二章後編18話 治療結果
どうもビタミンです。
12月になりましたね。外はもうめちゃくちゃ寒いですね。
今月の最後は前の様に毎日投稿出来るかもしれません。
なんなら正月のオリジナルストーリーとか書けたらななんて考えています。
という訳で今回もお楽しみ頂けたら幸いです。
戦闘する事により追手を振り払う事が出来たフツバは一目散に地下通路への出入り口へ向かう。
一般兵が警戒態勢でフツバを捜索している中央を抜ける事になる。
油断大敵だ。
壁を利用して隠れて、物を利用して隠れてと着々と進んでいく。
フツバは気付かぬ内にトロストル社の本社の麓まで来ていた。
豪勢に聳え立つ建物は軽く20階以上はある。
本社の前には有難い事に一つ大きな通り道が引かれている。
(ここから真っ直ぐに進めば外には出れるか。映像を流すとしたら広い場所の方が良さそうだな)
フツバが辺りを見回すが大きく開けているのはこの通りをずっと横に行った最初にメルト達と出会った場所が一番近い。
(遠過ぎる。何か映す物を用意させるか?いやそんな時間はないな。これ以上援軍を呼ばれても状況は悪化するだけだ。どうする、どうする。あ、そっか)
フツバの頭の中で打開策が思い浮かぶその瞬間後ろから鎧と鎧が奏でる騎士特有の金属音。
(ヤバい‼︎)
フツバが大きく踏み込み走り出す。
フツバの中で映像の策も見つかった。
本当は逃走ルートも把握しておきたかったがそんなに制限時間の余裕はないらしい。
そろそろメルトの位置はフツバのヴェーラの範囲外になってしまう。
音は微かしか鳴らさず、まるで風の様に疾走する。
入り口まであと少しの所には着いた。
そのまま駆け抜けるつもりであった。
しかし、、ゴン!っと鈍い衝突音、フツバの体が何かにぶつかった。
「この辺り一帯は侵入禁止にしたはずだぞ!入っては………貴様はオトッ」
がくりと男の体から力が抜ける。
大声を出される前にフツバが肘打ちを鳩尾にめり込ませた。
急な激痛に意識を失ってくれた様だ。
「ウッ」
フツバの足が痛む。
急に力を込めた足からさっきメルトに壁にぶつけられた時の怪我から出血していた。
フツバはそれに気づくが止血をしている時間はない。
気にせず入り口まで走り切る。
その騎士以外には問題なく戻れた。
あとは地下の地図を見ながら帰るのみ。
フツバは足を少し痛ませながら地下に戻った。
―二時間後―
都市セメラルトの病院では怪我人の治療が終わりに差し掛かっていた。
メルトも手当てを受けた一人だった。
メルトよりも緊急で集められた部下達の方が重症だ。
体の所々に石飛礫がめり込んでしまっている。
「フツバ!確かにあの状況なら最善策なのかもしれん。しかし、それでは本当にただの悪ではないか。お前は何か裏がある。そういう男だろ!なのに何故あそこまでの怪我をさせる!」
メルトが包帯の巻かれた体を痛ませながら届かないフツバに怒号をあげる。
部下達の治療結果は今から出る。
しかし、あの攻撃で後遺症が残っしまう者もいるだろう。
そんな人の未来を邪魔する様な奴なのだと失望しているメルトに医師が声をかける。
「あなたが確かあの地下の店の事件の隊長さんでしたよね?」
「あぁ、そうだ。アイツらの状態は⁉︎」
メルトが肯定した後、食い気味に聞く。
医師は唾を飲み、心苦しい表情をしている。
重い口を開く。
「非常に申し上げにくいのですが」
メルトも医師の話の出だしから覚悟を決める。
「皆さん、異常無しです」
「やはりか、異常無しだと!フツ、バ、待て‼︎今なんと言った?」
「皆さん、異常無しです」
空白の時間が数秒流れる。
メルトが医師の言葉に思考を巡らせる。
その様子が少し時間がかかりそうだったので医師から説明を始める。
「皆さん、無事なんです。考え難いですが、皆さんの体にめり込んだ石飛礫は全て筋肉、内臓、関節、を傷つけない様な位置に打ち込まれていました。あんな所業は相当な技術の持ち主でなくては不可能かと思われます。この技術は正直に申し上げますと三星以上だと医師の私からは感じ取れます」
メルトは申し上げにくいの意味を勘違いしていた。
てっきり、誰かが歩けなくなってしまったとかの悲しい報告なのかと思っていたが驚愕の報告だったのだ。
「あの状況で狙った位置に石飛礫をめり込ませたのか、アイツは」
メルトは本日二度目のフツバとの力の差を感じる事になった。
メルトの中でどんどんフツバ達が本当に敵なのかという考えが強くなってきている。
(今の俺では答えは出ん。ならば本人に勝って聞き出すまでだ!)
メルトは更に強くなれと自分に命令した。
読んで頂きありがとうございました。
今回でフツバはあの時ただ焦って無闇矢鱈に攻撃した訳ではないということが分かりましたね。
フツバの本気が出るのはいつになるのでしょうか?
今回の章?それとも次の章?って感じですが、本気を出した時は後書きか前書きかで書こうかなと思います。
それではまた次話でお会いしましょう。