二章後編37話 回想編―タロン編
どうもビタミンです!
今回は少し過激な内容が入ってきます。
回想回はもういいよ!と思う方もいると思いますがこの話でもう完結してますので許してください。
タロンが狂気に目覚める話です。
主語がほとんど書かれてないでしょうがトルタのお話ですのでタロン目線でお読みください。
それでは今回も楽しんで頂けると嬉しいです。
親に捨てられた……親に捨てられた……。
十二歳にして全てが何もかもが無くなった。
一週間前までは幸せだった。
一緒に手を繋ぎ妹二人、弟一人、お母さんにお父さんの家族みんなで出かけていた。
それがただの髪の色の変化だけで全てが消え去った。
ここ二日程ご飯も食べずトボトボと歩き回っていた。
たぶん近くの隣町に着いたはずだ。
歩いていると後ろ指を指される。
今は後ろ側だけが桃色になっている。
全て桃色になるのも時間の問題だろう。
痩せこけた子供が夜に一人で歩いていたら常人なら話しかける物だ。
それでもこの世界はクソだから、誰も手を差し伸べてやくれない。
知っていた、自分も後ろ指を指す側だったのだから文句は心の中でしか言えない。
横から急に手が伸びてきて自分の体を掴み路地裏に引き込まれる。
尻もちをつき上を見上げると五人ほどの悪漢が指をポキポキと鳴らしてこちらを見下している。
(あぁ、これが噂に聞く集団イジメか。いや、イジメって元々集団でやる事だったっけ。まぁどうでもいっか)
癖で考えてしまう他愛もない事も今となってはどうでもいい。
腹を蹴られ、顔を殴られ、服さえ破られた。
羞恥心さえ無くなってしまっていることには後になって驚いた。
食べ物は慣れない盗みでなんとかやりくりをした。
もちろん満腹になんてなれはしない。
冬になった、服はゴミから拾った。
死ぬなんて何度も考えた。
なのにこの世界は何とも残酷だ。
高い所から飛び降りても、血がどれだけ出ても何故か死ねない。
そんな時に限って助けたりする輩がいたりする。
目覚めた時に初めて桃色髪に気づいて追い出されたことも何度も。
(何で俺が……何で俺が……こんなめに。何で俺が……俺は、悪くない!)
「そうだ!そうだよ!俺は何にも悪いことなんてしちゃあいない!ここに住むあのゴミどもが悪いんじゃないか⁉︎髪がなんだ⁉︎関係ないじゃないか!そんなどうでもいいことを気にしてここまで酷なことをするあいつらが終わってるんだ!そうだ!何で今まで気づかなかった!あいつらこそ終わるべきだ。アハァァ」
これに気づき頭のネジが外れたのは十五の時だった。
こんな事を桃色が大声で叫んでいたら目をつけられるのは当たり前だ。
目の前に四人の男。
「カスが四人か……」
男たちの顔を見て呟く。
「何言ってんだテメェ?ちょっと来い‼︎」
いつものごとく路地裏に連れ出される。
ここは人の目が無い。
存分に犯れる場所だ、お互いに。
背中を蹴られて路地裏にうつ伏せに倒れる。
「おい立てよ!」
背を蹴った男とは別の男が胸ぐらを掴んで無理やり立たせる。
その男と目が合う。
「死ぃねぇ!」
対面の男の目に指を突っ込む。
抉れて目ん玉が中に入り込む。
男が激痛に絶叫をあげて床に目を押さえて倒れ込む。
(殺れる!)
男たちが予期せぬ反撃に気を取られて自分たちへの追撃に遅れをとる。
次の男は首を両手で力一杯絞める。
そのまま壁に思いっきり頭からぶつける。
頭蓋骨にヒビが入ったような粉砕音がする。
男は痛みに気絶する。
それでも手を緩めない。
頭突きで頭蓋骨を粉砕、粉砕、死んだか死んでないかは分からないがまだ殺る人がいるので頭を止める。
残り二人の内一人は走って逃げ出したが一人は目の前で半殺しにされる仲間を前に足がすくみ震えて動けていない。
顎を下から蹴り上げる。
両手を後ろにつき、尻もちをつく。
顎が小刻みに震え歯と歯がカチカチと奏でる。
「さようなら、弱い俺!」
顔面を足の底で踏みつける。
何度も、何度も、何度も、踏みつける。
体の動きがなくなるまで何度も何度も。
辺りに肉片が飛び散り、顔面の形が変形していく。
動かなくなり足を退ける。
そこには歯が抜け落ち、鼻骨はへし折れて、目は白目を剥いて泡を吹いている。
最高の光景だった。
「良かったねぇ、ちゃんと死ぬて」
返り血で髪まで真っ赤になった男が歩いていた。
その男は隣町でトルタに出会う。
頭に物理的にネジを入れ込み、体の全てを機械にした。
大虐殺を考えだした頃に一つの事件が始まる。
その事件によりこの男の夢は終わりを迎える事となった。
読んで頂きありがとうございました。
タロンはタロンで中々に大変な人生を送ってきた訳ですね。
何故か運命的に死ねないのは桃色髪の神が生かしているような感じで奇跡が続いていは感じですね。
次回は久しぶりのアトラが出てきます。
それではまた次話でお会いしましょう。
良ければ感想、アドバイス、質問お願いします。