二章後編10話 また道を塞ぐ者
どうも、ビタミンです。
という訳で前書きって書く前に書かないといけない物なんですかね?よく分かりませんがとにかく今回の話というか毎日投稿を意識してからもう一個先の展開まで進もうってのが無くなってどんどん短くなってしまっている。
これからはもっと内容を多くする方も頑張ります。
それではお楽しみください
フツバ達がセメラルトに来た日の夜。
「周りよりも綺麗な家で良かったな、姫さん」
フツバがテラスで真っ暗になった辺りを見回しながら、ベッドで横になっているライラに喋りかける。
「私は気を使われてる気がして何だかゆっくりしづらいけどね」
ライラが目を瞑りながら答える。
「まぁ、私達は重要な役割でもありますしこれくらいは妥当かと」
フツバの横で機械の手入れをしていたアトラが話に入る。
「それにしてもあの人達、」
フツバがこの家に移る際の事を思い出す。
それはフツバ達がタロンの家から今いる家まで移動していた時だ。
道を塞ぐようにこの地下の住人が立ち並んでいた。
タロンの動揺した様子だとタロンも予想だにしていない事態だったのだろう。
フツバ達が目の前まで来るとまたタロンを叱った男が前へ出てくる。
「名乗り遅れた、私はカルロと申す者です。ここではちょっとしたまとめ役のような者をやらせてもらってる。あんた達の事はタロンから聞いたよ。なんだこの上の、地上の会社を私達のために一つ潰そうとしてくださっているとか」
カルロがフツバを見てボソボソと喋る。
タロンの話を聞いているのならと安堵する。
また石でも投げに来られては流石に看過出来ない。
「あんた達が桃色髪を救くってくれる優しい方だという事も、あんた達が居なきゃ作戦が中止になってしまうと知ってはいるがお願いだ聞かせてくれないか」
カルロが少しかすれた声でアトラを見てこう続ける。
「あんた達はどうしてその子、アトラという女子を助けれる?上で育てば皆同じように我々を蔑む。なのにあんた達はなんでそれに染まってない。すまんが私達には何か裏があると思ってしまうんだ」
カルロはフツバ達の怒りを買ってしまわないかと怖がっている。
それはきっと地上の住人から受けた仕打ちが原因だろうと理解する、アトラと同じように。
「そうだよな、俺達は地上から来たんだからあんた達からしたら恐怖の象徴だよな。俺こそ名乗り遅れました、オトメ・フツバといいます。以後お見知り置きを。ズカズカと入り込んだ事は許してくれ」
フツバが軽くではあるが謝意を伝える。
男達はその言葉だけで目に涙を浮かべる。
謝るべき物を謝るだけで泣かれそうになるとは何とも地上の者達は大罪を犯し続けてきた者だ。
「そんで俺達が染まってないのは育ちのせいだ。俺はな、はるか東の地から来たんだ。それのせいでこっちの文化とは触れてなくってな、それで染まらなかったってだけだ。こっちの女の子はララっていうんだ。まぁ、、そうだな、」
地上を嫌っている人達だ。
きっと上のまとめ役の王族は大嫌いだろう。
そう考えフツバが咄嗟に虚言を吐こうとする。
しかしライラがフツバを横目に住人の前に出る。
フツバの要らぬ思考が止まる。
ライラはフツバに何も言わない。
いつもなら止めたであろうフツバにもその背中を見るだけで伝わる。
ライラは覚悟を決めて前へ出た。
「ごめんなさい、さっきの私についての紹介は全部忘れて。私の本当の名前はラーズウェル・ライラ。現国王の娘、つまり次期王女です」
辺りに動揺が広がる。
這いつくばって生きて来た地上の頂点が、次期頂点が目の前にいるのだ、無理はない事だ。
そしてその発言はここに住む者達が受けた仕打ちを見逃して来た張本人だと言うのと変わりない。
皆が必死に信じようとしていたのにそれを台無しにした、などとフツバとアトラは考えていない。
それが事実なら話すべきだとさえ思う。
それはフツバがライラを信じているからであり、アトラがライラはその憎むべき状況を変えてくれる人だと信じているからだ。
何よりもこの人達でさえ同じ感情に出来る人だとフツバもアトラ思っているからだ。
ちなみにタロンは台無しにしたと思っているのが慌てた表情で分かる。
「何で今言うんだ!」という顔でライラを見てはフツバとアトラを「何で止めない?」という顔で見てくる。
(安心しろ、この人は無駄になんかしないよ。そういう姫さんだ)
言葉には出さず表情でタロンにそう伝える。
タロンは何かを感じ取ったのか無理やり口を閉ざしライラの方に目をやった。
これから始まるのは今までのみんなの積み重ねた考えを一旦破壊し、ライラがライラの言葉でもう一度積み上げる話である。
読んで頂きありがとうございました。
今回は何だか内容ほぼないですね。自分自身で感じております。
毎日投稿を優先するか、内容を一話一話多くするか。難しいですね。まぁ、どっちもしろよ!ってのが正解なんですがねという訳で次話はちょっと多めにできるよう頑張る所存です。
それではまた次話でお会いしましょう