二章中編4話 女心
どうもビタミンです。
最近、日を分けて書くというのを覚えました。そっちの方が安定したペースで出せると思うので良きかも。
どうしよう、サブタイトルマジで決まらん。
「なろう」だしいっそサブタイトルは長くしても良いかもね。
という訳で4話が始まります。これで中編は最後です。
「ぎゃあ!!」
朝からライラの大きな声が響く。
その声にアトラも起こされる。
目を擦りながら声の聞こえる方を見るとそこにはライラが尻餅をついていた。
その先には一人の男が剣を支えにして棒立ちしている。
「だ、大丈夫ですか?ライラさん」
すぐにライラの元へ駆け寄る。
「あなたは何者ですか?ってあれ?もしかしてフツバさんですか?」
あまりに覇気のない背中に他人と誤認する。
「ん、んぁぁ。お前ら起きたのかどうしたぁ?周りに敵でもいたのかぁ?」
情けない声で周りをキョロキョロする。
到底守れる状態とは思えない。
「あんたさっきまで立って寝てたのよ⁉︎分かってる?」
ライラがやっと声を上げる。
「俺が寝てた?そんな訳ないだろぉ。ずっと起きてたっての」
フツバがフニャフニャの声と朦朧とした意識で答える。
「あんた寝てないの!馬鹿じゃない⁉︎ちゃんと休まないとダメでしょ」
ライラとアトラでフツバを支えながら座らせる。
「本当ですよ!私もやはり行くべきでしたか?」
アトラも心配そうにフツバに喋りかける。
杞憂と思って寝た事が杞憂でなかったのだから焦るのはアトラの立場も考えると当たり前だ。
「いぃや、お前がいたってある意味邪魔だっただけだよぉ。ほら、あの袋見てみろぉ」
フツバが片方の手で一瞬指を指し意識を失った様に眠る。
「袋って…」
ライラが近くの袋を開けて覗き込む。
「これって!」
中身を見てテンションを上げる。
「あぁ、そうだよぉ。コルトだ。そのままで食べれるし美味しいから食べとけ」
再度目を覚まして解説する。
「この量をたった一夜で集めたんですか?だから寝不足になってしまうんじゃあ」
夜の成果を見て改めてアトラが心配する。
今のアトラは自分に出来る事なら何でもしたい。
「それは俺が集めたんじゃなくてぇ、協力者が集めてくれたのぉ」
自分が無茶をしたと勘違いされているのをなんとか感じとるのが今のフツバには精一杯だった。
「協力者って、誰の事ですか?ライラさん⁉︎」
初耳の情報に応答可能なライラに聞く。
「私も知らないわよ。初めて聞いたわよ、協力者なんて」
アトラにとってもライラにとっても初耳だったという事になる。
その瞬間会話にフツバを参加せざるを得なくなった。
「起きてからにしますか?」
アトラがフツバの気持ちよさそうな寝顔に顔を和らげる。
「そうねぇ。そうするしかなさそうね」
ライラも仕方なく時間の経過を待とうとする。
しかし時間を動かしたのはフツバ本人であった。
ポケットから謎の小瓶を取り出して、口に注ぎ込む。
飲み込んだ数秒後、フツバが飛び起きる。
「辛ぇーーーーーー!!」
喉を抑えてフツバが悶える。
「何をしたんですか?」
水の入ったコップを手早く渡す。
フツバはすぐに受け取り一気に飲み干す。
咳き込みながらもなんとか落ち着いた様子だ。
「アイツ、そんなに辛くないって言ってただろ」
フツバは頭の中で嘲笑う魔女の姿が思い浮かべ舌打ちをする。
「アイツとは誰の事ですか?」
アトラが話を切り出す。
「もうすぐしたら会わせるつもりだけど、まぁ良い人だよ」
無理矢理目覚めさせた目は充血している。
「いえ、そんな事はどうでもいいんです。男ですか?女ですか?」
アトラが今までにない程の真剣な眼差しになる。
流石のフツバも顔が強張る。
「あ、あぁ、えっっと、お」
フツバが怯えながら一文字づつ口にする。
「お⁉︎」
その言葉に大きく目を見開いてアトラが復唱する。
「…んな…」
フツバがライラ会ってから一度もした事がない覇気のない表情をする。
こんな男になら勝てる気さえしてしまう。
「んな⁉︎…お、終わった…」
アトラが絶望し、体から力が一気に抜ける。
それをライラが支えフツバを睨む。
それに気付いたフツバは苦笑する。
「別に終わりはしないだろ」
あの夜の会話を聞いたライラからしたら至極真っ当な反応だ。
女心が分からない奴にはどうやっても分からないという事だけはライラは知っている。
「よ、夜に、女と二人っきり…あ、木になろう」
小さな声で悟りを開き出したアトラを何とか起こそうとする。
こんな姿さえ、愛しく思えるのは多分病気の類だろう。
「あんたは旅の準備でもしてなさい。ここは私がどうにかするから」
ライラが珍しくフツバに命令し、それをフツバも承る。
どうやら自分のミスは自覚しているらしい。
「あと、フツバ!」
ライラが支度を始めようとするフツバを呼び止める。
フツバは呼ばれるだけで飛び跳ねてしまうほどに気が寝不足含めて動転してるのだろう。
「私も協力者なら話もしたいから早く会わせなさいよ」
「分かりました。向こうがオッケーって言うまではどうしようもないんですけどね」
フツバはいつの間にか敬語になってしまいながらも、魔女に口止めされている事を思い出す。
(「決して、私と会ったなんて話てはいけないよ。
話すとしてもそれは私の口からになるだろうから」)
気を取り直してすぐに準備を始める。
二人が逃げ出してからもうすぐ一週間が経とうとしている。
ここから三人には更なる試練が立ちはだかる。
読んで頂きありがとうございました。
良かったら感想とアドバイス下さい。カクヨムの方に投稿する話数は全部一回目を通すのでその時に改善出来るかもしれないので。というか現に何回もなおしてるからねぇ。
これからは3日ルーティンでやろうかなと思ってます。
どっかの1日カクヨム投稿。どっかの1日なろう投稿。最後の1日で半分ぐらいまで書き終わらせておく。みたいな感じにしたい。つまり気分が乗れば2日に一回投稿出来るかもしれません。
もうそろそろ面白くなっていくつもりではありますが、後編でも戦いは流石にあります。三人が安定しだしたら更に面白くなれる予定ですのでそれまでついて来てくださると嬉しいです。
それでは次話でお会いしましょう