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『エクストラ』
それは神から与えられた、特別なスキルのこと。
人種には必ず何かしらのスキルが与えられるが、その通常のスキルとは別格の意味を持つスキルだ。
例えば魔法。この世界は誰でも魔法が使えるが、もちろん得意な者も逆に不得意な者もいる。使える属性もほとんど制約もなく、上達すれば誰でも不自由なく魔法を使える。というのが一般的な概念だ。
そこにスキルが入ると少しだけ意味が変わってくる。例えばスキル〈風魔法〉を持っていれば、風属性の魔法を使うことが得意になったり上達速度が速かったりする。特に上達具合に関しては群を抜いており、誰にも教わらなくてもどんな事ができるかが自ずとわかるようになるなど、そのスキルの分野の造詣が深くなる傾向になる。これが一般的なスキルだ。
しかし『エクストラ』に関してはさらに別格である。この世界でも『エクストラ』を保有している者はある程度存在しているが、通常のスキルとは根本的に違う要素になっているらしい。
例えばエクストラ《剣》。この『エクストラ』を持っていた偉人の一振りは万の兵士を斬り、大地に深い谷をつくり、海を切り、山を斬り、果ては空をも斬ったと言われている。
しかし、こう言ってはなんだが・・・
「わけがわからん」
そう。この『エクストラ』とは、そもそも保有している者が極端に少ない。なので聞く話のほとんどがウワサ話なのである。各言う俺もウワサ話程度しか知識がないし、そんな人物会ったこともない。所詮は遠い世界の話なのである。
そんな『エクストラ』だが、何故存在しているのかがわかるのか。それは、この世に名を残す『エクストラ』保有者がいたからだ。例えば昔話や絵本、学校の教科書に載っていたり、その痕跡が世界のあちこちに残っていたりする、一種の伝説のような存在だ。
そんな伝説の人物達だが、ある共通の単語で呼ばれれいる。それが・・・
《エクストラ・セブン》
人々は畏敬の念を込めて、そう呼んでいる。