二章後編9話 もう一つの最凶
どうもビタミンです。
今回で後編9話目となります。
作者的には9話でまだここまでしか行けてないのかって感じですが、この調子でいけば25話前後で終わりそうですね。
という訳で今回もお楽しみ下さい
「乗り気になってみたは良いもののやっぱり一つの会社を潰しにかかるなんて気が引けるわね」
話が終わり最近では珍しい休み時間が取られている。
この一週間一日中歩くのがほとんどだった。
「一つ潰れたとしてもこの都市はどうにかやっていける所ですから。これ以上あんな無慈悲な結果の機械は作らせません」
アトラが疲れ切った様子のライラと自分を強く鼓舞する。
「そんな事よりアトラ良いのか?社長と知り合いならそれなりに抵抗があるん……」
「大丈夫ですよ!大丈夫ですから……知り合いと言っても向こうが覚えているかは分かりません」
アトラがフツバの喋りを遮り少し声を荒げる。
フツバとライラがその様子に違和感を感じる。
いつも通りならばフツバの話を最後まで聞いてから答えるのがアトラだ。
話の流れを変えて追求するほどではない違和感。
「分からないって、向こうが覚えて無かったらこの作戦はおじゃんになっちまうんだぞ」
フツバが不確定要素に作戦を委ねるのに心許なさを感じる。
「いえ、それも大丈夫です。たとえ向こうが覚えて無かったとしてもある一言できっと入れてくれますから」
その言葉から嘘は感じない。
「フツバ大丈夫よ、きっと。二人にしか分からない暗号みたいなのがあるのよ。この子が失敗の可能性が高い物をあんなに堂々と言い張るような馬鹿じゃないわ」
ライラがアトラの作戦に不信感を抱くフツバに声をかける。
確かにアトラはそんな事をする人じゃないのはフツバも理解しているつもりだ。
しかし今回の話は例外だ。
明らかにいつもとは様子が、何かが違う。
今回の作戦にはアトラの役割も重要だがそれと同等にフツバの役割も必要不可欠なのだ。
フツバが暴れて騎士団の注目を集めるという役割、フツバがこの作戦に不信感を抱くのは失敗に繋がりかねない。
フツバが愛剣の柄をカチカチと音を立てて叩き少し考える。
その考える様子を二人はジッと見ている。
一回の深い瞬きでフツバの目の色がキラッと変わる。
「よし、アトラやっぱりお前に任せるしか無さそうだ。どれだけ考えてもお前のそのルートでしか入れねぇ。アトラ、その作戦を信じて良いんだな?」
フツバがアトラを見つめる。
アトラが一瞬恥ずかしそうな表情になるがすぐに切り替えほんのりと赤くなった顔で真剣に見つめる。
「はい、信じて下さい!私もフツバさんの大暴れを信じています」
フツバがアトラを信じるのにはその言葉だけで充分だった。
「それじゃあ、今日は久しぶりにしっかり休めるし。休める間に休んどこう」
フツバの気が抜け辺りの緊張感も解ける。
同時刻、王都ではもう一つの大事件が起ころうとしていた。
読んで頂きありがとうございました。
今回はこの編でのアトラの不審な点に触れました。
読めば分かる通りアトラと社長の関係が今回の重要な点になってきそうですね。
という訳でまた次話でお会いしましょう。
良ければ感想やアドバイスお願いします