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一章幕間 隠れ家会議 壱

「ふぅ、一旦落ち着いたか」


 土の中にポッカリ空いた大人の秘密基地のような場所だ。

 確か大人の隠れ家だとか自分で言っていた。

 聞いてた割には汚い。

 今フツバ達は一時的にここに避難している。


「走ってないのに何だか、疲れちゃった。で、ここ何処よ?サラッと入ったけど」


「あぁ、ここ?ここは師匠の知り合いに教えてもらったんだよ。バレないから安心しろ。ここの入り口は森の草むらの中だから気付ける奴はそういないよ」


フツバが断言する。


「それなら良いんだけど。これからどうするつもりなの?」


「ん?そうだなぁ、まずは一緒に旅をするには不安な姫さんのお勉強からだな」


 八重歯を見せ、嫌味な笑顔で言う。


「私だって勉強したのよ!」


 馬鹿にされてライラが怒る。


「何となくわかってるよ。姫さんが悪いんじゃなく多分だけど、読んでいた本があえて間違った内容の物にされてたんだろ」


「そう分かってるなら馬鹿にしないでよね」


 不満げに呟く。


「まぁ、どちらにせよこれからはこの国のことを知っておかなきゃ話になんないからな。まずは、逃げる途中に言ってた安全地帯の話だ」


 少し真面目な口調で喋りだす。


「それね、王都を出れば大丈夫って聞いたんだけどなぁ」


「それは間違いだ。まずこの国に犯罪者が追われないようにする決まりはないと思った方がいい」


 ライラが頷く。

 フツバが話を続ける


「国内だと、犯罪者として追われるし、外国にも許可がないと行けない。もし、無理矢理突破したとしても逃げた国で今度は違法侵入者として追われる事になるって感じだ。これはまぁ、単純だな」


「じゃあこれから私たちはどうしたらいいの?」


 ライラが疑問を投げかける。


「事裁の奴らの嘘をバラす」


「どうやって?」


 若干の頭の悪さが垣間見えるが、フツバは気にせず端的な言葉で言う。


「つまりあの悪魔を倒すしかないだろうな」


「アイツを倒すの⁉︎幾らなんでも無理がありすぎるでしょ」


 ライラが驚きの発言に反発する。


「分かってるよ、確かに今の俺たちじゃあ、キツイよ。だからもっと強くなる。それしかないし、やるしかないからな」


 フツバの表情にも余裕がなさそうだ。


「ハァ、、そうよね。やるしかないのよね。じゃないと殺されるし……よし!頑張れ私!」


 自分に呼びかけて、頬を叩き気合を入れる。


「よし、じゃあ今後の話に入るぞ。流石に、この国が大陸の四つに分けられた国の東に当たるぐらいは分かってるはずだな。更にこの国では、王都を中心に置き、東西南北に分けている。そして現在地だが、ここはその王都から見て東に当たる場所だ。あっ、お箸持つ方な」


「東ぐらい分かるわよ!あと、オハシ持つ方が分かりにくいわ。」


 フツバ的に分かりやすいように言ったつもりなのだが、怒られてしまった。


「そこから俺たちは北を目指していく。一旦、分かりやすい場所としては『崩落の宮』を目指す」


 その言葉に、ライラがここぞとばかりに反応する


「聞いたことあるわ。『崩落の宮』どう言う場所だったかは忘れたけど、有名な場所よね。何となくワクワクしてきた、観光地巡りみたい」


 ライラなりのモチベーションの上げ方なのだろう。


「それなら、良かった。崩落の宮についてはまた今度話す。これで一旦は終了だ。明日から出発するから、今日はぐっすり寝ろ。また歩きながら、この国の事を教えていくから」


 フツバが話を切り上げようとすると


「ちょっと待って!」


 ライラがフツバを止める。


「何?」


 振り向き聞く姿勢を取る。


「ずっと気になってたんだけど…貴方は何者なの?」


 ライラが恐る恐る聞く。


「と言うと?」


 フツバが聞き返す。


「だって、国が人を殺してまで隠そうとしてる事を知ってたり事裁の人達とあのメガネ騎士がびっくりしてたように、あの『ヴェーラ』とか言うやつを使えたり、意味がわからないんだけど?」


 積もりにつもった事をライラが聞く。


「確かに、そうだな。側から見たら俺結構やばい奴だもんな。まぁ、別に俺が凄い訳じゃない。周りの人が少し詳しかったり、師匠が凄いだけだよ」


「さっきも出てきたけど、あなたの師匠ってどんな人なの?」


「ん?まぁ、そうだなぁ。」


 フツバがニヤリと笑う。


「よーく、聞けよ。なんと、なんと、五英傑の一人『一太刀のガーリン』だよ」


 若干のドヤ顔で言う。


「……」


 少しの間静寂が続く、そして数秒経った後、


「えーーーーーー‼︎あ、あの五英傑のガーリンがあなたの師匠なの!本当に、ねぇ、本当に‼︎どんな人だったのねぇ、ねぇ?私、五英傑の中でも特に好きなのよねぇ、ガーリンだってカッコよくない?一本の刀でバシュバシュ切っていくのよ。確かに言われてみたらフツバもその節はあるわよね」


跳ね上がり、興奮しながら早口で一人で盛り上がっている。


「その反応だと、結構知ってるっぽくて助かる」


フツバが安堵する。


(もし知らなかったら、歴史まで教えないといけなくなる所だった。)


「知らない訳ないでしょ。だって歴史に残る大英雄よ!みんな大好きに決まってるわ!今だに、五人の中で誰が最強で優秀なのかは話しても尽きない題材よ……ん?」


 ライラが何かに気づく。


「待って、今あなた何歳?」


「十八歳だけど」


「じ、じゃあ今も五英傑が生きてるって事?」


 恐る恐る聞いてくる。

「ん、まぁそうだな。一年前までガーリンは生きてたよ」


「え、だって歴史では三百年前ぐらい前に活躍した人って書いてたのよ、生きてるはずが」


「だーかーらー、三百年間生、き、て、た、の!」


 常人には理解し難い事をフツバは口にする。


「い、意味がわかんない」


 ライラがの体の力が抜け、しゃがみ込む。


(情報量が多すぎて、パンクしちゃったか)


「明日、詳しく話す事にしよう」


「わ、分かった」


 小さな返答が返ってくる。




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