一章最終話 始まりの道
最終回です。どうぞ!
フツバは事件であった悪魔の所だけを省いた諸々のことを事裁の人たちに説明をした。
「ふん、なるほど。つまりは、その男が中佐を殺害し、徽章を奪い騎士になりすまし姫様に近づいた。そして、集合場所を西に決めて、王都から出ようとした。その結果なりすましで本当は姫様を殺そうとしていて、そこをフツバ殿が助けた、という事ですね。」
「えっと、多分その通りだ。」
あやふやな答え方をする。
「二人で話すのは構いませんが、話はちゃんと聞いといてください。」
「すいません」
ライラ姫と一緒に謝る。
喋っていたことを注意される。
内容は単純だ。
「ねぇ、あんた」
「なんですか?」
ライラ姫の呼び出しにフツバが応える。
「嘘をつく必要なんてあるの?私達に」
「そりゃあね」
「あんた、知ってる?私、お姫様なのよ。結構偉いのよ」
「まぁ、そうですね。ですが、今回のはそんな事関係無いんですよ。」
「私には無理でも。お父上に言えばきっと大丈夫だと思うんだけど。だって、国王よ。この国のトップなのよ」
「確かに、それは有効な策でしょう」
「じゃあ、お父上に、」
「しかし、駄目です。姫さんは王族だから知る訳がありませんが、本当にこの国を仕切っているのは…」
という、良いとこで注意されてしまった。
「それでは、お二人はそれ以上何も知らないという事でよろしいですな?」
今まで喋っていた声より、一段と暗い声で聞いてくる。
鋭い瞳孔だ、一端の人間に出せる眼力ではない。
姫様がビビったのをフォローする様に、
「えぇ、それだけです。僕達はそこまでしか知りません。」
「本当に、それだけですね?」
より鋭い目付きになる、最早、殺意さえ感じる眼力だ。
「それだけよ。それ以上は私達に聞いても無駄よ。もう帰らせて」
姫様がなんとか返答する。
「そうですか、分かりました。それでは、今から判決を出します」
大声で部屋全体に聞こえる声で言う。
「あら、もう出すのね」
姫様が少し驚く。
「二人を死刑とします!」
姫様がキョトンとする。
「えっ?ふ、た、り?」
発した直後体が誰かに持ち上げられる。
その僅か0.1秒も経たぬ内に元いた場所に、大きな棍棒が振りかざされる。
そして、気づく今、殺されかけたのだと。
そして、それを救ってくれたのがさっきまで隣に座っていた、あの騎士だと言う事に
「あっぶねぇ、間一発だったな」
「おや、今のを躱しますか。流石ですね、フツバ殿」
ジョンが一切の動揺を見せず呟く。
まるで想定内のように。
「エグい事するなぁ、あんたら。一撃で潰そうとするなんて。」
「そちらの方が楽に死ぬると思いましてね。逃げても無駄ですよ、この部屋は防音、そして金属の壁です。扉から以外抜け出す事はできません。その上剣も使えない。早めに捕まって、死ぬ事をオススメします。」
「ヤダねーーー。ベーーーだ。」
フツバが舌を出して煽る。
「どうして、私達は何も知らないって言ったのに。」
「姫様は何処までも頭が悪いようですね。」
ハニフィーが冷たい声で喋る。
「コイツらは、どうやら知っている、知らないはどうでも良いんだとよ。コイツらにとって問題なのは知っている可能性が万に一つでもあるかって事らしい。」
フツバが壁の照明にぶら下がりながら姫様を抱えて教える。
「ご名答。ですが、その言い草だと、やはり知っているようですね。なぜ隠したかは分かりませんが。もう終わりです。」
と言い、ハンドサインで部屋にいる全員がフツバ達に向かって攻撃をしようとする。それをフツバは照明を飛び移り、飛び移り避けていく。
「剣も抜けず、ただ避けるだけ。何もできんというのに何故、避ける。」
ボトムが言い放つ。
「全く、舐められた物だねぇ。」
フツバが小さく呟く。
「何?」
ジョンがフツバを見て、訝しむ。
「ヘッ、『分解せよ、結合せよ!』」
フツバが剣についた金具に触れる。
その瞬間、金具が粉々になる。
「なっ、何故あやつがヴェーラを使える!そんな事聞いておらんぞ。」
ボトムが喚き出す。
部屋にいる全員が驚愕する。
当たり前である。
今まで、数人しか出来なかったヴェーラを新人騎士が使うのだから。
動揺してる隙を突き、フツバは地面に着地すると、剣を抜き臨戦態勢になる。
「やっちゃいなさい、オトメ!この反乱を起こしたバカどもをぶった斬ってやんなさい!」
姫様が抱えられながら命令する。
「あんたの方がバカだよ!こんな、十人近い騎士+デカブツ二人だぞ。俺も流石にキツいんだよ。」
と言い、フツバは床に剣をさす。そして再び
「『分解せよ、結合せよ』」
次の瞬間、地面が崩れる。
その部屋にいた全員が自分の安全確保で精一杯だ。
そして、いち早く着地したフツバが部屋の外へ走り出す。
「追いかけろー‼︎」
隊長であろう人物が命令する。
だか、フツバはそこら辺の騎士よりも数倍早く動ける、追いつけるはずはない。
廊下を走る、走る、走る。
そして階段を素通りする。
「ねぇ、ちょっと何処探してんのよ?階段ならさっきあったわよ。早くそこからおりましょう。」
「姫さんは本当にバカだな。そんなとこから降りたって、先回りされて積むのがオチだろ。」
「じゃあ、どうすんのよぉ?」
「そんなの一つしか無いだろ、小便チビんなよ、姫さん!」
「ねぇ、ちょっと待ってよ!その方向はガラスしかないのに何を……ってそういう事。ねぇ、ちょっと待って。お願い考え直して。だってここ三階つまり、20メートルぐらい。……嫌ーーーーーーーー!!」
ガラスに走った勢いのまま、ブチあたりガラスを突き破る。
そして落下する。
瞬間にして、安全バーが人のジェットコースターの完成だ。
「逃げるぞーーー、姫さん。」
気絶寸前のライラ姫に元騎士オトメ・フツバは少し嬉しそうに喋りかける。
これはオトメ・フツバとラーズウェル・ライラの始まりの物語である。