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二章後編24話 壁

どうもビタミンです。

今回はちょっと変な書き方になっているかもしれませんがご了承下さい。

ちょっとしたチャレンジみたいなものです。

メルトとの終戦後の会話ですね。

それでは今回もお楽しみ頂けると嬉しいです。

 激しく背中を走る衝撃。

 体全体に広がり内臓が悲鳴を上げる。

 自分が有利な環境とは何なのか分からなくなる。

 「界解放」してまで手に入れた力も上回ってくる男。

 黒い瞳と使い込まれた剣にのみ与えられる輝きが痛みよりも頭に入ってくるのが癪に触る。

 骨も体も今の強打で限界を迎える。

 力が入らず顔から地面に倒れ込む。

 空に向かい立っていたはずの家が横たわっている。

 口に赤い液体が込み上げそれを吐き出す。

 少し前の毒々しかった周囲にはその痕跡が完全に消えている。

 体に遅れた疲労が降り掛かる。

 頭の先から足音が聞こえる。

 自分を斬った男が目の前に居るが抵抗できない。

 男の剣を納める音が聞こえた後、男が屈む。

 

「メルトに聞きたいんだけどさ、何でこっち側を中心に固めてたんだ?場所がバレてるのは反対側だけの筈だけど」


 男の中に存在する疑問をメルトに投げ掛ける。

 答えたくはない。

 今すぐ体を置きあげて顔に一撃ぶち込んでやりたいが体が動かない。

 唯一出来ることは口を動かして返答することだけ。

 ここまでされた男に、「戦」という世にも珍しい技を見せたこの男に敬意を払い答える。


「貴様、戦っている時も感じたが足に怪我をしているだろ?」


 男が手で足を摩っているのが分かる。

 正解のようだ。


「その怪我をしたのは唐突に騎士と鉢合わせてしまった時の筈だ。その時に垂れた血に気づいたんだ。その血はこちら側に少しではあるが垂れて行っていた。お前がこっちに逃げたのも含めて俺がここに配置させておいた。貴様の事だ、向こうの出入口は使わんと踏んでな」


 珍しく理由から何から何まで言い当てられて男は声が出ない。

 

「脳から冴えてきてたって訳か。残念ながら楽しい時間お話の時間も終わりだ。俺にはやらないとダメな事が多くてな」


 男が立ち上がり力尽きたメルトを背に歩き出す。

 またこの光景かと笑いたくなってしまう。

 

「気をつけろよ。お前達の中に」


「知ってる。そいつなら残念ながら分かってんだよ。だからやる事が多いって言ってんだろ」


 警告を遮りまた歩き出す。

 しかし、足音がぴたりと止まる。


「それからよ、お前の部下は大丈夫だったか?一応配慮はしたけどさ」


 メルトは空元気を出して男に聞こえる声を出す。


「貴様、やはり狙ってやっていたのか。どこまでも計り知れん男だ。だが、安心しろ。すぐに追いついてやるからな」


 苦し紛れにメルトが指で男に向かって石を弾く。

 その石は男の胸に当たる。

 男の顔を見れる態勢になれないメルトからはまるで巨漢の男に当たったかのような音に聞こえる。

 自分よりも小柄と分かっているのにここまで錯覚させるのは尋常ではない鍛錬の所業だろう。

 

「まだ、足りないのか」


 メルトが唇を噛みながら呟く。


「流石にまだ追いつかれるつもりはねぇよ」


 男がそう口にしたのはきっと無意識にこれまでの努力が言わせたのだろう。

 そして


「今はな」


 そう付け加えて男は風のように居なくなった。

 自分がエリート扱いをされていた事が急に思い出される。

 

「今はこのザマか……」


 男が寝返りをうち、空を見上げて手を顔に当てる。

 

「フッ、フッハハハハ」


 目の前に居ると思っていた男はとうの昔からこんなレベルには居なかった事に気づかされた。

 それは「戦」のせいなのか「ヴェーラ」のせいか「圧倒的な剣技」のせいかは分からない。

 ただ、その疑いようのない事実がメルトを悔しさという壁に打ちつけたのだった。

読んで頂きありがとうございました。

はい、そうですね。今回フツバという名前は一度も使いませんでした。

どうだったでしょうか?メルトは倒れ込んでいたフツバの顔が見えないというのを表現したくてこんな風にしてみましたがやはり変ですかね。

色んな書き方をしてみたいのでもしかしたら今後もやるかもしれませんがお許しください。

という訳でまた次話でお会いしましょう。

良ければ感想、アドバイス、質問よろしくお願いします。

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