二章後編12話 肉ーー‼︎
どうもビタミンです。
題名で分かった通りゆるーい回です。
ほぼ毎日投稿を続けてPVが安定しだしました。
次は人数の方ですね。
それではお楽しみください
「まさか事裁の時、姫さんはあんなに危機感が無かったなんてな」
フツバがテラスで笑いながら話しかける。
ライラもそれにクスリと笑い応える。
「そりゃあ、あの時は何が起きたかよく分かってなかったんだもん。なんなら面白い事件に巻き込まれたんじゃないかなんてのも考えたりしたわ」
ライラが演説で述べた内容に付け加える。
「それにしてもアイツらはあれからは結構素直だったな」
フツバが道を塞いだ人達の話を切り出す。
「私も驚きましたよ。私を見て似ているなんて思ってくれていたなんて。あなた方は思わないでしょうが桃色髪に似ているなんて思ってくれるのは私たちにとってとても珍しく嬉しい事なんですよ。それは結構響いたんじゃないでしょうか」
アトラが作業をしながら入ってくる。
作業中だから下を向いているように見えてフツバには小っ恥ずかしくて下を向いているように見える。
「それはお前があの中で気に入ってる所言ってるだけだろ?だってアトラ、あれが終わった後ライラの手を握って離さなかったじゃん」
フツバがアトラを揶揄う。
何も言わずに顔を赤く染める。
アトラはあの演説が終わった後自ら近づいていき、ライラの手を握っていた、ずっと。
「明後日の朝に決行とはなんとも怒涛の展開ですね。ここに来てからまだ一日も経ってないのに」
アトラがせっかく来れた機械都市での怒涛の展開に不満気に呟く。
明日は機械の点検やら何やらが入ったりとフツバ達という急な作戦のスケットの来訪に急いで合わせる形となっている。
フツバがぼーっと天井を眺める。
人工的に掘られた空洞のような場所、一日中電気をつけており時間感覚が狂う。
そんなゆっくりとした時間が流れていく。
ライラが取り止めの無い話を始め出す始末だ。
「何で空が無いのにこんな場所作ったのかしら?
眺めれる風景なんてこれといってないのに」
全員まともには考えないが少しの間が空いた後フツバの口が動く。
「考えられるのはここが元々地上にあったとかじゃないか」
この疑問はフツバも考えていた。
こんな空洞がどうやって、誰によって作られたのかも分からない。
ただ地面の土やテラスなどの明らかに地上でなくては作られない土の質や、意味の成さない物がある。
「なるほど、、どうやって?」
「それは俺も分かんないけど単純にヴェーラってとこだろうな」
フツバもガーリンから様々なヴェーラ、歴史、戦士、を教えてもらった。
残念ながらその中に当てはまるヴェーラ使いはいない。
ただこんな意味のない事を考えれる時間が今のフツバ達には恋しい時間だ。
コンッコンッ、と部屋の扉が叩かれる。
静寂の中に放たれた音に全員がすぐに反応する。
フツバも一応ではあるが剣に手を当てる。
もしもの事がある。
メルト達の動きが明確に分からぬ以上は警戒せざるを得ない。
フツバが警戒を緩めず、訪問者に尋ねる。
「誰だ⁉︎」
そう言った瞬間に扉が木独特の音を立てて開く。
「……あんたは、」
「すまんな。お主達の立場を忘れておった。驚かせた事は謝ろう」
扉の前には何やら荷物を持ったカルロが立っていた。
カルロが一度頭を下げる。
フツバも相手が分かり警戒を解く。
カルロはフツバ達を受け入れてくれた。
警戒する理由はもう無い。
「爺さん、何しに来たんだ?こんな、、夜に、、だよな」
フツバが時間感覚の麻痺を露骨に見せた聞き方をする。
「お主ら腹がまだ減っとるだろ?」
カルロが少し口角を上げて手荷物を顔の横まで持ち上げる。
それを聞いてはライラが嬉しそうに駆け寄っていく。
一応ご飯は食べている。
しかし、木の実ではただ腹に物を詰めているだけになってきていた。
「ここにそんな充分な飯があったのか?」
フツバが疑問に思う。
作戦の二日前なのだからご馳走が来ると思っていたが来なかった。
そこから余裕がないと考え、今までと変わらないコルトを食べていた。
「そうだなぁ…充分はない。しかし我々もこの作戦に賭けた身じゃ。その作戦の中枢のアンタらには少しはいいもん食ってもらわなな」
タロンがライラにその手荷物を渡す。
ライラが蓋をゆっくり開ける。
「おぉーーー!!」
ライラが歓声を上げる。
フツバも近づき中を覗き込む。
フツバも中の光景に声が漏れる。
「ぉぉ」
「お肉ではないですか⁉︎」
アトラも大きな声を上げる。
焼かれて肉特有の香ばしい匂いが部屋に広がる。
三人のお腹が共鳴する様に鳴る。
お肉、それはあまり珍しくはない。
一般的には食べようと思えばすぐに食べれる。
その代わり、肉引換書がいるので逃亡生活中にありつけるのは珍しい。
「タロンの坊主がのぅ、ついさっき身なりを潜めて貰ってきたんじゃ。お主らに少しでも感謝の意を伝える為にの」
その言葉に肉を一枚一枚数えて何枚あるか楽しみにして、今か今かと食べるタイミングを伺っていたライラも手を止めカルロを見やる。
「そんな事しなくたって別にいいんだけどな」
「そうよ、恩なんて感じないで。私たちだってあなた達のエイゾウの技術がないと不可能なんだからお互い様よ」
ライラがそう笑いかける。
カルロが言い返そうとしたがそれを一度飲み込み頷く。
「アンタ達ならそう言ってくると思っておった。明日からは本格的な準備に入る。もちろん手伝っては貰う。特にフツバさんとやらは顔を隠せばタロンより動けそうだからの」
カルロがさっきまでの恩を本当に忘れたかのようにフツバに鬼畜の笑みを見せる。
「はは、が、頑張りまーす」
細い返事が絞れて出てきた。
カルロは満足気に部屋から出て行った。
読んで頂きありがとうございました。
肉は珍しい食べ物でないのは私たちと変わりません。
ただ肉引換書がないといけないという制度なんですね。
ちなみに魚は無くても大丈夫です。
もうそろそろ本番ですんであと少しお待ち下さい。
それではまた次話でお会いしましょう。
良ければ感想、アドバイス、よろしくお願いします