二章後編39話 絶対的に悪魔
どうもビタミンです。
今回はトルタとアトラに決着?って感じの話です。
題名でこれはアイツが⁉︎って感じですが出てくるのでしょうか。
それでは今回も楽しんで頂けると嬉しいです。
「あれは私の本心だ!他の影響なんて一切なかった!」
今まで至って冷静な態度をとっていたトルタが乱れる。
その隙をアトラが攻める。
「もし違うんのなら何故そこまで取り乱すんですか?あなたなら鼻で笑って済ますでしょう。何か思い当たる事が有るんですね?」
「何もない!!私の意志だ!!そうじゃないとあんな事をした自分が許せなくなる!!何で俺は追い出したんだ……意志じゃなくそんな事をしたなんて考えたくもない!」
トルタには何か心当たりがある様子だ。
アトラは真相を追求するべく更に深く質問をしようとした時。
「「はぁあ、もう君は使いようになんないネェ、残念」」
アトラの背筋に悪寒が走る。
今の今まで何故気づけなかったのかと思わされるほどの背後の強大な存在。
体が固定されたかのようにピクリとも動かない。
唯一動かせる黒目で少し後ろにいたライラの安全を確認するがライラも全く動けない様子だ。
「またこの感じにこの声って」
ライラの手足が震え出す。
ライラは知っている、あの時の、あの事件。
(フツバと逃げ出すきっかけになったあの時の、、、悪魔!)
「「いゃあさあ、君はもうちょっと頑張れると思ってたんだけどなぁ。残念で仕方なぃ。話を聞いてる限りその桃色の髪の子があの時のこかぁ」」
コツコツと歩きだす。
絶対的な存在が確かに近づいてくる。
アトラの隣で足音が止まる。
今右を見れば確実に居る。
この謎の存在、とんでもなく不気味で禍々しい存在。
「「ごめんねぇ、女の子。君とお母さんにはこないだ悪い事をしてしまったねぇ」」
「……」
喋ろうと思ってもライラの口が動かない。
「「あそっか、しゃべれないのか。仕方ないなぁ」」
幼児の様な口調で口を尖らせる。
指をパチンと弾くとアトラの口が自由になる。
「あな、たは何なんですか?こないだ?お母さんが、死んだ、のはもう十年程前に、なります。人違いで、は?」
息をしづらそうに言葉が途切れ途切れになりながらも話しきる。
強大な存在がピョンと一歩前に飛び出してアトラの目の前に立つ。
闇を着ているかのような服装に白目まで真っ黒な目、全てが人を噛み殺せるような形になった鋭利な歯それに背には黒い翼が生えている。
これはもしかすると悪魔という言葉が一番適しているとアトラの中でも結論がでる。
「「うぅうん、間違いない!!君は確かにあの時の子だ。あ!もしかして僕にとってはこないだでも君たちにとっては大分かもしれないネェ。あの時だよ、ほら、あの時、君達が出て行った時の」
アトラが思いもよらぬ口から真相が話され、動揺を口と黒目だけで表す。
「あの時、何をした!」
本能的に危険だと判断する存在にさえ乱暴な言葉で話してしまうほどアトラの心は掻き回されていた。
見知らぬ男が突然家族の負の思い出に踏み込んできたのだ。
「「何をしたって言うかぁ、まぁ単純にそこのトルタ君の気持ちをちょちょッと遠隔操作したって感じかなぁ」」
「お前がっ!!」
こんこんと怒りが湧き上がるアトラ。
歯を尖らせ体の自由が効けば襲いかかっていただろう。
「「ちょっとお、そんなに怒らなくたっていいじゃん!プイッ」」
自分の湧き上がる怒りを相手が調子のいいような子供じみた態度をとられる事に腑が煮え繰り返るアトラ。
「「んっ?トルタ君も喋りたそうだし喋らせてあげるぅ」」
トルタに向けて指を弾く。
トルタの口も自由が効くようになる。
「お前は誰だ!?私の心を操作しただとかおかしなことばかりを吐かすな!」
悪魔はその言葉をつまんなそうに弾き返す。
「「ハァ、だってさぁ、君はあの時もっと意欲が有ったんだよ。だからなんかとんでもない兵器とかを作りかねなかった。なのに今となっては、ただ地位にふんぞりかえるだけの人間。面白みが無くなってたんだよねぇ。そしたら今度はぁ、娘に会って心が本当に揺らぎだした。ハァ、本当につまらなくなってしまったなぁ」」
「兵器なんて作るつもりなんて更々無かった!何でそんな根も葉もないお前一人の理想だ!!」
「「それがボクにとって楽しいからだけどなにかぁ問題?」」
当たり前顔でそう返答する。
アトラにトルタ、ライラまでもが茫然としてしまう。
この悪魔は本当に悪魔なのだ。
ライラは思い出し、アトラとトルタは絶望に暮れる。
「「ジャッ、ネタバラシもしたしあの子も来ちゃうしそろそろ帰るねボク」」
アトラがその言葉を聞き声を捻り出す。
「待て!お前を私たちは絶対に許さない‼︎私たちをお母さんを殺したお前を絶対に!」
悪魔の足元に黒い影が生まれる。
その中に沈もうとした悪魔がその言葉を聞き振り返り一言残す。
「「ボクは殺してないんだけどぉ。勘違いしないでくれないかなぁ」」
アトラはその言葉に本当に勘違いされたとばかりの困った表情に奥歯を強く噛ませ合う。
「お前ーーーー‼︎‼︎」
その絶叫も虚しく悪魔は楽しげに手を振り消えていった。
アトラは怨色に顔が染まり、トルタは青ざめた表情で腰から崩れ落ちていた。
読んで頂きありがとうございました。
さぁ、悪魔が二人の精神をズタボロにした末に悪びれもなく帰っていきました。
そろそろ本当に終わりが近いです。
話が変わりますが僕の話は新規が入りづらくなってるので伏線とかを一切考えない章ごとのまとめ的な物を作ろうかと考えています。それによってより新規の方が入りやすくなるかなと思いまして試してみようと思います。
それではまた次話でお会いしましょう
良ければ感想、アドバイス、質問お願いします。