二章後編まとめ 〜地下の住人〜
※この内容には多分なネタバレが含まれています。本編をしっかりと読みたいという方はこの話を読むのはお勧めしません。
長々と読むのは疲れるのでサラッと最新話まで読みたい人におすすめします。
この話には伏線や細かい設定、描写、セリフなど省かれている物も沢山ありますのでご了承下さい。
アトラが叫び周囲の投石の手を止めさせる。
アトラからすると自分の好きな人に同じ桃色髪が石を投げるという行為が許せない。
アトラが前に立ち、
「桃髪なんだから石投げられ痛みだって分かってんでしょ!」
そう怒鳴りつける。
しかし今のアトラの髪は黒髪だ。
加害者側から被害者側の気持ちを分かったかのように言われて腹が立たない訳はない。
最初に石を投げ出した男がアトラの髪の色について反論する。
アトラは自分が桃色髪であると主張するが当然信じてもらえるはずはない。
黒く染めるなんていう発想はフツバの協力者が特殊だからこそできた物だ。
アトラは心を決め、どこかへ歩き出す。
反論した男が石を投げるがどこか自信がなく、アトラの足を止める事さえできない。
アトラが立った場所は泥水の目の前。
アトラが髪を洗うと桃色がどんどん浮き上がってくる。
その様子に驚き、信じられない様子の人々。
その時、ずっと蚊帳の外だったライラも顔を出し、その光景をしっかりと見届ける。
アトラがフツバを信じてくれないかともう一度提案する。
フツバもすかさず話だし、より信じてもらおうとする。
こうして完全に歓迎ムードになった訳ではないが一度受け入れてもらう事ができた。
フツバ達は最初にフツバ達を助けてくれた男、タロンの家にお邪魔することになった。
そこではアトラとライラが風呂を借りたり、お茶を出してくれたりと手厚く養ってくれた。
フツバとタロンの二人のみで会話は始まる。
まずはこの場所の説明。
桃色髪の避難所、それも特に特殊な人が多いのはフツバ達も見て分かっていた。
あの体の一部を機械にされた人達その実体は政府の軍強化の為の試作だった。
アトラが飛び入り参加をしてきて、フツバ達がタロンに協力する事を約束する。
しかし、フツバの中の一つの疑問であるフツバ達が正義側だと思った理由についての話になる。
世間では悪とされているフツバ達だ。
理由はアトラを助けた時に倒したドイルだった。
ここにきた桃色髪でドイルに二時間以上殴り続けられたという女の人がいたらしい。
その時から溜まっていたドイルに対する憤怒を晴らしてくれたのがフツバ達の一報だったという。
その情報でフツバ達がタロンの味方側だという事を確信したらしい。
疑問も解け、いよいよタロンの本題に入る。
タロンはフツバ達三人にトロストル社という会社を潰して欲しいと話しだす。
タロン曰くこの会社が最も人体実験を行なっており、この会社を潰す事ができれば他の会社もびびってできなくなるという事らしい。
重要な手段だが、それは最新の技術の「映像」を使うことになった。
実験として行われてる以上映像に実験映像が行われているらしい。
それを見つけ出し、長年地下で待機していた者達で作った放映機で流す。
トロストル社の社会的地位を崩壊させるという算段だ。
この作戦は全員理解したがその映像を手に入れる為には会社の中に入らなければならない。
騎士団がうろついている街で雑な手段は使えない。
術が無く、この案を廃案にせざるを得ないと思ったその時アトラが偉そうに立ち上がっていた。
「私はなんと、あそこの会社の社長と知り合いなんです!」
全員が驚くがそのおかげで話が進む。
こうして作戦の決行が予定されフツバ達はタロンに貸してもらった家で休む事になる。
三人の話の題材はアトラの事を相手側が覚えているのかだった。
アトラの返事は曖昧な物だった。
この土台が有りきで進んでいる作戦だ。
しかしアトラ曰く二人にしか分からない言葉があるらしい。
この歯切れの悪い言い方にフツバは違和感を持つがライラの説得とアトラへの信頼で深入りはしないでおく。
フツバ達はアトラのその伝手に頼るしかないのもまた事実だ。
フツバは再びアトラに対して信頼の言葉をかける。
アトラの中のやる気が充分に満たされたようだった。
そして少し時間は戻る。
フツバ達がこの家に来るまでの道のりで起きた出来事。
フツバ達の前に石を投げた人達が道を塞いでいたのだ。
代表者であるカルロというタロンを叱りつけていた老人が名乗る。
カルロはフツバ達の役割も、全部聞いていたらしい。
その上で問いたいと言う。
なぜフツバとライラがアトラという桃髪の少女を救うのかを。
フツバは自分が異端な境遇で育った事を話す。
フツバの話が終われば問題のライラだ。
最初はフツバがその場で即興で嘘を吐こうとした。
しかし、ライラは皆んなの前に立ち話し出す。
自分がお姫様である事、そして今までの旅を。
ライラの視点から語られる今までの旅路。
そしてライラが身内に殺されそうになったりとそこから見出した自分と桃髪の共通点、そしてアトラと約束した事。
全てをそこで話した。
止めたいところは多々あった筈の人々黙って話を聞く。
それはきっとアトラという一人の少女に皆んなが憧れていたからだ。
皆んな怯えつつも憧れていたのだ桃髪以外の人と隣に並び笑顔で話す事を。
フツバ達を待っていた時に聞こえたアトラの真っ白で純粋な笑い声、それが彼らの心を大きく揺れ動かしたのだった。