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二章後編19話 不要部品

どうもビタミンです。

今回で準備の話は最後です。

フツバ達は作戦を成し遂げる事が出来るのか?

まだここからやっと作戦開始ですので後十話ぐらいで終了かなという感じです。

これが終われば三章に入ります。

という訳でお楽しみ下さい。

「フツバさん!どうしたんです⁉︎」


 入り口で待っていたアトラが帰ってきたフツバに気付き、走って近寄る。


「こんなにボロボロになるなんて珍しいじゃないですか!」


 フツバの所々の怪我に気付く。

 フツバが心配するアトラに苦笑で返す。


「流石に敵と交戦は免れなかった。色んな奴と会ったからな。流石にノーダメージで無事帰還とは行かなかったよ」


 フツバが外で起こった事を触りだけ話す。

 二人の話し声が大きかったのかライラが走ってこちらに向かってくる。


「アトラの声が聞こえたと思ったらやっぱり帰ってきてたのね。……アンタ、まさか怪我してる⁉︎」


 ライラもフツバの珍しい姿に驚く。


「細かい説明はアトラと一緒に後でする。今はこの荷物を作業場に運ぶのが優先だ。それとタロンと話したいこともあるしな」


 フツバが自分の心配よりも作戦の進行を優先させる。

 フツバが少しフラついた足取りで作業場に向かう。

 アトラは心配そうにフツバの周りを歩いているが支えはしないのはフツバが手伝うなと言わんばかりのオーラを放っているからだろう。

 フツバ達が作業場に着くとタロン達と作業員が慌てて駆け寄ってくる。

 タロンが何があったのかと聞く前にフツバが先に話し出す。


「まずな、お前のせいじゃないって事は言わせろ」


 タロンの心を見透かした発言に少し動揺し、タロンはすぐに返答する。


「ですが、私が居ればそこまでの怪我には」


 タロンがフツバの怪我を自分のせいだと主張する。

 タロンは少なくとも自分が行けば被害は減ったと思っている。

 もちろんフツバがそんな発言を放ってはおかない。

 フツバが笑いながら


「更に言わせてもらうとだな、お前が居れば更に被害が増えてた。姫さんやアトラが知っての通り今のここの面々なら誰を連れて行ったとしても足手まといでしかない。それになタロン、お前が思ってる以上に外は戦場だぞ」

 

 フツバの語った事は事実だ。

 タロンがあの場にいたとてせいぜい肉壁にしかならなかっだろう。

 ライラにとっても珍しいのフツバの手負いでの帰還。

 フツバがまともに怪我をしたのなんて魔剣やらを使ったドイルだけだろう。

 上でどんな戦いが起こったのかライラは正直言って気になる。


「ねぇ、上で何があったの?」


 ライラが耐えきれずにフツバに聞く。

 フツバが指であった出来事の数を数えながら話し出す。


「一つ目はな、タロンに頼まれた店の奴が裏切りやがってな。店にメルトどもが潜伏してやがった」


「なっ!本当ですか。嫌われているのは分かっていましたが通報までされているとは」


 タロンがフツバの報告を聞き、裏切られたばかりに唇を少し強く噛む。


「二つ目は出入口が封鎖されてた」


「っ!」


 軽い口調で話した事の重要性に聞いていた全員が驚く。

 特にこの地下の出入口の場所を理解しているタロンには人一倍の衝撃を与える。


「封鎖されていたという事は、まさか中央を通って反対側まで行ったというのですか⁉︎」


 フツバはそれを当たり前の様に首を縦に振る。


「話を続けるぞ。まぁ、タロンが言った通り反対側まで行かないといけなくなった俺は屋根に登って最短ルートで向かっていた。そしたら案の定セメラルト兵と遭遇した」


 次々と出てくる試練をフツバは当たり前に話していく。

 タロンはその一つ一つに驚き、当たり前の様なフツバに少し引いている。


「敵の人数はどれくらいでしたか?」


 アトラが気になったのか口を挟んで質問する。


「えっとな最初は十数人で待ってたんだが、後ろから追いかけてきてたメルトがセメラルト兵の隊長以外を全部非難に回させたから結果的には二人だな」


 フツバが思い出しながら話す。

 隊長という言葉に反応したタロンが今度は質問してくる。


「まさか、隊長っていうのは渦巻いた髭を生やした人では無いでしょうか?」


 タロンが思い当たる節があったのか特徴をピッタリと言い当ててくる。


「そうそう。そいつだったよ」


 フツバが肯定する。

 するとすぐに


「そいつの名はセバルドというものです。このセメラルトを守る兵の隊長です。相当な実力者ですよ。人数不利ですし、もちろん逃げたんですね」


 タロンがフツバの言いたい事の前フリをしっかりとしてくれているのでフツバもやりやすい。

 

「戦ったよ。あと、そいつは気絶させてきた」


「……………」


 目を見開いて絶句するタロンにフツバがニヤリと八重歯を見せて笑って返す。


「メルトはどうしたの?」


 ライラが先の発言に驚きもせず、もう一人の成り行きを聞く。


「メルトならヴェーラで地面とくっつけて来た」


 それを聞き、ライラが爆笑して床に倒れる。


「地面と、くっつけて、来たの。絶対怒ってるじゃない。あぁ、お腹痛い」


 ライラはメルトが何だかツボらしい。

 結果を整理したアトラがフツバに確認を取る。


「あの、もしかしてこの四十分ほどでまさか上の主戦力に勝って来たという事ですか?」

 

 アトラが半ば否定して欲しそうに聞いてくる。


「言われてみればセメラルトの隊長も倒したし、メルトもくっつけたし、そういう事になんのか」


 フツバもアトラの指摘でその事実に気付く。

 その発言を聞いた周りの人達は今まで黙って聞いていたが騒ぎ出す。

 

「作戦行けるぞ、コレは!」


「フツバさんが居れば戦力に不安の要素がないな!確かにこれは希望がより大きくなって来たぞ!」


「おい、早くフツバさんの怪我を治さなきゃな。誰か救急箱持って来てくれ」


 それぞれがフツバの一人で主戦力撃破の報告に歓喜する。

 そんなフツバの報告でよりやる気を見せた人々は意気揚々と作業に取り掛かる。

 フツバはライラと地下の医者みたいな老人に軽い手当てをしてもらう。

 様子を少し見ているとアトラの作業スピードが早すぎる事に気付く。

 

「アイツ、クソ早くないか?姫さん」


「そうなのよ、あの子みんな曰くとんでもなく早いらしいわよ。アトラも何だか嬉しそうだし良かったわ」


 桃髪の人々が髪を隠す事なく笑いながら話をしている風景を見ているとここが今一番幸せな空間なのではないかと錯覚してしまう。


「それにしても裏切られたとか言ってましたがどこの店の事ですか?」


 医者っぽい老人がフツバに質問する。


「何か地下にある店でな、そこにしかない部品が必要だったんだとよ」

 

 フツバも軽い世間話ぐらいの感覚で話す。

 老人がその返答に不思議に首を傾げる。


「そんな物あったっけなぁ。はて、私も歳を取りすぎて少しボケてしまいましたかな」


 男のボケている様子にフツバもフッと少し笑ってしまう。


――― ーーー ーーー ーーー ーーー ーーー ーーー ー


 新しく入った部品を使い作業を進める人達。

 部品を取りに来た若い男と女がフツバの買ってきた部品が入ったそれぞれの袋を見ながら話している。

 男が一つの袋から部品を取り出して女に聞く。


「おい、こんな部品どこに使うっけ?」


 女が少しその部品を見て悩む。


「思い出せないな。多分使わないと思う。フツバさんも買いに行くの初めてだし何か間違えちゃったんじゃない」


 女が部品を不要と判断して袋の中に投げ入れて戻す。

 

「そうだよな。あの人にだって間違いくらいあるよな、きっと時間もなかったんだろうしな」


 男が袋を他とは離れた場所に移動させる。

 男と女は別の袋から部品を取り出して作業に戻っていった。

 離れた場所に置かれた袋、それはフツバが命からがらで買ってきた地下の店の袋だった。

 

読んで頂きありがとうございました。

今回の話は最後が不思議な終わり方でしたね。

あれが何を意味するのかは察しがいい人なら分かると思います。

まだ明かしていない事は色々ありますのでちゃんと全部回収していこうと思います。

また次話でお会いしましょう。

良ければ感想、アドバイス、質問よろしくお願いします。

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