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二章前編8話 本当の意味

更新が遅れました、すいません。これはアトラの方のお話です。整備士、一体どういう隠語なのでしょうか⁉︎


「こちらへどうぞ。もうすぐ隊長が来られますので」


 一人の騎士がアトラをテントの中へと案内する。

 アトラが入ったのは騎士達のテントの中でも一回り大きいサイズのテントだった。

 中央には机と椅子が向かい合う形で置かれている。

 壁には剣などが飾られており、その中でも真ん中には周りとは違う異質なオーラを纏っている剣がある。

 周りでは暇な騎士達が酒を飲んでいたりと村には迷惑が掛からない程度に少し騒がしい。

 

「隊長、こちらです」


 テントに案内されてから3分ほど経った後テントの入り口の方からさっき案内してくれた男の声がし、振り向く。

 すると入り口から一人の体格が厳つい男が入ってきた。

 短く切ってある髪は荒々しく、鎧はボロボロで歴戦の跡が窺える。

 顔に斜めに切られたような傷跡がある。


「嬢ちゃんが唯一整備士に申し込んできた子かい?」


 隊長という名に相応しい頼り甲斐のある声色だ。

 男がガサついた声で喋りかけてくる。


「はい、そうです。アトラと申します。私は整備士というよりも技術を見せに来ただけのただの旅人です」


 アトラが立ち上がり気をつけをしながら話す。


「嬢ちゃんに一つ聞いておきてぇんだが」


 男が近づいてくる。


「な、何でしょうか?」


 至近距離まで近づいてくる男に困惑する。


「整備士の意味本当に分かってんのか?」


 質問の意図がアトラには全く読めない。

 整備士の意味が分からずここに来る人が居るはずがない。


「何をおっしゃるんですか。整備士とはですね、一つ一つの事にも真摯に向き合ってその不良部分などを直してあげる。機械好きの人に向いた職業だと私は思います」


 少し考えた末に自分の考えている整備士像について自信一杯に語る。


「フッハハハ!おいおい、お嬢ちゃん王都出身かい?」


 何故か顔にてを当てて笑っている。

 アトラの頭に疑問符が浮かぶ。


「王都出身ではありませんが、私は何かとんでもない間違いをしてしまったんですかね?」


「いや、王都出身じゃなくても勿論大丈夫。君は何のミスもしていない。だから安心しろ」

 

 男の口調は変わらずガサツだ、だがしかし


「悪いのは全部王都外出身の女の子に整備士の意味を教えなかった親御さんを恨みな」


 男の口調が一つ下がりニヤッと騎士とは到底呼べるものではない下衆い顔で笑う。


「何を言ってるんですか?本当の意味何か私は知らなかったんですよ。もし、整備士の仕事でないなら帰らせて貰いますよ私は」


 嫌な予感を察したアトラがカバンを持ち直ぐにこの場を離れようとする。

 しかし、男にカバンを掴まれ物凄い勢いで入り口の真反対の方へ投げられる。

 アトラが投げ飛ばされた勢いで机とぶつかる。


「何をするんですか⁉︎帰らせてください。私はただの整備士になりたかっただけで…」


「ゴチャゴチャ、うっせぇんだよ!クソガキが!もうこのテントに入った時点で詰んでんだよ!テメェは。いいか?よ〜く聞け」


 あまりの男の凶暴な威圧に気圧されてしまう。


「整備士ってんのはなぁ。簡単に言ってやるとな、『奴隷』だよ。『奴隷』」


 聞き慣れない言葉に困惑する。

 奴隷とは古い時代に存在した人権の全てが主人に預かられたような存在の事だと、アトラは昔話の登場人物かのような存在に記憶していた。


「ど、奴隷なんて今の時代に存在しないはずです!そんなの聞いたことない!」


 追い詰められた状況に焦る。


「これがな、残念ながら存在しちまうんだよ!『整備士』っう隠語でな!おめぇが聞いたことあるかないかなんてどうだっていいことなんだよ。こっちとしては一人の奴隷が増えるっていう事実だけでいいんだヨォ!」


 投げ飛ばされた状態のまま尻餅を着いているアトラを近づいてきて男が勢いよくアトラの体を蹴る。


「オェェ、、」


 小さい体にガタイの良い男の本気の蹴りは致命傷も同然だ。

 口から胃液のような物が吹き出る。

 その勢いで深く被っていたはずの帽子が床に転がり落ちる。


「フッ、なんだよ、お前は桃色髪だったのかぁ⁉︎じゃあ元々奴隷のようなもんじゃねぇかよ!相変わらず気持ち悪い髪だな!こんな物持って生まれたら生きた心地なんてしねぇな」


 更にもう一発腹に蹴りが撃ち込まれる。


「オェェ、、ゲッホ、ゲッホ」


 アトラは喋ることもままならなず、床に横たわっている。

 気持ち悪い、口の中に吐瀉物が込み上げて来る。

 蹴られる事など慣れている。

 しかしここまでガタイの良い男に蹴られるのは初めてだ。

 尋常じゃなく痛い、苦しい。

 なんだか外が騒がしい気がする。

 さっきまで蹴っていた男も入り口の方に行って誰かと喋っているのが微かに見える。

 分からない、痛みによって頭が全て真っ白で分からない。

 ただ一つ、次の瞬間一人の男がさっきまで自分を蹴っていたはずの男が目の前で跳ね飛ばされアトラの上を越しテントの壁にぶつかり大きなテントが崩れた事だけは分かった。


今回の話はどうでしたか?今回はただひたすらにアトラが隊長と思われる男にいじめられる話でした。最後は男が吹き飛ばされましたが、一体何が起きたのか⁉︎

といっても想像通りのことですが。それではまた次回のお話で。

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