涙
読みに来てくれてありがとうございます!
次で終わりになります!
「んっ・・・ここは」
目を開けると、知っているような天井が目に入ってきた。
「あっやっと起きた」
横から声が聞こえ、横を向くとそこには咲先輩がいた。咲先輩の顔を見て意識は完全に覚醒した。
「!!咲先輩!麗子先輩が!!」
僕は飛び起き、咲先輩に詰め寄った
「うん、知ってる。田中君が倒れたって聞いて、もしかしてと思ったけど聞いたんだね」
「は、はい、先生から」
咲先輩の予想以上に落ち着いた空気を不思議に思った
「あの、どうしてそんなに冷静なんですか?それにさっき知ってるって」
「私は、大分前に聞いていたからね」
僕は、その言葉を聞き昨日の光景がフラッシュバックした、麗子先輩のノートに書かれた”さよなら”の文字を
「どうして!教えてくれなかったんですか!?」
「田中君は、知ってしまったら素直に楽しめなかっただろう?」
「そんなのあたり」
「だからだよ。麗子は君と楽しく遊びたかった。だから、麗子は黙っていてくれるように私にお願いしてきた」
「そんな・・・」
「最後に楽しい思い出が欲しかったんだろうね。麗子はきっと君の事が・・・」
僕は、呆然としながら咲先輩がな何かを言っていたが耳に入ってこなかった。
「しゃんとしなさい!!!」
上の空でいると、背中を思いっきり叩かれた
「いたっ!!」
「話は最後まで聞く!!」
「はい!!」
今までにないほどの気迫に迫った咲先輩に、僕は思わず大きく返事をした。
「どうして、麗子がいなくなったかまでは聞いていた?」
「い、いえ」
「もう!しっかりして!麗子はね、親が決めた許嫁の元にいったの」
「へ?それは麗子先輩自身どう思って・・」
「さぁね、こればっかりは麗子の口から直接聞いたわけじゃないから私の憶測というか確信を持って言えるけど。嫌って思ってるはず」
「それじゃあ!断れば!」
「あの子はね、孤児なの。それを今の親に引き取られ大切に育てられた。だから、恩を返そうと思って断るなんて事はしない」
「麗子先輩が・・・孤児」
色んな情報が沢山頭の中に入ってきてパンクしそうになりながらもなんとか言葉を絞り出した
「それじゃあ、麗子先輩は恩を返す為に・・・・」
「そうよ」
僕は、麗子先輩の事を何も知らないかったんだと改めて突きつけられ心が痛んだ。
「けどね、言い方悪いけど、そんなのバカだと思ってる」
「咲先輩・・」
「自分の幸せを逃してまで、自分以外の為に動くなんておかしい。普通だったら、自分の事がみんな一番だ。だけど、麗子はそれができちゃう。それは、普段だったらいい事なんだけど今回は悪い方向に働いてる」
「そうですね」
「私は、今麗子がどこにいるのか知ってる」
そこで、咲先輩から衝撃の言葉を聞き僕はすぐにでも会いたくて教えてもらおうとするが
「けど、行くのなら。この先、麗子の人生を背負っていく覚悟がなきゃ教えれない」
「!!!?」
「重いと思うかも知れない、だけど今回の事で、麗子がどうなるか分からない。なのに、生半可な覚悟で行くのは私が絶対に許さない」
咲先輩が、僕の目を見てそう言ってきた
「どうする?」
「僕は・・僕は・・」
僕はそこで、今までの事を思い出していた。
図書室で出会った日
麗子先輩との会話
泣いていた僕の頭をずっと撫でてくれた優しいくて暖かい手
辛い話を聞いてくれた日
昨日の、麗子先輩の子供っぽい姿
そして、花園縁でみた綺麗な横顔
そこで、自分の気持ちに気が付いた
僕は麗子先輩の事が好きなんだと
「僕は麗子先輩の所に行って連れて帰ります!だから、場所を教えて下さい!!」
僕の覚悟を決めた顔を見た咲先輩は
「君なら、そう言うと思ったよ。場所はね・・」
「そんな、遠すぎる・・」
咲先輩から、言われた場所は今いる場所から30kmも離れている所だった
「だからね、足を用意しといたよ」
「足?」
そこで、保健室の扉が開き入ってきたのは
「話は大体聞いてるよ」
海堂だった
「えっなんで!?」
僕が驚いていると
「一応私達幼馴染なんだよね」
咲先輩からの、衝撃的な告白にびっくりしていると
「光、あんたバイク通学してたでしょ」
「してるよ。連れていけばいいんでしょ」
「話が早くて助かるよ。流石、私の幼馴染!」
僕を置いてけぼりして話は進んでいき
「田中君、これで少しは早く着く。時間を掛ければかけるほど麗子の意思は固くなる。あの子は頑固だからね。だから、早く言ってそして、私の大切な親友を連れて帰ってきて」
「はい!絶対に連れて帰ってきます!」
咲先輩のあんなか細い声を聞いたら、より意思は固くなった
海堂とバイクの後ろに、またがり今は教えられた場所に向かって走っていた。走っている最中、無言で
何か話したらいいのかと考えていたら海堂から質問が来た
「なぁ、田中君はいつから咲ねぇと知り合いなんだ?」
「えーと、つい最近だよ。あの、教室に乗り込んできた日が知り合った日かな」
「あーあの時か」
今度は僕の方から少し突っ込んだ質問をしてみる事にした。
「その少しだけ気になったんだけど、海堂くんは」
「光でいいよ。俺も空って呼ぶから。学校抜け出してこんな所にいるだ。他人行儀な呼び方はおかしいだろ」
「そうだね、ありがとう光、けど、良かったの?だって光には何も」
「それが、あるんだな。これが終わったら週末に咲ねぇと2人で出かける約束をしたからな」
その光の言葉で、なんとなく察した
「光はやっぱり咲先輩の事が好きなんだ」
「意外とストレートに聞いてくるんだな」
「それで、どうなの?」
「好きだよ」
光は、なんのよどみもなく答えた。俺はそこで疑問に思った事、光に聞いてみた。
「どうして、光と芽衣はあの時、一緒に二人でいたの?」
「あの時?」
「え~と、確か一週間前だったと思う」
「一週間前と言うと・・・あれか。もしかして、それを見られて変な噂が広まったのか?っと、質問に答えないとな。あの時、咲ねぇの誕生日が近くて贈り物を買いに行っていたんだど、その時ばったりと会ったんだよ」
「それだけ?」
「あぁ、それだけだぞ?」
「そうだったのか・・・」
「だから、芽衣とは何ともな・・・ごめん。配慮に欠けた」
いきなり、光は謝ってきた。僕は、それが何に対して謝ってきたのか察した
「気にしないで、確かに辛かったけど。今はそうでもないから。今は、麗子先輩の事しか考えてない」
「そうか・・・それにしても、芽衣はもったいない事したな」
「もったいない?」
「だって、そうだろ?こんなにも、一途に純粋に思ってくれる奴なんてそうそういないだろ。だから、その幸せを自ら手放したのはもったいないって事」
「そんな事言われたの初めてだよ」
「俺とお前は、ちょっと似てるんだよ」
「似てる?」
「誰かを一途に思う所とかね。だから、応援してる」
光の、その言葉に胸が熱くなり涙が出そうになったが、今は泣くときじゃないと堪えた
「っ・・・ありがとう」
「頑張れよ」
そして、目的地の場所にたどり着いた。
「ここに、麗子先輩が?」
「あぁ、言われた場所はここだ」
僕たちは、目の前にそびえたつ豪邸に圧倒された。勇気をだして一歩を踏み出すと
「おやおや、こんな所にお客人ですか。珍しい事もありますね」
門の横から、執事の格好をした男性が出てきた。
「どちら様でどのような、ご用件でしょうか?」
執事の男は、こっちに質問をしてきた。僕は声を振り絞って執事の質問に答えた
「麗子先輩と同じ高校の後輩で・・・麗子先輩を連れ戻しに来た!!」
「ほぅ・・」
そう言うと、執事の雰囲気が変わったように感じた。
「そうですか。こんな遠い所まで、ご足労いただきありがとうございます。けれど、お帰り下さい。お嬢様は、今大事なお話の最中なので」
執事から、返ってきた言葉は拒絶の言葉だった。
「それって、婚約の話ですよね?」
僕は、気圧されながらも、返すと
「おや、知っていましたか。まぁ、知っていたとしてここを通す事はしませんが」
「麗子先輩に会わしてください!!話を!」
僕は、一歩踏み出しながらどうにか通してもらおうとしたら
今度は、黒服をきたガタイのいい男たちが数人出てきた
「!!?」
「それ以上、こちらに近づけば力づくで排除します。痛い目を見たくなきゃ引き返しなさい」
僕は、その言葉を聞き歩みが止まりかけたが、麗子先輩に対する思いで恐怖を乗り越えた
「うるさい!!僕は、何が何でも麗子先輩に会うんだ!!!」
僕は門の方に向かって歩いていくと
「はぁ、ちょっと手荒でも構いません。追い返してください」
そう言うと、執事は豪邸の方に向かって行った。
僕の目の前に、大の大人が5人おり、一か八か突撃したが多少、後ろに下がらせただけだった、横から、もう一人の手が伸びてきた所で
「おりゃ!!」
僕が突撃した、男に光が飛び蹴りをかまし道が開けた
「光っ!!?」
「いまだ!行け!!」
光は、僕の後ろに陣取り男たちがこっちに来れないように壁になろうとしていた。
「でも!一人じゃ」
「いいから!行け!行って、お前の大切なもの取り返してこい!!」
僕は、光の覚悟と言葉を受け取り、豪邸に向かって走った。
「あいつは、追わせないぞ」
光は、覚悟を決めた顔をして男たちと対峙した
僕は、豪邸の中に入るとそこには、先ほどいた執事が待っていた。
「友達を、犠牲にしてきましたか。けれど、ここまでです。あなたが、この先にいるお嬢様に会う事はありません」
「そこをどいてください!!」
全力で走り、突破しようとした、その時、奥の扉が開きそこから
「麗子先輩!!!」
麗子先輩は、突然自分の名前を呼ばれ、驚いていたがこっちを見て、僕がここにいる事に更に驚いていた
「!?!?」
いつもの様に、ノートを持っていないので何を思っているのかは分からないが、僕がここにいる事に対して疑問に思っている事が伝わってきた
「麗子先輩!!帰りましょう!!!!」
僕は、このチャンスを逃すわけにはいかないと、声を張り上げ麗子先輩に向かって言った。しかし、麗子先輩は首を縦に振らず、横に振った。そうして、隣にいる男と奥に行こうとした。
その光景に、僕は芽衣の事の絶望を思いだした。身体が震え始めた。その間にも、麗子先輩は奥に向かおうとしていた。麗子先輩が、完全に向こうに振り向く直前、何かが光って見えた。
それは、見間違えじゃなきゃ涙だった。
それを、見た瞬間、震えは止まった。もしかしたら、見間違いかもしない。けど、好きな人が泣いていると思ったら、立ち止まっている事なんてできなかった。
「本当に、それで幸せなんですか!!!」
再び、僕が声を張り上げると、麗子先輩は止まった。
「本当に、麗子先輩がそれで幸せなら僕はここで身を引きます!!だけど、もし違うなら、別の所に幸せがあるのなら!!!帰ってきてください!!」
「・・・・・」
「僕は先輩といつまでも一緒にいたい!!だから!!帰ってきて!!!」
「うるさい、ガキだな。行くぞ、麗子」
隣の男が、麗子先輩の腕を掴み連れていこうとしたが
「!!!」
麗子先輩は、男の手を振りほどきこっちに走ってきた。
「麗子先輩!!」
僕は、麗子先輩の元に走り寄った。その際に執事から妨害が何かあるかと思ったが、すんなりと通してくれた。
しかし、そんな事はすぐに気にならなくなった。何故なら、
麗子先輩が、胸に飛び込んできたからだ
「れっ麗子先輩!!」
麗子先輩は、すぐに離れ僕の手を握り出口に向かって走った。
僕は、手から伝わってくる温もりから麗子先輩が戻ってきた事を改めて感じ目の前がぼやけた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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