二章後編9話裏① 前座虐殺
どうもビタミンです。
幕間に行くと思わせてのまさかの裏というね。
まぁ、九話の最後の終わり方が明らかに変だったのでね。
一体王都で何が起きていたのか?
それでは楽しんで頂けると嬉しいです。
これはライラが地下で演説を始めた時の王都での出来事である……
薄暗い通路、五つの部屋、蜘蛛の巣を張った役目を果たした光、壁は分厚いレンガの様な素材でできており頑丈な作りになっている。
その五つの部屋の中の一つの部屋の扉から微かに光がついていることが確認できる。
冷え切った通路を歩く一人の男。
男の片手には残飯の様な見た目をした腐った食材で作られた食べ物が並べられたお盆を持っている。
男は中太りで鎧がパツパツになっている。
腰から提げた鍵がチャリチャリと音を鳴らす。
男は光のついた部屋の前で立ち止まる。
腰の鍵で扉に空いてある小さな扉を鍵を使って開ける。
錆びた鉄と鉄の擦れる音が五月蠅く響く。
男はその丁度お盆サイズの小さな扉にお盆を勢いよく投げ入れる。
中ではご飯が溢れる音がする。
これは男のミスではなく日常なのだと男の終始めんどくさそうな顔がそれを証明する。
男はそのまま扉を閉めようとするが扉は内から何かに止められる。
「すいません、突然少し話しませんか?」
中から少し明るく聴き惚れてしまいそうな声がしっとりとした口調で言葉が投げかけられる。
男はそれを訝しむ。
「何だ、急に⁉︎お前とはあまり喋るなと言われているんだ」
「まぁ、そんなに長くは話しませんので少し話に付き合ってもらえませんかね?」
丁寧な口調は舌舐めずりの音がしたのに気づかせない。
そのお願いに男は相も変わらずめんどくさそうに
「無理だ‼︎お前なんぞと話すことなんぞ何もない‼︎この大罪人めが」
そのまま男は扉に鍵をかけずに立ち去ろうと歩き出す。
「止まって話をしましょうよ。その方がほんの少しだけ長く生きれる」
後ろからの誘いを無視して男は出口へ向かう。
途中から声は聞こえなくなった。
無限ループの様な日々に男はため息を吐く。
ドアノブに手をかけようとしたその時扉が傾き出す。
声を出そうとしても全く出てこない。
ドアは止まる事を知らず傾き続け九十度まで傾いた。
「……っ?」
男の喉が僅かに震える。
視界の端には扉と一緒に傾く自分の胴体が見える。
その胴体に首は無かった。
死を知ると同時に意識は消えた。
「だから言ったじゃないですか。話をした方がもう少し長く生きれるって。外で起きてる事聞きたかったんですけどね」
真っ赤な舌で舌舐めずりをする。
背後には頑丈に出来た硬質な扉が歪んであるべき場所から吹き飛ばされている。
扉には拳の型がしっかりと残っている。
男は薄気味悪く笑う。
肌は透き通っており美しい。
紫紺色の髪を短く生やしている。
片目は白目ごと真っ赤に染まっており、もう片方の目は肌と同じく真っ白だ。
目付きは鋭く、人を殺すのを悪びれもしない残虐非道な性格をしている。
顔の整いが返って不気味に感じる。
そして最も特徴的なのは額から角が二本生えている事だった。
扉の向こうから足音がする。
「おい、遅くないか?どうしたん……だ……」
扉を開けながら室内を懐中電灯で照らす。
地面は血で埋め尽くされており、首がゴロリと転がっていて、奇妙にも胴体はバランスを崩さず直立している。
高速で頭を吹き飛ばすと胴体はそのままであり続けるらしい。
男は叫ぶよりも早く行動に移す。
緊急事態事、ここの担当者にはすぐに警報を鳴らす事と耳にタコができるほど言い聞かせられていた。
出口のすぐ側にある緊急スイッチを押そうと右手を伸ばしたその時
腕が遥か彼方へ飛んでいった。
「えぇっ……」
血を大量に吹き出す右手前のめりになって押そうとしたのでそのまま倒れそうになる。
男は死に物狂いで左手をスイッチに伸ばす。
真横にいつの間にか立っていた白い男は嬉しそうに笑ってみせる。
今度は左手が吹き飛ばされ、なかった。
白い男の蹴りは上半身全てを蹴り飛ばした。
蹴った瞬間は見えなかったが上半身と下半身のつなぎ目である腰の位置に白い男の足が一瞬で移動したことから蹴り飛ばされたのだと分かった。
死んだ。
「こんな奴らを私につけて、何も学ばないんですかねこの国は。この程度の人達では到底私を止めることさえ出来ないというのに」
この男の牢に辿り着くまでには四つの扉がある。
全て国が誇る最高レベルの硬さの素材で出来ている。
国が誇ると聞くといい意味に聞こえるかもしれないが国が国だ。
程度が知れている。
頭の角を弄りながら二つ目の扉へと歩き片足で軽く蹴る。
見た目の勢いとは裏腹に実際の威力はとてつもない。
蹴られて勢いよく外れた扉は狭い廊下を爆音を立てながら跳ねる。
その音に気づき外からまた新たにこちらに向かってくる。
三枚目の扉が開く。
白い男は即殺するべく予め見られるより早く攻撃態勢に入る。
新たな刺客が扉を開き、中の男と目があった時にはもう死が確定していた。
首が飛ぶ。
「おっと、これは」
首を蹴り飛ばされた刑務官の向かうにはもう一人女の刑務官がいた事に蹴った後気づく。
女は焦りながらもスイッチまで辿り着く。
「あぁ、鳴らされてしまいましたか」
外にも中にも緊急事態の鐘はなり聞こえる。
女は足をもたつかせながらも外へと命からがら逃げていく。
白い男はそれを
「押されてしまっては仕方ない」
と開き直る。
ゆっくりと歩き出し四枚目の扉まで難なく辿り着く。
重く鍵をかけられた扉を何の仕掛けもないただの扉かの様にドアノブを引いて開ける。
「絶景ですね、よく訓練されてる」
扉の向こうに広がっているはずの明るく清々しい血の匂いがしない風景がそこには無く、剣を構えたビビりきった隊士二十名、弓を引いて指示を待つもの十五名が待っていた。
これから更に多くの死者を出す事になる、ここからがこの事件の本編である。
読んで頂きありがとうございました。
今後敵キャラになりそうなやつ多くね⁉︎って思いませんでしたか。
トルタを助けた確実にヴェーラ使いの騎士に悪魔、それから今回の角が生えた男。
どれから倒すのでしょうか。
次の章でこの中の誰かが……出ません!誰も出ません!
という訳でまた次回の裏でお会いしましょう
良ければ感想、アドバイス、質問お願いします。