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四章26話 リベンジ

書くの遅れすぎてマジスンマセンでした。

(「フツバ、新しい戦闘方を考え出す時に重要なことはなんだと思う?」

 

 銀髪を揺らしながらフツバの前で剣を構えた男が聞く。

 

「戦闘方?そんなの考えた事なさすぎて分かんないです。そうですね……今までの、」


「違う!」


「いや、まだ全部言ってないんですけど」


「あぁ、だが違う。きっと、おそらく、たぶん、稀にだが違う!」


「じゃあ、なんなんですか⁉︎」


「それはな、」


 男は剣をゆっくりと腰に剣を収める。

 

「固定概念を無くすことだ」


 声質が上質なものに変わり、柄にも合わない大人びた落ち着いた雰囲気で話す。


「聞いたことあるな」


 フツバの既視感があるような一切驚かない態度にその雰囲気は打ち壊される。


「聞いた事あるって、俺お前にこれ言った事あったか?」


「いや、師匠からは無いですけど、地元では結構常識できしたよ」


「その時々出てくるお前の地元はどうなってんだよ⁉︎とにかくこれが大事なんだ!」


 出端は挫かれたが本題を話しだす。


「固定概念を無くすってもそのやり方が分かんねぇと意味はない。お前に分かるか?」


 さっきのお返しとばかりに敢えて一度フツバに聞いてくる。

 

「そこまではよく分かって無いですよ」


 よく耳にする言葉だがその詳しい方法までは知らない。

 

「ふん、なら教えてやろう。これは簡単だ。自分の価値観なんて捨てちまえ!だ」


「自分の価値観を捨てるってそんな独自性とはかけ離れた事なんですか」


「あぁ、そうだ。最近はな、自分なりに自分なりにって奴らが多いが別にそればっかりが偉い訳じゃ無い。固定概念ってのは自分の作り出した限界だ。これを無くす時は、世界と比べろ。

自分の中で出来ることを探そうとするな世界中で一人でもそれを出来る人がいるならその人を基準にしろ。

空中歩ける奴がいるならそれ基準で新しいこと考えてみろ。

それで出た案に少しずつ近づいて行く。そうしないと自分は自分止まりだ。自分の知らない様な自分にはなれない。

じゃあ、フツバ質問だ。人は何かを学ぼうとする時なんで自分より凄い人に聞く?」


「そんなの自分よりその事については詳しいからでしょ」


「まぁ、正解だ。それを言い方を変えてみろ」


「言い方を?」


「あぁ、より世界に近いからだろ。知識が一つ多ければそれは世界に一つ自分より近いって事だ。みんな日頃から固定概念を無くせているのに、いざ無くすとなるとできなくなるんだ。より世界に近い方を求める。分かったか?」


「つまり、自分が出来ることで探すんじゃなく世界で誰かが出来ることで探せと」


「今のお前にできなくとも世界の誰はしてるんならいつかできるようになる。その点俺は大変だ。だって、俺が世界一強ぇんだもん。上がいないから自分で天井壊さなきゃいけねぇんだからな」


 自分を指しながら「世界一」と名乗るのにどれだけの自信が必要なのかフツバにはまだ到底理解できない。


「じゃあ俺は師匠が出来ることを出来るようになれば良いってことですか?」


「そうだ。単純で良いだろ?だからみんな俺に弟子入りしたがんだよ!」)


「はい、四十!遅くなってきてるぞー」


 フツバがレイゼの家の庭をジョギングのスピードで往復をしている。

 しかしフツバの額は噴き出た汗でビショビショになっている。

 フツバには何かを返す余力はない。

 41回目の往復でのターンで、


「あぁぁぁぁぁぁ、足攣った!足攣った!痛いたいたいたいたい!なんでこんな事させるんですか⁉︎」


「まだ41回だぞ。足が攣ったくらい我慢しろ!」


「それは足を攣った事がない人の意見だ!これは痛みの慣れとかそういう奴じゃないから!第一なんで爪先立ち何ですか?」


 フツバが足を伸ばしながらレイゼに聞く。


「うるせぇぞ!とっとと立て!俺がガーならもう斬ってるぞ」


「それは否定しないけど。こんな事したって何の……あぁ、クッソ」


 フツバがこんな事役に立たないと思った修行で助けられた経験を思い出す。

 少し違和感は残っているが立ち上がり往復のコースへと戻る。


「こっからは内容変更だ。今度は爪先立ちから更にジャンプしてもらう。それを俺が止めと言うまでやれ」


「ジャンプか、まだそれなら」


「何だ?今度はすぐ受け入れるじゃねぇか」


「だって師匠のとこで何回かやらされましたから、これは」


 レイゼはそれを聞き納得する。


「じゃあ、アイツはお前に最初から成長のヒントを与えてたんだな」


「それはどういうことですか?」


「いいから始めろぉ!」


「はい!」


 中々始めないフツバに物凄い剣幕で怒るレイゼ。

 そんなレイゼにこれ以上質問出来るわけもなく修行を始める。

 


ーーー ーーー ーーー ーーー ーーー ーー


 狂人同士の剣技の応酬。

 それには誰も声一つあげることはできない。


「おいおい、もうフツバ対バン始まったのかよ!早すぎんだろ。バイソンはどうしたよ。って何で会場こんな静かなんだ?」


 フツバ対バンが早々に始まったと噂を聞きつけた男二人組が会場の静けさに不信感を覚えてしまう。

 

「誰、も、居ないのか?ってめっちゃいるじゃねぇか!」

「バカ、静かにしろ」


 一人の大声で百人をゆうに超える群衆がこちらを振り向く。

 それほどに静かなのだ。


「おい、何だよあれ……」


 会場に入る少し前から聞こえていた動物の鳴き声かのような小さな音。

 あまりに小刻みでとても人間が放つ音には思えなかった。

 会場の中央で一つの剣と二つの刀が一進一退の攻防を繰り広げている。

 ここに誰一人として変な行動をとっているものはいない。

 剣士と剣士の殴り合い、それも卓越した技術者同士の。

 これは自分達人間が出した一つの進化の結果である。

 このいつどちらが致命傷をうけてもおかしくないこの状況です歓声なんていうくだらない事をしている暇など一切ないのだ。

 フツバがどれほど卓越した剣士だとしてもやはりニ対一は少し不利となる。

 攻撃の手数が単純に二倍なのだ。

 この少しずつ押されて行くであろうこの状況はフツバにとっては好ましくない。

 フツバが地面に剣を撃ち、砂埃を立てる。

 会場を高速で駆け巡り、位置を簡単に掴ませない。

 バンの背後からフツバ我慢飛び出て斬りかかる。

 

「うぜぇなぁ!」


 フツバは背後から飛び出した筈なのにフツバはバンと目が合っている。

 完全に読まれていた。

 フツバの大きく振りかざした剣とバンの二刀が全力でぶつかる。

 金属が共鳴し合い、純粋な鋼の音が鳴る。

 バンとメンドゥーサでこの静けさにならなかった。

 なのにこの二人でなったのは互角の力という理由はもちろんだがこの鋼と鋼がぶつかり合う音がそこら辺の戦士とはあまりに違い、澄んでいて聞きたくなるような音だったからなのだ。

 そして空中にいたフツバが退く事になる。

 同時に砂埃も収まる。

 二人が睨む合うだけの時間が続く。

 それを息を呑んで見守る人間達。


「フフッ、フフフ、アハハハハ」

「アハハハハハハハ」


 二人が今までの緊迫感を台無しにするかのように笑い出す。

 

「あぁ、バン。もういいよな?」


「えぇもちろん。体はもうあったかいどころか熱いぐらいですよ」

 

 バンのその言葉は今まで見せられていたのがほんの準備運動だったという意味になる。

 会場全体に少し乱れが生じる。

 さっきまで見ていたものだけでも満足できるレベルだ。

 なのにここからまだ上があるというのだ。

 

「よし!んじゃあこっからはヴェーラも戦も両方ありな!」


 フツバの言葉でほとんどの人がここで初めて気づく、さっきまでヴェーラも戦何も使っていなかったのだと。

 

「「リベンジ開始だ!」」


 お互いのリベンジが今、始まる。


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