表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/217

二章後編16話 硬手術

どうもビタミンです。

お気づきになりましたか?題名がまた変わった事に。

サブタイトルをまた変えました。前回のはあまり好きでは無いのはありましたが実際今回のもあまりしっくり来て無いです。

どちらが良かったとかの意見もくださるとありがたいです。

それでは戦闘シーンをお楽しみ頂けたら嬉しいです。

 空を断ちながら斧撃が放たれる。

 フツバは軽く後ろに飛び躱す。

 地面と斧は激しい音を立ててぶつかる。


「無茶すんなぁ、おじさん」


 フツバが冗談めかした口調で煽る。

 男の怪力によって地面に埋まった斧を男は無理矢理地面を砕きながら抜き出される。

 男は癇に障ったらしいが呼吸は乱れない。

 フツバはてっきりメルトも援護してくるかと思っていたがメルトは構えたまま動いていない。

 そして、こう口にする。


「おい、斧使いの騎士。お前の後ろの兵士共を市民の避難に回せ。邪魔だ」


 メルトが男に命令する。


「残念だけど、俺達が王都の騎士さんに命令される筋合いは無いんだよ。それにウチの奴らはアンタが連れてた奴とは違い戦えるもんでな」


 男がムキになりメルトが連れていた騎士達の軟弱さを煽る。


「そうか、お前は部下とフツバの力量の差も分からんのか。なら貴様も避難に回れ。お前は少しは出来るやつだと思ったんだがな。いるだけ邪魔だ」


「メルト、言うねぇ」


 フツバが茶々を入れながらもメルトはフツバの力を理解して、店での二の舞にならぬ様に逃げさせる事を促す。

 男は唇を噛みながら手を仰ぐ様にして部下達を避難に回させる。

 兵士達も少し困惑しながらメルト達を背に中心街へ向かう。


「若い王都の騎士さんよ、足手纏いになったら承知しねぇぞ」


 男は手で髭をなぞりながら呟く。


「安心しろ、俺も一応コイツと同じ三星なんでな」


 メルトが力強くフツバを睨む。

 フツバはまだ余裕の表情だ。

 メルトも分かっている、この男が協力したとて勝てる保証はない。


「準備完了って所だな。なんなら避難が終わるまで待ってやっても良いんだけど?」


 フツバは肩に剣を乗せて油断しきっており隙だらけだ。

 だが二人とも突っ込んで行かないのは異様な殺気を感じるからである。

 決して頭では理解していない、ただ本能が今は行くなと言っている。


「いいや、フツバ。お前がどれだけ強いのかは知っている、、、だからこそ!今ここで止めるぞ!」


 メルトが意志を改めて固め、より強い眼光でフツバを睨む。

 フツバもそれに応えて戦闘態勢に入る。

 辺りの空気が一気に変わる。

 メルトとフツバが向き合う形。

 静まり返る、緊急の避難に動揺する市民の声などもはや聞こえていない。

 初撃を仕掛けたのは渦巻き髭を生やした男だ。

 フツバの後ろからフツバに一気に距離を詰め、真上から斧を両手で振り上げる。

 メルトととの共闘をするつもりなら正しい判断。

 しかし、その両手を使った攻撃はフツバの片手で支える剣に防がれる。

 男が目の前の光景に唖然とする。

 しかし、斧を振り上げると同時に仕掛けようと踏み込んでいたメルトも自分の間合いにフツバを入れる。

 フツバの体を真横に裂き切る斬撃を放つ。

 途端にフツバの体が元の位置から消える。

 フツバは当たり前の様にその斬撃よりも低い位置に体を下げて躱し、同時に攻撃に転ずる。

 フツバの常套手段だ。


「剣はな、そんな隙が出来る振り方をするもんじゃねえぞ!」


 フツバの挙動に遅れて反応したかの様に斧がフツバの元いた位置目掛けて動き出す。

 その僅かな遅れさえも把握していたのか狙ったかの様に斧とメルトの斬撃とぶつかる。

 お互いに全力の一撃だ。

 二人ともが後ろに反動で後ずさる。

 フツバがメルトの腹に斬撃に加え、一撃蹴りを打ち込む。

 吐血しながらメルトは中心外の方向へ体が吹き飛んで行く。

 メルトの攻撃に夢中になっているフツバに態勢を戻した男が斧撃を二撃斬り込む。


「っ!!」


 フツバは想定外の二つの攻撃に動揺する。

 男はさっきまでと変わり両手にそれぞれ斧というよりもナタのようになった二つの武器で攻撃しようとしている。

 フツバの中で思考が駆け巡る。

 答えを僅か刹那の間で考え出す。

 戦いとは刹那の世界。

 つまりは刹那の思考は戦況を良い意味でも悪い意味でも大きく変える一手になる。

 フツバの名案、それは一つ。

 フツバはニヤリと笑う。

 男は攻撃がフツバに当たる瞬間のその笑顔に不気味な物を感じるが引き返す事はもう出来ない。

 そのまま斧撃がフツバに突き刺さる。

 そう思っていた、結果は本能が教えた通り全く持って違っていた。

 男はその光景に苦笑いをするしかなかった。

 フツバの愛剣は地面に落ちている。 

 フツバは二つの攻撃を二つの腕、それも何も持っていない素手で受け止める。


「驚いたか?拳術の基本、硬手術だ。修行は色々しとくもんって訳だな」


 フツバが鼻で笑いながら怪我一つなく一連の攻撃を受ける。

 手のひらに確実に当たってはいる。

 しかし血は一切出ていない。

 

「お前は剣術だけではなく、拳の方もいけるというわけか。これはたまげたわ」


 男の負け惜しみばかりの苦笑いをしたと同時に男の腹に拳撃がのめり込む。

 

(オトメ・フツバ。この男どんな教え方をされたらここまでなるというのだ)


 心の中で称賛の声を上げる。

 その放たれた拳撃は着ていた鎧を凹ませ、体の芯にまで威力が届く。

 図体の大きさとねじ伏せる様な斧撃を得意としていた渦巻き髭の男の全ての技を難なく越えられる。

 フツバのその拳撃は真っ直ぐよりも少しずれており、薄い角度で男の体は吹き飛んでいき、壁にぶつかれたのは十メートル程飛んだとこであった。

 勿論の事、男は完全に意識を失った。

 そんな男に対してフツバは赤くなった手を労る様にさするだけの被害である。


(魔剣無しのドイルといい勝負ってとこだな。年齢よりかは遥かに強いと思うけどな)

「相手が悪かったな!」


 フツバは決まったとばかりに笑顔でそう言い放つ。

 

「やはり、強いな。想像以上だ。フツバ」


 その笑顔の後ろから瓦礫から這い上がる音と共に暗い声が聞こえる。


「本番はこっからか。お前がヴェーラをどこまで使えんのやらな?」


 フツバは試す様な口調で起き上がったメルトに喋りかける。

 メルトの傷は予想していたよりも浅い。

 メルトが少し体を後ろに逸らして浅くしたのだろう。

 起き上がったメルトの顔色はいつもと変わらずこちらに怒りの視線を向けていた。

 

「俺の成長を見せてやる!『万物の命を奪い取れ!』」


 メルトの剣が紫光を放った。

読んで頂きありがとうございました。

今回は硬手術という新しいワードが出てきましたね。

これは別に詳しく説明する事はないと思いますので。

文字通り手を硬くするという拳士ならば剣と対峙する時に必須になる技術ですね。

まぁ、難しい意味では無いのですぐに理解できると思います。

サブタイを変えた件ですが、色々頭には思い浮かぶので試すのもありかなと思ったんですが、それだとネタバレしちゃう事になるのであんまり出来ないのも事実なんですよねぇ。

という訳でまた次話でお会いしましょう。

良ければ感想、アドバイス、新しいサブタイの評価などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ