苗字呼び
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「少しお邪魔するわよ~。田中君ってどの子かしら?」
昨日ぐらいに図書室に行った時に、先輩と仲良く話していた先輩が何故か教室にやってきて僕の事を探していた。クラスのみんなが全員こちらを見て僕は頭が真っ白になった。
「こんにちは、一ノ瀬先輩」
僕が、頭真っ白になっていると海堂君が話掛けに行った。
「こんにちは、海堂君。田中君っているかしら?少し話がしたくて」
「田中と」
「そう、私の友達が最近仲良くしているらしくてね。少し気になってるの」
「そっそうですか。田中ならあそこに」
海堂君がこちらに指をさし僕に居場所を教えると一ノ瀬先輩はこっちに向かってきた。
「こんにちは。田中君。ここだと、少し騒がしいから少しついてきてくれない?」
「は、はい」
僕はいきなりの事に、反射ではいと言ってしまい少し後悔した。何故なら、海堂君がこっちを睨むように見ているし、芽衣もそんな海堂君を見てこっちを睨んでいた。
「よし!なら、行こうか」
先輩は、そんな視線を全く気にせず教室を出た、僕は、どっちにしろ教室にいる事が苦痛だったので慌ててついて行った。
「ここなら、いいかな」
先輩が、立ち止まったのは中庭のベンチだった。僕は、何を言われるのか怖くて何故探していたのか聞けなった。そんな、僕の様子に気付いたのか先輩は少しおかしそうにしながら
「ふふっ、そんなに怖がらなくてもいいのよ。別に捕って食おうってわけじゃないんだから」
「え、えーと、話って何ですか?」
「お察しの通り。麗子の事よ」
花宮先輩の名前を出され、嫌な考えが頭をよぎった。
「えっと、もう近づくなとかそんな感じですか?」
先に言われる前に、まだ自分から言った方がダメージが少ないと思いそう言った。自分で言っても相当なダメージだが。
すると、
「ちょっ!違う違う!そんな事を言いに来たんじゃないの!そんな事されたら麗子に怒られちゃう!!」
先輩は、もの凄く慌てた様子で否定した。
「あぶなー、麗子って怒るとすごく怖いんだよね」
先輩の声は小さく何を言ったのか聞こえなかった。
「何か、言いました?先輩」
「ん?何も。それよりも、その先輩っての麗子と紛らわしくない?」
「そうですか?」
「そうだよ!それだと、二人とも反応しちゃうから私の事は咲先輩でいいよ!」
「わ、分かりました。い、咲先輩」
「そうそう!」
僕は、咲先輩の圧に押され呼び方を変えた。
「さて、そろそろ戻りますか!」
話は終わりらしく咲先輩はベンチから立ち上がると校舎の方に向かった。
去り際に、
「また、放課後ね!」
咲先輩はそう言って、教室に向かっていった。
「嵐みたいな人だったな・・・」
僕は、教室に戻ろうとしてここに来るまでに何があったのか思い出し、足取りが重くなった。
「うわ~戻りたくないな~」
それでも、もうすぐ授業が始まってしまうので戻る選択しかないのだが。教室の前に着き深呼吸してから中に入ると既に先生が来ていた。
「もう、授業が始まるぞ。早く席に着きなさい」
「はい」
先生がいてくれたおかげで、クラスメイトから質問攻めにあう事はなかったが凄い視線を集めているのを感じた。
僕は、視線を下の向けながら自分の席に着いた。
海堂君の嫉妬するような視線と芽衣の怒りの視線に気付くことはなかった。
全ての授業が終わり、僕は面倒くさい事になる前に急いで教室を出て図書室に向かった。後ろを確認して誰も追ってきていないことを確認すると図書室に入った。
入ると
「おっ来た来た!」
昼に教室に突撃してきた咲先輩といつものカウンターの席にいる先輩がいた。
[いらっしゃい。お昼は大変だったね、大丈夫だった?]
先輩は、咲先輩から事情を聞いたのか心配してくれた
「はい。帰った時には先生がいたので面倒くさい事にはなりませんでした。ここにも、直ぐに来たので大丈夫でしたよ、心配してくれありがとうございます」
[大丈夫なら良かった」
先輩の微笑みを見て、心が温かくなっていると
「ここまで、麗子が男子と仲がいいの初めて見るわ。これからも、麗子と仲良くしてあげてね」
「い、いえ、僕の方が仲良くしてもらってるんで」
[もう!何言ってるの!]
咲先輩が、お母さんみたいな事を言い僕は恐縮して先輩は咲先輩の事を軽く叩いていた。
「ごめんって、麗子。そうだ!よかったら今度この三人で遊びに行かない?」
「えっ」
「麗子はどう?」
[田中君が迷惑じゃなかったら行きたい]
先輩が、こっちを向きながらノートを見せてきた。先輩の雰囲気から行きたいオーラが出ており断る選択なんてなかった。
「お邪魔じゃなければ」
「よし!決まりだね!次に週末予定開けといてね!」
[分かった]
「分かりました。週末はよろしくお願いします。先輩、咲先輩」
「うん!よろしくね!」
すると、今の会話に何か気付いたのか先輩がノートを見せてきた
[一ノ瀬の事咲先輩って]
その文字を、見た瞬間何故か内心焦ったがそこ咲先輩がフォローしてくれた。
「麗子それは、私が頼んだんだよ。先輩呼びだと、私を呼んだか麗子を呼んだか分からないでしょ?」
[確かに」
先輩は、こっちをちらっと見るとノートに何かを書き始めた。
[田中君さえよかったら、私の事も麗子先輩って呼んでほしいかも]
ノートには、そう書かれており横を見ると咲先輩はニヤニヤしており先輩はそれに気付かずこっちをじっと見ていた。
僕は、この空気を早くどうにかしたくて
「れ、麗子先輩」
僕がそう呼ぶと、明らかに麗子先輩は嬉しそうな雰囲気を醸し出し、それを見て更にニヤケが止まらない咲先輩。
結局、空気は何も変わらなかったが麗子先輩が喜んでくれたなら良かったなと思った
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