二章末間3話 盗み聞き
どうもビタミンです。
やっと今まで通りに戻れそうです。
最近の遅れ分を取り戻せる様にこっから頑張っていきます。
今回は本当に末間も末間ですので正直本編にはほぼ関係なく読まなくていいレベルです。
前書きと後書きぐらい読まなくても大丈夫なレベル。
まぁ、長くはないのでなんとなーく見てください。
それではお楽しみ頂けると嬉しいです。
「流石に緊張しますね。僕、初めてなんですよ」
一人の隊士が小刻みに震えながら反対側にいる隊士に話しかける。
「馬鹿かって怒鳴りつけたい所だがこればかりは仕方ねぇ。最初は緊張するもんだ。俺も偉そうにしちゃあいるが緊張してる。まぁ、言っても三回目だからな俺も」
この二人をここからは一人目を後輩、二人目を先輩と呼ぶことにしよう。
先輩は緊張を表面上だけ隠している事を自ら打ち明ける。
「それはそうですよね。なんて言ったって今、後ろで四豪会議が行われようとしてるんですもんね」
後輩が額に汗を流しながらそう呟く。
先輩はそれに頷く。
四豪会議、それは四豪御雷神全員が一年に数回、総隊長の命令によって集められ開かれる会議のことである。
これにより大方の活動方針が決まる。
今、この二人の後ろでは会議……ではなく扉の復旧作業が行われていた。
この二人が立つのは内側から数えて二枚目の扉。
直されているのは一枚目の扉である。
何故か理由を説明しよう。
四豪御雷神の中には一人良く言えば無邪気、悪く言えば馬鹿がいる。
コイツがまぁ、馬鹿みたいに飛び蹴りで入って扉を破壊したわけだ。
それにより会議の始まりが遅くなったという現状だ。
破壊された時の番だった隊士によれば二枚目も破壊されたらしいがそこは修復班も予想していたらしく速攻で直されたらしい。
修復班も話が外に出ないように分厚く作られた一枚目の方は予測出来なかったらしい、というかそんな前例が無いらしい。
二枚目と一枚目の間には小さな川があり、そこに十メートルほどの橋が架けられている。
この橋の意味としては参考人などを呼ぶ時の待合室的な意味らしい。
「おい、何してる?」
後輩が突然扉に耳を押し当てだし先輩が注意する。
「今は会議は始まってないわけですから今なら会話きくのだって許されないかと思いまして」
ダメ元でやったらしく先輩の説教を苦笑しながら待つ。
しかし先輩は怒鳴るのではなく、一度大きく頷き耳を扉に当てる。
「分かってるな、他言無用だぞ」
意表を突かれた回答が返ってきて思わず呆ける。
やはり誰もが中の会話は気になってしまうものである。
いつもなら注意してきた先輩も今は会議中ではないから許してくれたのだろう。
十分悪い事だとは思うが。
中からは若々しい青年の声、落ち着いた爽やかな透き通った鮮やかな女の声、もう一つは姉御肌というのが声から分かるような明るい芯の通った優しく鋭い声、最後の一つが渋く太い猛々しい分厚い金属の様な安心感が満ち溢れる歳を程よくとった男の声。
この四つの声が四豪御雷神だと思っていいだろう。
いいだろうというのも実はこの会議にはそれぞれの副隊長も参加可能となっている。
その条件は参考人でない限り一切の口出しを出来ないとなっている。
もし、副隊長が会議中ではないから参加していたとしても何ら不思議はないのである。
今回情報によれば参加した副隊長は二人と聞いている。
これに関しては考えても仕方ないので御雷神の声だと思い、再度耳を中の声に傾ける。
「ねぇねぇ、○○○おじさん大獄人逃しちゃったって本当なの?」
名前の所は上手く聞き取れないが青年がおじさんというところからきっと歳をとった男に聞いているんだろう。
「否定はせんが俺としてはもはや仕方がないと考えている」
「そんな弱気な事言っちゃっていいの?総隊長でしょ?」
「相手が悪すぎた。スピード重視じゃない俺と血を吸ったアイツとじゃあ結果は火を見るよりも明らかだ」
「言い訳だよ、そんなの。頑張らなきゃ」
「そう言われてはグゥの音も出んがな」
「そう言ってやるな。○○○さんがそこを即座に判断し、残った事で救われた命もあるんだ。この人はこの人なりに出来ることをしたんだ」
「はーい」
姉御肌の声が歳をとった男の擁護に入る。
青年はその擁護に反論の余地はあるのに反論しない。
きっと何か個々の人間関係があるんだろう。
「○○○さんの方は最近、墓を巡っているらしいですが何をなさってるんです?」
鮮やかな女の声も入ってきて誰かに問いかける。
「あぁ、それかい?それなら今は話せないんだよ。もう少し調査が進めばみんなに話すことになるだろうからそれまで待って欲しい」
返ってきた声は姉御肌の声だった。
そこに突然今まで聞いたことのない声が入ってくる。
「そんなアンタが勿体ぶるなんて珍しいなぁ。アンタがすげぇのは知ってるがあんまり抱え込むんじゃあねぇぞ」
陽気な声だが、先程までの声質が青年の物とは全く別物だ。
なんというか、空っぽというか、声からは全く人間像が思い浮かばない。
「ねぇ、今度はさぁ、」
声が急に途切れる。
声が小さくなったのかと思い耳を更に強く押し付けるが全く聞こえない。
聞こえてきたのは
「まったく……世話が焼けるなあの人は。一枚目直すの初めてだったから疲れたよ」
という作業員の愚痴だけだった。
声が近づいてくる。
「おーい見張りの兵開けてくれ」
中から声が掛かる。
二人は慌てて扉を引き、扉を開ける。
扉は重く、ある程度鍛えていないと開けられないほど重くできている。
作業員なら開けれるんだろうが今はお疲れなので開けれないようだ。
二人は横切る作業員に何故か緊張しながら姿が見えなくなるまで背筋を伸ばしきる。
姿が見えなくなり、先輩が
「なぁ、聞こえたな声」
「はい、聞こえましたね。でも、
「あぁ、」
「「どれが誰の声か分からねぇ」」
二人が同時に声を合わせて嘆いた。
読んで頂きありがとうございました。
何か色々出てはきましたが声だけの出演でした。
前話に名前出てきた人も居ますが名前は敢えて伏せてあります。
どれが誰の声かは楽しみにしといてください。
次話からはやっと三章入れるも思います。
三章はとうとうあの人が……
というわけで次話も楽しみしていただきたいです。
それではまた次話でお会いしましょう。
良ければ、感想、アドバイス、質問お願いします。