認はもちろん、村の催事の管理や他にも就業の斡旋や各村町で起こった出来事の相談も受け付けている。だから教会には毎日たくさんの人が通い、皆それぞれの要件を済ませている。だから到着した教会の前にはたくさんの人が列をなしている。
「さて、しばらく前の人がいるからおとなしく待ってるか。でも退屈だからスキルについておさらいだな」
そう言いながらスキルについて話しながら、順番を待つことにしたのである。