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四章27話 新技

かれこれ一週間以上空いてしまいました。

完全にモチベが下がってしまっていました。すいません。

この話は1話で終わらせるつもりで書いていたら2話、3話の量になってしまったから分割したパターンなので次は明日上がれると思います。

こんだけ書いてしまっていて失踪などはおそらくしません。自分が描きたい展開なんて一割も書けてないので、頑張らないと!情けでも良いので感想くださると泣いて喜びます

 猛風吹き荒れ、立ち見の者は足元がグラつく。

 中心の方が風が強い筈なのにフツバの姿勢は崩れない。

 フツバが剣を地に刺し、


「『分解せよ!結合せよ!』」


 バンの足元が大きく割け、歪で不安定な形になる。

 しかし


「こんな物、僕にはほとんど効果がないことくらい分かっているんでしょう!」


 バンが地面に苦戦することも、スピードを緩めることもなく華麗に見分けてフツバとの距離を詰める。

 こんな小細工ではバンほどの相手には影響が少ない。


「じゃあ、これはどうだ⁉︎」


 バンが地面の配置を完全に把握したところで全てが元に戻る。

 

「うっ!」


 次、あるはずだった場所に足場が無くなる。

 少し体制は崩れるが持ち直すのは容易だ。

 二刀というアドバンテージは大きく、フツバの攻めのタイミングがなかなか回ってこない。

 ここに来て一度あの訳の分からない力を使ったおかげで身体能力自体は前よりも強化されている。

 それが無ければバンのヴェーラを使った風による威力の増幅した斬撃をここまで受け切ることは難しかっただろう。

 これを幸運と捉えるのが正しいのか分からないが手を抜いて負けるよりかはよっぽどマシだ。

 刀と剣がぶつかる一回、一回、が今までの試合の決め手となったような攻撃の音を奏でる。

 この音に人が釣られ、続々と人が集まり続ける。

 もちろん、あの二人がこの音に釣られないはずはない。

 フツバが一度状況を立て直すべく距離を取る。


「なぁ、バン。このままこれを続けたってつまんなくねぇか?」


「つまらないだろうが僕が勝つ事になるだろうから僕は特に問題はないけど」


「嘘つくなよ。お前が求める勝利はこんなんじゃないだろ。こんなジワジワ追い詰めて勝利何かより一撃でガツンと勝ちたいだろ?」


「一撃で……」


 バンの本心はフツバの言い当てた通りだ。

 しかし、


「フツバにはあの技があんなのにそれを受ける馬鹿がいる訳が、」


「いいよ、やろう」


「馬鹿だ!」


「うるせぇっよ!」


 自分の十空入りをササっと決めてこの試合の観戦に来たメンドゥーサが一人で騒いでいる所に後ろからレイゼが後頭部目掛けてゲンコツを入れる。


「痛いっての、レイゼ」


「さん、な!」


 もう一発強めのゲンコツを同じ箇所にくらうメンドゥーサ。

 痛がりながらも試合から目を背けることはない。


「アイツにも受ける理由があるとしたらどうする?」


「受ける理由?知ってるんですか?」


 メンドゥーサはこの一週間の間毎日軽い準備運動程度の事をしてご飯を食べて寝ていただけだ。

 他の出場者が何をしていたかなど微塵も知らない。


「アイツはこの一週間、『戦』を極めてたんだ」


「『戦』?あぁ、言われてみればさっきからアイツらヴェーラは使うのに『戦』は一切使ってねぇな」


「それはお互いにそんな余裕を与えてないのもある。が、二人とも本当の理由は別だ。フツバの方は警戒して使えないんだろう」


「警戒?何を警戒してるんだ?」


「メンド、戦いにおいて二人が同じ技を使った時に勝てる要因はなんだ?」


「そうか、熟練度だな。『戦』を元々フツバ以上に使えたバンが更に修行したともなると同時に使ったら負けるから警戒してると」


「そう、流石戦闘特化の脳みそしてるだけはある。それにお互いが使えるとなるとその技の隙も知ってるって事になる。『戦』を常に受ける側のお前なら隙を知る事がどれだけ大きいか分かるだろ。

フツバは恐らくこの情報を知って警戒して使ってねぇ」


「じゃあバンの方は?」


「バンはな、実は『戦』を極めたと言っても実は一つだけなんだ」



「受けてくれるとは意外だな」


「自分から申し込んどいてそれはないでしょ」


 この申し込みをバンが受ける見込みは限りなく0に近かった。

 なんと言ってもフツバにはあの技がある。

 それを知ってこの申し出を受けるのは相当な度胸と自信がいる。


「さっ、いつでもどうぞ」


「お前、、、それ」


 バンがその度胸と自信から出した構えは、


「竹の一『(ゼツ)』、これのみをアイツは極めてたんだそうだ」


「俺、あの『戦』は特に嫌いなんだよ!だってあんな簡単な構えから出されるのに威力がおかし過ぎるんだって!」


 「竹の一『(ゼツ)』」は子どもにも構えだけなら簡単で教えれるので多くの人が使えるようになっている。

 故に練度の低い技を見てこの技は誰でも使えるお手軽な技と勘違いされている事が多い。

 しかし、考案者はこの技をこう言い表している「質素に爆斬」と。

 この技は決して侮るべからず。


「正面から真っ向勝負と行くか!」


 フツバが剣を収め、前傾姿勢をとり全身を脱力する。

 二人の気迫に会場がより静けさが増す。

 そこに二人の足音がこの会場に駆け足で向かってくる。

 そしてその二人は会場の空気なんて読もうとはしない。


「今どうなってるか分かんないけど、」


「「頑張れぇぇ‼︎」」


「あぁ、うるさいなぁ」


 その言葉の刹那後会場に爆風が巻き起こる。

 観客の半分以上がライラの方を見ていて見逃してしまう。

 この試合の後、目を背けなかった者に話を聞く者が多くいたが聞かれた者は口を揃えてこう言う。


「何にも起こってなかった」


 見逃す見逃さないなど端から関係ないなく誰も見えないのだ。

 爆風の隙間からフツバがバンよりも奥に移動していることが分かる。

 フツバは抜刀し、振り切ったままの姿勢で固まっており、バンもまた振り下ろした姿勢で固まっている。

 突如、フツバの左胸のあたりから縦に傷ができ、血が噴き出る。

 

「フツバ⁉︎」


 体制が崩れ膝立ちになるフツバを見てライラが心配の声をあげる。

 

「違うな、」

「互角だ」


 そう冷静に見ていたレイゼとメンドゥーサが判断した途端、バンの脇腹辺りに横に傷ができ血が噴き出る。


「アイツらビビリがったな」


 レイゼがこの結果を見て言う。

 お互いに傷の位置が最も敵に負荷を負わせる位置ではない。

 もし、ビビってなければフツバが縦に真っ二つになるかバンが横に真っ二つになっていた。

 それをお互いにビビってしまった。

 だから傷の位置がお互い少しズレている。

 二人が傷を押さえながらも立ち上がり、向き合う。


「ヘヘッ」


 フツバが急に笑い出す。


「何かおかしいことでも?」


「いぃや、お前の最終奥義はあれって事でいいんだな?」


「君らあれが最終奥義ではなかったと?」


「質問に質問で返さないってレイゼさんに習わなかったのか」


「確かに振るわない結果ではあったがあれで終わらせてもいいと思っていたよ。その反応から見るにまだ何かあるね」


 フツバからはもう撃つ手がなくなったようには感じない。

 寧ろさっきまでよりもやる気に満ちている。


「こっからは俺が攻めのターンだ!バン!」


 バンも次の一手に警戒し、二刀を構える。

 

「よっと!」


 フツバがした事は攻撃ではない。

 ただ地面の砂を両脚で思いっきり蹴り、砂埃をたたせただけ。

 なんの目眩しにもなっていない。

 フツバの足が少し光っているのが目に見える。


「ヴェーラ?いつの間に」


「さっきの斬り合いのちょっと前からだ。バン、お前にもう攻めさせない!」


 フツバが今度こそ地面を思いっきり押し込み、バンに突進かの如く斬りかかってくる。

 バンはそれを受けるのではなく躱す。

 フツバがそのまま直進して行った方に即座に振り向く。

 バンはその方向ではフツバが突進の勢いを地面に足を擦りながら無くしていると思っていた。

 これは当たり前の発想だ、ただの真っ直ぐに向かった突進でまさか、曲がって帰ってこれる訳などないのだから。

 バンが予期せぬ事態にも反応し、二刀を重ねてフツバの攻撃を受けるが少し遅く威力を殺しきれず背中が会場の壁に着くまで吹き飛ばされてしまう。

 先程の傷から更に出血が進む。


(何が起きた⁉︎確かに直進してきたはずだ。すぐに着地して帰ってきた?それにしては早すぎる。どうやった?)


 バンも異常な事態に頭が追いつかない。


「人間を辞めたんですか?」


「まさか、ちゃんと見てないからだろ。普通に帰ってきただけだ」


 分からないならヒントを得る必要がある。

 バンもフツバに突進し、フツバもそれに合わせて向かってくる。

 二人の斬撃がぶつかり合いながらすれ違う。

 バンが地面に足をつき、すぐに振り返る。

 またフツバがもう帰ってきている。

 しかし今度は予期された事態。

 バンもなんとか受け流す。

 またすぐにフツバの進んだ方を振り返る。

 その時、フツバがどうやってこちらに来ているのかが僅かに見えた。

 バンは確かに見た、フツバが確かに空気を蹴ってこちらに向かってきたのを。

 三連続目の攻撃のペースが早すぎてバンも対応しきれない。

 自ら斬撃と同じ方向に飛び、負傷を抑える。

 しかし、着地がうまくできず仰向けで地面に倒れてしまう。

 フツバもそれを逃さない。

 フツバの左拳がバンの顔目掛けて放たれる。

 バンは仰向けでそれを躱せるはずがなくやむなく受けてしまう。

 しかしバンもやられっぱなしとはいかない。

 その左手の手首をしっかりと握り離さない。


「クッソ!」


 フツバも勢い任せて隙のできる攻撃をしてしまった事に気づく。

 バンのもう片方の手に握られた刀がフツバの右肩を貫く。

 右肩に刀が刺さったままフツバはバンから距離を取る。

 

「さぁ、バン。お前にこの技を攻略できるか?」


 攻撃の手段がまだ掴めていないバンを見て、レイゼがそう笑う。

読んで頂きありがとうございました。

フツバの技は一体どうなっているのか、レイゼさんとの修行も含めて考えれば行き着くと思います。

今年中に四章は終わらせたかったのに自分のせいで終わらせれないのは情けないですがこっから心機一転して頑張りたいです!

次は佳境に入るか決着のどちらかまでです。

1話が長くても皆さんが読んでくださるのかが不安で書けないのですがどうなんでしょうか?

それではまた次話でお会いしましょう

良ければ感想、アドバイス、質問、よろしくお願いします

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