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四章38話 クソガキ①

 どうやら自分が珍しい人だということに気づいたのは後のことだった。

 自分の自我目覚めた時の事、それを覚えてれているのは才能かそれとも刺激が強い始まりだったからかは分からない。

 真っ暗な中から引きずり出されるような感覚で目を開けたのを覚えている。

 何にも教えられてないのに自分が捨てられたということはなんとなく分かった。

 真っ暗な空を正面に自分は木の籠の中に寝ていた。

 霹靂が鳴り響き、雨が顔に当たってひんやりと冷たい。

 赤子ながらに顔の水滴を雑に拭き取ったのを覚えている。

 雷が落ちた光が自分に届かなくなった事を不思議に思い、首を僅かに動かした。

 

「なんです、赤ちゃん一人ですか。とんでもない気配がした気がしたのですが気のせいですかね?全く、とんでもない親に捨てられたのかもしれませんね」


 眼鏡をかけた男がそう言っていた。

 不思議なもので自分はその言葉の意味を少しだが理解できた。


「んーーと、どれどれ。ほうほう」


 雷の光を遮った男が自分の上に乗せられていた四角い白いものを見て何やら言っている。


「名前までもう付いてるんですね。それにこの文章の書き方、あなたはどうやら親に捨てられた訳じゃなさそうですね」


「あーう!」


 何故だかまでは覚えてないが声を上げたのを覚えている。

 そしてその声を上げると同時に雷が近くに落ちたのも覚えている。


「元気で結構。今日からあなたも立派な私達のの家族です。有無を言わさず連れて行かせていただきますからね!」


 そう命令口調で優しい言葉を発する眼鏡をかけた茶髪の男。

 その男に籠ごと抱き上げられる。

 その男の温もりがよく伝わってきた。

 

「落ちるぞー」


 男が少し歩いた後そう自分よりも下にいるに喋るかのように言う。

 そして次の瞬間、浮遊感が体を襲う。

 男の髪が上向きに靡いていた。

 そして弾むように着地をする。

 耳が風圧から解放される。

 

「ありがとう、お疲れ様」


「いえいえ、これが僕の役目ですぅから。それにしてもまた捨て子ですぅか。最近多いですぅね」


 野太く滑舌の悪い声が聞こえる。

 その野太い声の男が視界の隅に映ったのは萎んでいくのに最終的には太ったままの男。

 

「開けてくれー」


 そういうと近くで大きな何かが動く音が鳴り響く。

 砂埃が目に入り不快だった事を覚えている。


「よいっしょっと!」


 一度自分が床に置かれる。

 そしてその声が聞こえるともう一つの扉も開き、また砂埃が舞う。

 今回の砂埃は強風が吹いたことによりよりひどい。

 もう一度抱えられ男は階段を降り出す。

 賑やかな声がどんどん近づいてくる。


「族長がヤバい気配がするとか言ってたのはこの子の事だったんですか?」

「うわー、可愛いなぁ。コイツはどういう道をいくんだろうな?」

「そんなの剣士に決まってるじゃないですか。コイツが僕に剣を教えてやりますよ」

「バン、そうやってすぐに剣士の行く道を行かそうとするのをやめろ。ここには色んな道があるから良いんだろうが。ほら、俺みたいに拳で戦ったりさ」

「メンドゥーサ、正すのはそこじゃねぇだろ!」


 近づいて来るや否や自分抜きで自分の未来について喋られるのは腹の居所が悪い。


「ウーア!」


「おぉ、喋ったぞ!」

「コイツと戦っていいか⁉︎」

「馬鹿か、お前は早く服を着ろ!この子以下だぞ、トロピカ‼︎」


 人が磁力で吸い寄せられるかのように増えていく。

 戦いに狂った奴らが数名見られる。

 自分はこんな風にはならない、と思っていた時期もあった。

 そんな空想は三年後にはもう崩れる。


「はいはい、もうこの子と戯れ合うのはおしまいだ。この子を養育所に届けるから道を開けろ」


 撫でられたり、未来設計を立てられたり、戦いを挑まれたりと洗礼を浴びせられた所で連れてきた男が避難をさせる。


「あ、レイゼさんの分の朝ごはんは飯番長が取ってくれてるらしいですよー」


 さっきの群衆の一番ツッコミを入れていた男が言う。

 名をシバキタというらしい。

 きっと近い未来で薬師の助手みたいな役割をしているに違いない。

 そして養育所に連れてこられた。

 地下にしては設備がちゃんとしている。

 養育所という名前の通り、衛生面もしっかりしており、比較的周りの家と見比べても綺麗だ。

 そこには自分を除いて四人程度の子供がいた。

 運ばれる時たまたま一人の名前が見えたが「ヒスタ」と書いてあった。


「この子の名前は?」


 養育所に居た女の人がレイゼなる人から自分の情報を聞く。

 そこで初めて自分の名前を自我を持って聞くことになる。


「●●●●だ。添付されてた手紙にそう書いてあった。それからこの子は道を選ばせるつもりはない。だから一人で歩けるレベルまでになったら俺に連絡をくれ」


 話してる内容はよく分からないが自分の名前は分かった。


「珍しいですね。道を選ばせないなんて。ここは幅広い可能性が売りじゃなかったんですか、族長?」


 女の人の後ろから現れた熟女が言う。


「手紙にちょっと面白い事が書かれててな。コイツに期待してみる事にした。それからな、ここは確かに幅広いのも売りだが、逆に強さを極めれるってのも売りだぜ」


 この時に気づいたが流れるようにレイゼの口調が荒っぽいものへと変わっていた。

 これがいつからか自分は自然すぎて全く覚えていなかった。




 そこから時間は二年が経ち、自分は『メンドゥーサ』なる男に世話をされる事となった。


「模擬戦だ。おりゃ、おりゃ、おりゃ」


 こんな風に斬りかかる自分と遊んでくれたり、勉強を教えてくれたりしてくれた。

 年々、じわじわと意外性が増していったがメンドゥーサは学力もこの闊戦宮でも上から五番目には入るくらいの天才だったらしい。

 しかし、戦い方だけは教えてくれなかった。

 代わりに戦い方はレイゼさんに教えて貰った。

 この時はこの待遇に特に贅沢だとは思っていなかった。

 そしてこの時の自分はまだ剣を習っていた。


読んで頂きありがとうございました。 

クソガキが拾われた時の日の事でした。 

大きくなった人達の小さい時もたくさん出てきます。

実はヒスタとクソガキが同い年という知識に差がありすぎる二人ですがね。

この時のクソガキはまだ剣を習っています、次話はここから何故剣から拳になったのかを書きたいと思います。

良ければ感想、アドバイス、質問、よろしくお願いします

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