灰色の世界
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[もう、予鈴鳴ったから戻らないと怒られるよ?]
ノートにそう書いてあり、先輩は少し困ったような表情でこっちをいて見ており、掛けてある時計を見ると予鈴の時間はとっくに過ぎいた。
「あっすみません!すぐに戻りますね!」
僕は急いで席を立ち、本を元の場所に戻しもう一度先輩に謝ると図書室を出た。急いで教室に戻りギリギリで何とか授業には間に合った。
そして、その日の授業が全て終わると教室は騒がしくなり放課後どこに行く?など会話が聞こえてきた。
「今日、カラオケに行かない?」
「いいねーー!!!」
「海堂君も行こう!」
芽衣が海堂の腕に抱き着きながら、カラオケに誘っている様子を見て心が痛み見ていられなくて僕は教室を逃げるように出た。足は自然と図書室に向かい扉を開けると、カウンターには朝お世話になった先輩がいた。
僕はお礼を言っとこうと、近づき声を掛けた。
「先輩」
先輩は、顔を上げるとこっちを見た。
「朝はありがとうございました。おかげで、授業に間に合いました」
先輩は、何の事を言われているのか分からず首をかしげていたがすぐに思い出したのかノートを取り出しそこに何かを書き始めた。
直ぐに書き終わりノートを見せてきた。
[どういたしまして!間に合ったなら良かったよ!」
「先輩は、大丈夫でしたか?」
僕があんなにギリギリまでいたせいで先輩が遅れていたら申し訳ないと思い聞いてみると
[私も間に合ったから、大丈夫だよ!]
「それなら良かったです。それでは」
これ以上は、邪魔になると思い別れの挨拶だけして読みかけだった本を手に取り席に着いた。今度は、先輩のお世話になるわけにはいけないと思い、キリのいい所で本を片付け帰る支度をした。
帰り際、先輩に声を掛けようかと思ったが初めて会った日にそこまでしつこく話しかけられてもい嫌かなと思い何より、先輩も本を読んでいたので僕は邪魔しないように静かに図書室を出ると家に帰った。
「ただいまー」
家に帰ると、
「あら、やっと帰ってきた。芽衣ちゃんが来てるわよ」
母が出迎えてくれて、それと同時に死刑宣告をしてきた。胸の鼓動が速くなり背中に冷や汗をかいていると
「あんたの部屋にいるから早く行きなさい」
母に言われ、自分の部屋に向かうが、一歩一歩が重く感じた。何とか、扉の前にたどり着いたがいつも簡単に開け閉めする扉が今は鋼鉄の扉に感じた。
なかなか開けれないでいると、中から扉が開き芽衣が出てきた。
「帰ってきてるじゃない。何、自分の部屋の前で突っ立てるのよ。話があるの、入って」
僕は、言われるがまま部屋に入った。頭の中では、話とは何か色々な想像ができ別れ話かもしれないと。思考がネガティブになったまま椅子に座り、芽衣が話始めるのを待った。
「いつ、言おうか迷っていたんだけどこういうの早めがいいって言うし、今日いう事にしたの」
心臓が痛いほど、鼓動をうち聞きたくないと心が叫んでいたが芽衣は止まることなく
「私達、別れましょう。あと、付き合っていた事もなしにしてほしい」
もしかしたらと思っていた、最近の芽衣の様子を見ていて話しがあると言われ別れ話かもしれないと予想はしていた。嫌だったが。
けど、その後の今までの付き合っていた事も無かったことにしてほしいと言われ、何を言っているのか一瞬分からなかった。
「えっと、別れたいっていうのは分かった。けど、無かったことにしてほしいってど、どういう事?」
「そんなの考えなくても分かるでしょ。あんたと付き合っていたのは私の人生で一番の汚点なのよ」
頭が真っ白になった。目の前にいる人物が偽物なんじゃないかと思うぐらい昔の優しかった芽衣がその場にはいなかった。
「まぁ、助かったのはあんたが奥手で手を繋ぐまでしかしなかった事ね。これでキスなんてしていたら最悪だったわ。それじゃあ、話は以上だから帰るわ」
芽衣はそう言って部屋を出ていき
「まっ」
僕が静止の声を掛けようとして、拒絶するように扉が閉まった。涙すら出てこなかった。
伸ばしかけていた手は、空中で止まりそのまま重力に従い体が倒れた。頭が全く働かず体にも力が入らなかった。気付いたら、朝になっており学校に行く支度をして今は誰とも顔を合わせたくなかった僕は家を早々に出て学校に向かった。
昨日、あれからどうやって自分が過ごしていたのか覚えていなかった。母に何かを聞かれた気がするが全て空返事をしていた気がする。
学校に着き、教室に向かうが皆が登校してくるまで30分もまだ時間があった。しかし、教室にいればいずれ誰かが来てしまうので僕の足は自然と図書室に向かった。
ひょっとして、鍵がかかっているかもと思ったがそんな事はなく入ることができた。流石に、先輩はおらず図書室は僕の独り占めだった。誰にも会いたくなかったのでちょうど良かった。本を読む気にもなれなかったので席に着きただボーっと外を眺めていた。
あんなに、輝いて見えた景色が今は灰色に染まり色を失っていた。いっそこのまま消えてしまいたいと生きる気力すら失っていた。
どれだけ、そうしていたのかは分からないが扉が開く音が聞こえた。最初は先生でも入って来たのかと思っていたが、足音が近づいてくると僕の座っている席の近くで止まり何かを書いている音が聞こえそれも聞こえなくなると
あの時と同じように肩を叩かれた。振り向くとそこには
[どうしたの?大丈夫?]
先輩がいて、ノートを持って立っていた。
僕は、書いてある文字を見た瞬間視界が歪み文字が見えなくなり、遂に頭がおかしくなったかと思ったがすぐに自分の目から涙を流していることに気付いた。
「あっあれ?と、止まらない」
どれだけ拭っても拭ってもあふれてくる涙。先輩が慌てている様子が雰囲気で伝わってきたので
「すぐ止まりっますからっ」
困らせたくないと、涙を止めようとするが意に反して涙は止まらなかった。それでも頑張って止めようとしていると不意に頭を撫でられる感覚がした。顔を上げると、先輩が頭を撫でていた。前髪で隠れて目が見えずどんな表情をしているか分からなかったが、口元で優しい表情をしているのが何となく分かった。
結果、涙は止まることなく更に溢れ出てきて昨日の分まで泣いて泣いて、先輩は僕が泣きやみ落ち着くまでずっと頭を撫でていてくれた。
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