二章後編26話 二人の関係
どうもビタミンです。
今回もアトラ達のお話です。
最近はPVのアベレージが上がって来ていて非常に嬉しいです。
ここまで全てを読んでくださってる方は何人居るのかは分かりませんが更新していこうと思います。
それでは今回もお楽しみ頂けたら嬉しいです。
今までとはガラリと印象が変わる廊下。
三人の足音だけが響いている。
「着きました。これに乗って下さい」
自動で開く扉の中は小さな部屋になっている。
「何もありませんがここに入れとは一体どういう意味ですか?」
アトラが黒ずくめの男を疑いの眼差しで射止める。
「まぁ、入れば分かります。この機械名をエレイベーターといいます」
聞いたことのない言葉。
アトラ達の立場からして閉じ込められるのはあまり良い事ではない。
しかし
「乗らなければ会えないんですね?」
「えぇ、それとも四百段の階段を登って行きますか?私は構いませんが」
男がすぐ近くにある階段を指さす。
疲れ切っている状態では社長と喋るのも含めて諸々の作戦に支障をきたす可能性がある。
(フツバさんが来るのも時間の問題。受付で手間取った分ここで巻き返すしかない)
アトラが一歩エレイベーターの中に踏み出す。
ライラもその意志を感じ取り、中に入る。
男はその勇気に感心したように鼻を鳴らし、男も中に入ってくる。
警戒は解かずに怪しい行動をすれば殺すまでは行けないが致命傷を与えるぐらいには抵抗するつもりだ。
部屋が上下に揺れだす。
「何ですか、これは⁉︎何をしたんですか‼︎」
「驚くのも仕方のない事ですが、今この部屋は上まで移動しているんですよ。すぐに着きますので」
男が微笑みながら話す。
薄気味が悪い男だ。
こちらの感情を見透かしているかの表情。
全てがこの男には見えているようで寒気がする。
二十秒程経ち振動が止まる。
「着きましたよ」
扉がまた自動で開く。
そこにはエレイベーターに乗った時の風景とは異なる風景がそこにはあった。
より煌びやかになっていて赤い絨毯が道の真ん中には堂々と引かれている。
廊下は長々と続いている。
その廊下を静かに三人は歩いていく。
「ここが社長室」
二人が息を飲む。
大きな扉が聳え立っている。
男は前に立つと片腕全体を使って思いっきり扉を二回叩く。
「誰だ?」
中から渋い掠れた声が返ってくる。
「久しぶりです。社長、僕ですよ。ほら声で分かるでしょ」
男は社長と喋るにしては軽い態度で返事をする。
それを注意する様子もなく扉が大きな音を立てて開く。
当たり前のように自動で。
「久しいではないか。いつぶりだ?お前が来るのは」
部屋の中は四面の壁の内ニ面が本で埋め尽くされており、残りの扉から見て真正面にあたる一面はガラス張りになっている。
そのガラス張りの中央に男が寝転がれるほどの大きさの机が置かれている。
更には皮で作られているであろう高級な質感溢れる椅子に座っている男がいる。
見た目は痩せこけていて、あまり生気を感じない。
瞳は碧い色が抜け落ちたように真っ白で目ん玉が動かない。
「今日はお客様を連れて来てるんですよ」
その言葉に作業を中断し社長が顔を上げる。
「誰だね?」
社長が問いかける。
男が紹介をしようとした所にアトラが自己紹介を始める。
「私の名前はトローノ・アトラ。お久しぶり……いえ私からすれば初めましてですがね。やっと会えました」
アトラは息を荒げた様子で待ち侘びたかのように言い放つ。
トロストルの社長はそれを聞いた瞬間に大きく瞳を開き動揺する。
口が小刻みに動くが中々言葉が出ない。
「な、何故、お前がここに?」
絞り出した声と言葉で言う。
社長はまだ口を震わせている。
この二人の中にどういう関係があるのかがライラには未だに分からない。
下で結婚していたのかと聞いた時はいいえと答えた。
それなら何なのか。
答えは男の口から語られる。
「親子水いらず。私達は一度出るとしましょうかね。連れのお嬢さん」
親子、それが二人の関係性。
ライラはアトラに何も言うことが出来ずに黙って部屋を出ようとする。
「ララさん。何かあったら、渡しておいた物を使って下さい」
アトラがこちらを見ずに言葉をかける。
目を離している余裕がないのだろう。
「うん、分かった」
と必要最低限の返事をして部屋を出た。
「それにしても、意外でしたよね。まさかここの社長の娘さんだったなんてね」
男がライラに喋りかける。
「えぇ、まぁ、そうね」
ライラが適当に返事をする。
「暇ですしお喋りでもしましょう。お名前はララさんというんですね。あなたどこかでお会いしましたよね?」
男が廊下にある大きな柱にもたれかかり喋り出す。
ライラが男の質問内容に共感し会話に乗り出す。
「そうよね、何処かで会ったことあるわよね。何処だったかしら?」
その反応に男が小さく鼻で笑う。
上を向いて顔を押さえながら不気味に笑い、変えていた声が少しずつ戻っていっているように感じる。
男がこちらを目を見た時には今までの様子とは全く変わっていた。
目は血走り、殺意に満ち満ちた表情。
狂人や殺人犯、その類の顔。
ドイルとは違う、変わった殺意を感じる。
「何⁉︎」
「そ、う、だ。確かあの地下でお会いしましたよねぇ!!!」
ライラがその本性にただ戦慄した。
読んで頂きありがとうございました。
最後に出てきた男の発言。「地下で会った」という事はあの中の誰か?
次の話で分かると思います。
話は変わりますがこの後書きやら前書きを書き続ける理由についてですが、この話には詳しく説明しない細かな設定があったりなかったりします。それの説明用にずっと書き続けているという事ですね。
殆どが無意味な事しか書いてないので無視してくださって構いません。
という訳でまた次話でお会いしましょう。
良ければ感想、アドバイス、質問、お願いします。