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二章後編3話 広場での再会

どうもビタミンでふ。

今回は昼投稿です。まぁ、夕方になりましたがね。

とにかく今回からは二章の本題に入り出しますのでよろしくお願いします。

あのキャラも登場します。

それでは後編3話お楽しみください。

 町の中央の広場がやけに騒がしく、人だかりができている。


「おい、オッチャン。これは何の騒ぎだ?」


 フツバが道行く老人に喋りかける。

 老人は首をゆっくりと持ち上げ目を見てニコリと笑ったあと


「これはのう、セメラルトきっての会社、とるすたん?じゃったかな。確か…まぁ、とるすとろ社みたいな名前の社長が演説をしよるんじゃよ」


 年寄りの目の悪さにつけ込んで、正体がバレずに話を聞こうと思ったがどうやらミスだったようだ。


「今ので分かるか?アトラ」


 フツバは取り分け機械に詳しい訳ではない。

 機械面の詳しい知識はアトラに全て託している。

 それほどにアトラは機械の知識を持ち合わせている。

 見た目の割には深いところまで知っているので相当な努力が推し量れる。


「そうですね。トロストル社の社長が演説をするようですね。私がここに来る当初の目的だった会社ですね」


 アトラが広場をジッと見つめる。

 アトラの目には不安や怒り、恐怖などが複雑に入り混じっているようだった。

 

「アトラ、大丈夫?」


 ライラが心配そうに聞く。

 アトラに声が届くとすぐに表情を切り替え、今まで通りの可愛らしい笑顔に戻る。


「えぇ、もちろん大丈夫ですよ。最初の目的もついでに果たせればと思ってもいたので、急な進展につい変な表情になってしまっただけです。ご安心ください」


「お前の用事が何かも気にはなるが一旦置いておこう。それよりもその会社の説明をしてもらって良いか」


 フツバが話に入り、会社の説明を求める。

 アトラがすぐにフツバの方を向き説明をする姿勢に切り替える。


「はい!それでは。トロストル社とはこの都市の6割もの製品を占めている会社です。最近の東国の貿易の支えにもなりつつあります。あと、私の目的の方ですが、私はそこの社長に少し用がありまして…まぁ、社長なので会えないかもしれませんが」


 アトラがツラツラと説明する。

 それを聞きフツバは少し考えたあと


「何となく分かった。お前の方は確かに難しそうだな。何はともかく行ってみるか」


 フツバが広場の方へ歩き出す。

 その後ろを二人がついて行く。


「ララはちゃんとバレないようにしろよ」


「りょ、了解」


 ライラが慣れぬ様子で返事をする。


「何ですか?ララって。あだ名ですか?ズルイですよ私にもあだ名を」


 アトラが初めて聞く呼び方をあだ名と勘違いして、自分にもあだ名を求めフツバに駆け寄る。


「違う、この都市での呼び方だから…ってそれは確かにあだ名か…まぁ、面倒くさいからアトラのままにしといてくれ」


 フツバがアトラの頭をポンポンと撫でて落ち着かせる。

 まぁ、もちろんアトラは落ち着く。


「そろそろ着くぞ」


 フツバ目の前に広場が見え後ろの二人に伝える。

 マイクを使ったような大きな声が当たり一体から響いて聞こえてくる。


「もう始まってますね」


 アトラが一人で先に走り出す。

 広場の中央の大きな台の中心に髭を長く生やした中年の男が喋っている。

 ライラがフツバに走って追いつく。


「ねぇ、社長に用事って何なのかしらね?」


「………」


 ライラの素朴な疑問にもいつも返してくれるフツバから返事がない。


「ねぇ!フツバ聞いて」

「待て!姫さん。周りに騎士団がいる」


 フツバが焦ったようにライラの口を抑える。

 ライラには何も聞こえない。

 しかしフツバには分かる。

 近くから歩く度に剣が揺れて金属音がなるという騎士特有の足音がする。

 円形になっている広場には死角がある。

 それは集まる大勢の人で見えなくなっている反対側、否もうこの音はすぐそこだ。

 音を感知した方向に注意を向ける。

 そこからメガネをスラリとかけて剣を腰に携えている男を先頭に騎士数人が歩いてきている、メルトだ。

 

「一番めんどくさい奴に会っちまったか。逃げるぞ」


 メルトはまだこちらに気付いていない。

 しかし気付くのも時間の問題だ。

 メルトにだけは二人の変装は意味をなさない。

 フツバがすぐに走ろうとする。

 癖でライラのみを抱えて逃げ出そうとしてしまう。

 即座に立ち止まりアトラの方に目をやる。

 アトラはこちらの事態に気づけていない。

 

「アトラ?」


 抱えられている状態のライラがアトラの異変に気づく。

 アトラは広場で演説をしている男を見て唖然としている。

 

「どおりでアイツにしては察しが悪いと思ったよ。全く」


 フツバもライラの発言でアトラの異変を把握してすぐにアトラの方へ走り出す。

 もちろん走り出せばあまりのスピードにメルトに気付かれる。


「おい!オトメ・フツバが居たぞ!」


 周りの騎士にもすぐに伝えてこちらに走り出す。

 距離は数十メートル。

 詰めるのはメルトならば2秒も有れば十分だ。


「おい、アトラ!逃げるぞ!」


 動揺で体が動かないアトラをもう片方の手で抱える。


「どうしたのよ⁉︎」


 ライラがアトラにしては珍しい行動の真意を言及しようとする。

 しかしアトラが呆気に取られている状態から辛うじてこちらの世界へ帰還する。


「す、すいません…」


 まだハッキリと喋れないように見える。


「色んなことはまた後ってクソっ」


 メルトが剣を抜きフツバを切りにかかる。

 周りの者はみな遠ざかりフツバは両手が塞がっ

ており利用出来るものがない。

 しかし、そんな状況で利用できる物が一つある。

 今は少しでも早く逃げ出したい。

 ならば相手を足止めするかこの距離間では超スピードで逃げなければならない。


「ちょっとどうすんのよ⁉︎」


ライラが動かないフツバに大声で呼びかける。

 

「……」


フツバは無言で考えた末に答えを出す。


「両方取る」


「ん?」


 急な発言の意味をライラは理解出来ない。

 

「3...2..1.」


 フツバがメルトを凝視して、カウントダウンを始める。

 そのカウントダウンに合わせて横の飛距離を重視した高度の低い飛び方でメルトの向かってくる方向へ思いっきり飛び込む。


「マジで何してんのよ⁉︎そっちにはメルトが」


「何をしても無駄だ!フツバ!」


「残念だったな」


 フツバを殺そうとする剣を足場にしようとする。

 普通は足が切れて終わるのだがフツバの朝は何故か切れない。

 メルトの攻撃の威力も相まって通常より高く飛び上がる。


「また俺の勝ちだ」


 フツバが空中でメルトに向かって、捨て台詞を言い遠ざかっていく。


「早く追うぞ‼︎‼︎」


 メルトがやっと追いついた隊士達に命令する。

 大きく空いた距離を埋める為にメルトは使えない隊士達と共にまた走り出した。

読んで頂きありがとうございました。

今回は広場から広場の終わりまでと少し長かったですかね?

まぁ、このぐらいだと話が進みますね。

メルト何でここにいんの?って思った方は次話をお楽しみに。ちゃんと説明しますので。

それでは次話でお会いしましょう。

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