表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/217

二章後編11話 自分勝手だけど

⚠︎今回は本当に文字数が多いです。いつもより時間を要するかもしれません。


どうもビタミンです。

今回は前回述べた通りライラの演説回です。

まぁ、今の僕の技術でどこまで深く書けるかは知れていますがこれで王族の大方の流れを知っていただけたらと思います。

という訳で第12話お楽しみください。


「こんな事あなた達に話す事じゃないかもしれない。……でも、聞いて欲しいの次期、国の王女が何故こんな所にいるのか。それと私達、王族が犯してきた大罪をあなた達に聞いて欲しい!」


 ライラが力強い眼差しで喋りかける。

 みんな動揺でまともに反応が出来ない。

 その様子を見て、ライラの不安が募る。


「私からもお願いです。これから、いや、いつになるかは分かりません。皆さんが知っての通りこの方達は指名手配されるような人達ではありません。それにはもちろん様々な事情があると私も心得ています。

ですが、いつか、ライラさんが王女の座に戻れた時ライラさんは私に約束してくれました。きっと桃髪の差別をなくすと。その時まであなた方もライラさんを信じて強く生きれるように聞いてください。お願いします」


 アトラが前に出て深々と頭を下げる。

 アトラの真剣な言葉に付け足すような言葉をフツバは持ち合わせていない。


「頼んだぞ、姫さん」


 と小さく後ろから応援するのが精一杯だ。

 ライラの胸の奥底で何かは分からない、得体の知れない何かが湧き上がる。

 恋?違う。

 これは勇気という物だと理解するのに時間はかからない。

 いつも担がれてばかりで、役立たず、何だかいつもお荷物感を感じてしまう。

 謝るのもフツバに失礼だというのも分かっていた。

 そんな人生初めて感じた無力感、自分は何も知らず何も出来ない。

 それとは対照的になんでも出来るフツバ、考えて、戦い、様々な事を知っている。

 心のどこかで憧れてさえいたのかもしれない。

 しかし今


(そんな人に頼られてる。ガーリンの弟子に頼られているんだ、私。これが五英傑好きの私にとってどれほど光栄な事か分からないけど、とにかく感無量って奴でしょ。絶対に帰ったら妹達に自慢してやるんだから。きっと)


 一瞬でスラスラと頭の中で言葉が駆け巡る。

 頭を下げていたアトラが顔を上げる。

 みんなは多少なりとも落ち着いてきているがまだ話はしっかりと聞かない様子だ。

 しかし、その中の一人から聞かせてくれと言わんばかりの視線を感じた。

 そう、カルロだった。

 カルロの少し老いた目でしっかりとこちらを見ていた。

 ライラにとって一人でもこんなに真剣に聞いてくれる人がいるのなら十分だ。

 

「はぁ」


 一度小さく息を吐く。

 唇を舌で潤わせた後ライラの口が動きだす。


「私はほんの最近まで城のに出た事はなかった。それが当たり前なんだと思ってた。王族は偉いから外に出てはいけないんだって思ってた。でも十四歳のある日、ある一冊の本を読んだの。

それは歴史の本。この国は歴史上だと建国からまだ四百年しか経っていない。この当たり前の日常が作られるまで沢山の人の功績を目にした。

五英傑に始まり、戦士、政治家、色んな人が作り上げてくれたのを知った。それからは読書ばっかりをしていた。

 そして外に出たくなったのが十七の時だった。城にある本は一通り読み終えた。外に出て色んな人と話をしてみたいって思った。

 それからは城からの脱出を試みたわ。でも、全然ダメなのよ。みんな優秀だから一瞬で見つかるし、一人では一階に降りるのが精一杯だった」


 力が抜け、笑って喋れるようになる。

 過去の自分を思い浮かべて懐かしむ。

 色違いの綺麗な双眸に涙を浮かべ、目を擦る。

 そんな様子にどこか共鳴したのか、少しづつカルロの様に聞く者達が増えていく。

 人から人へ共鳴していく。


「だけどある時機会が訪れたのよ!それは騎士の勲章を付けた男が私を外まで連れてってくれるって。少しだけならきっと許してくださるからって。

今となってはそいつの身なりは確かにおかしな点ばかりだった。でもその時は外に出られるっていうだけで盲目だったから全然気付かなかった。結果としてはそいつは私を殺そうとしていただけだった。

死ぬ間際で助けに来たのがこのフツバっていう本物の騎士。犯人を圧倒する強さだったわ。そこで私達は追われる理由でもある見ちゃいけない物を見てしまった訳なんだけどその時私はそんな事知らなかった。

助けられて戻ってからは何だか城が騒がしくなって、私は大人たちに怒られて。事裁に呼び出された。建前上は事情聴取。

本当はそいつらも私を殺す事だった。私は騎士らしい騎士のフツバに出会えて気分が上がってもいた。でも、そこでも私は殺される事に気づけてなくて、またフツバに助けられて逃げるっていう事になった。

最初はフツバに巻き込まれたなんて思っていたりしたけど今は感謝してるの。

短い間に何度も裏切られて、何もかも信じられなくなっていた私を更に驚かせたのが世界の真実。王族は実は偉くなくって仕切っているのは事裁の人達、私の知っている事実とは異なる事ばっかりで、世界は思った以上に広かった。

そんな私の前に現れたのがこの子、アトラ。元気溌剌で可愛らしくて見てて悩みも忘れさせてくれる程にね。最初はよく分からない奇行ばっかりだったけど、それも今ではアトラのいい所の一つになった。

そんなアトラが騎士団に整備士とかいうものの試験的なものに行くって言い出した」


 これまで静まり返っていた人だからも整備士という単語にざわめく。

 王都以外、特に桃髪の人にとっては覚えておかなければならない単語の一つだ。

 それの試験それは自分を売るのも同義だ。


「私はそこで様々な事を聞いた。王都以外を中心に行われている、整備士なんていう言い方の自己犠牲。そして何よりも桃色髪の差別」


 ここで更にざわめく。

 フツバにとってはよく分からなかったがすぐに合点がいく。

 彼らは今まで話を聞いている前提としてライラはずっと桃色髪の事を知っていると思っていた。

 最早常識とかしている事実、それを知らないなんて予想だにしていなかったのだろう。


「アトラもフツバに助け出された。そんな助け出されたアトラを見て思ったの。

私に似てるって。桃髪の人達の気持ちを分かった気になんてなっちゃいけないのは分かってる。でもね、今の状況に困惑してて、フツバに助けられて、騙されてたアトラを見ると何だかつい最近までの私を見てる気になっちゃって。

だから私はあの時かけて欲しかった言葉をアトラにかけた。いや、過去の自分にかもしれない。誰かを信じてって、私じゃ頼りないかもだけど私達を信じてってそう言ったの。

私は過去の自分を助けるためだけにアトラに声をかけた自分勝手な人なの。それでもアトラはその言葉で笑ってくれる様になった。

そしてその夜約束した、もし私がお姫様に戻れたら絶対に差別を無くしてみせるって。こんなに可愛い女の子が髪が桃色になっただけで地獄を見るなんておかしいって。

私が初めて救えたってほどでもないけど立つ手助けできた人。

だから言うわ、お願い。あなた達の立つ手助けもさせてくれない?」


 今までの事を全て語ったライラはにこりと笑って見せる。

 フツバとアトラもライラ側の感情や考えを初めて聞いた、驚く所も多々あった。

 隣で泣くのをアトラはずっと我慢している。

 アトラも思う事があるのだろう。

 ライラが最後にこう付け加える。


「確かに愚かでバカで今でも何が出来るってわけでもない、いつも足を引っ張ってばっかりの私の…自分勝手に巻き込まれてくれない?絶対に笑わせて見せるから、いつか心の底から溢れるほどに」


 皆は黙って聞いていた。

 文句を言おうと思えば山ほど言えただろう。

 しかし桃髪の人達は知らず知らずのうちに憧れていた事に気付く。

 フツバやライラ達の隣で笑って喋っている姿に。

 何度も見たわけではない、ただフツバ達を待っている時に遠くから聞こえたアトラの笑い声は真っ白な綺麗な笑い声だった。


どうも読んで頂き本当にありがとうございました。

こんなに長々と書いたのは初めてかもしれません。

ライラ視点での今までのザックリとした内容です。一章はライラ視点がほとんどないので書く機会がないのでここで書いてみました。

どうでしたでしょうか?やはり長かったですかね?

今後もこのぐらいの何十回に一回のペースでこの文字数の物を上げるつもりです。

次は二章最終回になると思うのでよろしくお願いします。

また次話でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ