表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/217

二章中編1話 恒久に枯れた花

どうも、ビタミンです。

最近はずっとこの作品にサブタイトルを付けようか悩んでいます。

やはり短いし、自分で考えた横文字だからどんな話か分かりづらいからサブタイトル付けよっかなぁ

「ヒスヴィル-HISVIL〜???〜」

みたいな感じが良きかと。

良ければ感想で教えて下さい

という訳で中編がスタートします。二章で一番短い中編が一番大事だったりして…


「そろそろ泣き止んだか?」


 ライラの膝下に蹲り泣いていたアトラにフツバが優しく喋りかける。


「はい。すいません、お見苦しいものをお見せしました」


 顔を上げてフツバの方を見て笑顔を見せる。


「見苦しくなんて無いわよ、アトラ。私だってきっといつか泣いちゃうからその時はよろしくね」


 ライラがアトラの頭を撫でる。

 その頭には帽子が外されており、バリバリの桃色髪が無雑作に生えている。


「これからはこの髪も大事にするのよ。分かった?」


 ライラがアトラの髪を整えるように触る。


「そうするつもりですが、私髪の手入れの仕方を産まれてこの方教えられた事がないもので、」


 アトラが恥ずかしそうにライラの方を見る。


「いいわ、教えてあげる」


 ライラは妹分のような者が出来て嬉しそうだ。


「ありがとうございます!」


 ライラに快く引き受けて貰え、嬉しさが顔に出る様子が見ていて微笑ましい。


(この二人なら上手くやって行けそうだな)


 フツバも二人の和やかな雰囲気を感じとり一安心する。

 そこに鈴の様な謎の音が聞こえてくる。

 ライラとアトラが辺りを焦って見回す。


「何です?この音?」


 一人落ち着いた様子のフツバにアトラがきいてくる。


「ん?まぁ、気にすんな。よくある音だ」


「そう、ですか…」


 適当な返答に二人は不信感を抱きつつも受け入れる。


「さっ、そろそろ寝るぞ。今日はみんなお疲れだからな」


「見回りは交代交代で良い?」


 フツバがアトラの持っていたカバンの中のシーツの様な物を床に敷く。


「何言ってんだ?見回りは俺一人でやるよ」


 フツバが当たり前のような顔で言う。


「アンタ本気?じゃあいつアンタは寝んのよ?」


 横で心配そうにアトラも顔を縦に振ってこっちを見ている。


「仮眠とりつつ周りを見回るつもりだから安心しろ。一応寝はするから」


 フツバは元気な顔付きで答える。

 ライラは渋々納得したみたいだが、アトラはまだ心配そうだ。

 今にも付いていくと言い出しそうだ。


「私も付いていきましょうか?」


(ほら、言い出した)


「アトラは姫さんと一緒にいといてくれる方が助かる。戦略的にもこっちは俺一人で十分だろうしな。頼んだぞ、アトラ」


 案の定の質問に案の定の返答で返す。

 アトラも頼まれては断れず承諾する。


「それじゃあ、寝といてくれ」


 フツバがライラに毛布を預けて出かける準備を始める。


「もう行くんですか⁉︎」


 アトラがまた心配そうな顔になる。

 同じ質問が来る前に説明する。


「寧ろ今くらいの方が重要なんだよ。だって追ってくるなら今ぐらいに到着するだろうしな」


 今すぐ行く理由を説明するとアトラは分かってくれた様子だった。

 ライラは後ろで成る程と感心しているようだ。

 ライラは深夜から始める物だと思っていたのだろう。


「じゃ、今度こそ行ってくるよ」


 フツバが後ろの二人に手を振りながら出発する。

 その少し後に二人も一人用の毛布に二人でムギュムギュになりながら入った。

 

 二人が眠りについた頃フツバは二人が少し遠くに見える場所にいた。

 そこには木の机とそれを挟んで向かい合う木の椅子が二つがある。

 その椅子の一方には一人の女が座っている。

 その女は魔女のような頭のサイズに合わない大きい紫色の帽子を被っている。

 手には特製のアクセサリーのような物が付いている40cm程ある杖を持って弄って遊んでいる。

 服は黒のローブを着ていて、指にはドクロやら何やらのデザインの指輪が両手合わせて四つ付けている。

 身長は150cmより小さいぐらいと推定できる。

 見た目は十代後半から二十代前半ぐらいに見える。

 容姿端麗で髪と肌は白く、目は黒い、一目見るだけで求婚する人がいてもおかしくないほどだ。

 しかし、心を落ち着かせて見てみれば目は何だか虚に見える。

 そんな事を気にする事ができる生物はこの世に数少ないという点は置いておこう。

 その数少ない一人が目の前に現れた事に気付き嬉しそうに椅子から立つ。

 自分に向かってくるその少年に自ら近づき少し距離を開け目と目を合わせる。

 一度喉の調子を咳払いで整え落ち着いた静かな声で話し始める。


「私は君を肯定し、否定し、尊敬し、軽蔑し、動揺させ、安定させ、傷つけ、癒し、利用し、死蔵し、生かし、殺す。故に何も生じずただひたすらに不変であり続ける存在。私の名は…」


「『恒久の魔女』だろ?」


 フツバが微笑みながら聞く。


「ふっ、先に言わないでくれるかな。ここが唯一の見せ場なんだからね。フツバ」


 魔女も静かに笑い返す。


「それにしてもやっぱりダサいな。それ」


 頭を掻き恥ずかしそうにしながら呟く。

 その発言に魔女が驚く。


「君が私にこれを提案したんだろ?なのに気に入らないなんて酷すぎないか?私は意外とこれ気に入ってるんだからな」


 頬を膨らませながら少し怒っている。


「気に入ってくれてるなら良いんだけどな」


「これからも私は使い続ける事にするよ。改めて、久しぶりだね。音女二葉」


「久しぶりだな。半年ぶりくらいか?今夜は一気に溜まってた話をお互い消費してこうぜ」


「あぁ、それじゃあ座ろうか」


 二人が一斉に歩き出し椅子に座る。

 魔女は脚を組みながら、フツバは肘をつき顎を手のひらに乗せながら話し出した。

読んで頂きありがとうございました。

という訳で今回は何と、初登場キャラの『恒久の魔女』が出てきました。すんごく大事そうなキャラですね。

果たして敵なのか味方なのか?

話している感じだと味方と思って良さそうですが…

中編は二組の二人組の会話を描く編となります。なので非常に短いです。前の幕間くらいの感覚と思っていただきたいです。

それではまた次話で


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ