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四章9話 手合わせ

どうもビタミンです。

久しぶりの投稿ですが今日から連日投稿しようと思います。

いつまで続けれるかは分かりませんが初心に戻って精一杯書こうと思います。

それではこっからフツバについて触れて行こうと思います


「こ、これが家かよ‼︎でっけぇなぁ」


 フツバ、レイゼ、バン、の三人はレイゼの家にいる。

 住宅街かの様に住居は一箇所に集められているがその中でも明らかに他の家とは豪壮で華やかだ。

 更には周りの家は洋風だがこの人の家だけは和風だ。

 

「ここは家と言うよりかは訓練所に等しい。なんたって俺がここで寝泊まりする方が珍しいレベルだからな、ニハハ。ここにら俺が特別に見たい奴しか呼ばない様にしてる。初日で来んのなんて五英傑を除けば初めてだぞ。あと、お前は人目を気にしている節もあったからな。だろ?」


「まぁ少し」


 フツバが周りの目を少し気にしていた事にも気づいていたレイゼはしっかりと室内を用意してくれた。

 レイゼが一般的な大きさよりも二回りほど大きい木の両開きの扉を通常の扉と同じような感覚で開ける。

 見た目だけで重さはそこまでなのかとも思ったが手を置いてみた感じ木の重圧が感じられて重さも見た目通りだと確信する。

 中に入るとしっかりと玄関があり、案内された部屋の床もしっかりと畳だった。

 フツバはその部屋に懐かしさを感じつつも目の前に座るレイゼの存在を忘れる事はできない。

 家政婦の様な人がお茶を出してくれた所で話は始まる。


「まず最初に俺もバンもあの場にいた皆が気になっている事だがお前はどうやって俺のヴェーラを突破したんだ?」


 最も重大な事で、今まで見えた未来と違う行動をされたことがない、あろう事か自分との戦友の弟子が突破してしまったのだ。

 しかし


「それに関しては僕にも分かんないんですよね。その重たい感じから察するにそんな事は今まで一度もなかったんですよね?」


 フツバにもこの事は何も分かっていない。 

 最初はてっきりレイゼの油断や能力の隙間につけ込んだのかと思っていたがそんな隙は存在しない様だ。


「ない。どんな事も見えていた。お前が人生で初めてだ」


 長い人生で初めてのことなのに至って冷静だ。

 絶対に聞き出すと言うよりかは弱点を聞けたらラッキーぐらいのテンションだ。


「『恒久の魔女』でも同じような事にはなりませんでしたか?」


 フツバが何故か「恒久の魔女」の名前を出してくるが特にそんな事はなかったので黙って首を横に振る。


「何故その人なのかは聞いてもいいかい?」


 バンがここでこの話題とは関係性が見えない人の名前を出したことを違和感に感じる。


「いや、その、あの人も特殊だからさもしかしたらそんな事ないかなぁと思って」


「そうか……分かった」


 バンは腑に落ちないが無理矢理納得する。


「なんか自分が俺の能力を破る可能性とかはないか?あの時に変なことが起こったとかなんでも良いんだ」


 レイゼの言葉にフツバは思い悩んでしまう。


「何かあったんだね」


 バンが何かを言い出そうかと葛藤するフツバの様子を見て察する。


「師匠には不利になるからあんまり言うなって言われてたんですけど、二人なら敵に回る事はほぼなさそうですし言おうかなと」


 フツバが極力言わぬ様にしてきたあの力。


「よし、早く言え。ガーがダメと言おうと今、お前は俺の敷地内にいるんだから俺の命令に従え」


 強気な態度で急かしてくるレイゼ。


「分かりました。でも一つだけお願いしても良いですか?」


 フツバが恐る恐る言葉を口にする。


「ん?なんだ言ってみろ」


「あの、元の口調に戻してもらう事ってできます?」


「元の口調?あぁ、これの事ですか?」


 レイゼが懐から眼鏡を取り出しつけるとフツバの要望した優しい口調に戻る。


「そっちの方が話す上では好きなんで」


「僕からしたらキツイ方が元の口調なんですけど、僕もこれからはこっちでお願いしたいなぁ、なんて」


 横目でレイゼの様子を窺う。

 レイゼもその視線に気づき


「ダメに決まってるだろ、ボケ!フツバには自分のヴェーラの隙を教えてもらうからそれの恩返しみたいな感じでやってやってるだけだ」


 五英傑というのはやはり乱世を生きて来たのもあって乱暴な口ぶりになってしまうのだろうか。

 フツバが会った五英傑はガーリンは最初から口が悪かったが他の二人は最初は丁寧に喋っていたのに酒を飲むだったり眼鏡を外すだったりで乱暴な口ぶりになってしまっている。

 レイゼの丸眼鏡をかけた時の見た目がいい師匠感が滲み出ていてフツバ的にはこっちの方が好きだ。


「それであの時怒った事なんですけど。実は僕なんだか訳の分からない力を昔から持ってまして」


「「訳の分からない力?」」


 師弟揃って顎に手を置き首を傾げる。


「そうなんです。僕、本気を出そうとするとそのもう一つの人格なのか、僕が制御できていない力なのか分からないんですかそんな感じのものが勝手に出てきてしまって」


 フツバがあまり人に言わない様にしてるのは自分でもよく分かっていないからだ。


「それじゃあさっきもその力が出てきたと?」


 レイゼがもう塞がった頬の傷があった場所を押さえながら聞く。


「はい、出てきたというか僕と半分半分みたいな感じになって」


 あの時の気持ち悪い感覚が思い出される。


「だからあの時らしくもない変な笑い方をしたんですね。一応納得しました。その力、詳しく聞かせてくれますか?」


 レイゼも似た症状なら聞いたことがある、しかしその人達にもレイゼを超える事は見られなかった。


「少し長くなりますが聞いてください。その力が出てる時は僕は最初の方は意識を失ってるんです。すぐに意識は目覚めるんですがその時僕はデッカイ四角柱の中が水で溢れていてその底に沈められてるんです。そこでは息が続いてその四角柱から泳いで行って出た所で意識が僕に戻ってくるんです。もしくは途中でその何かの力が負けたりすると戻ってきます。

そして何よりこの力が他と違う点は使った後元の僕が強くなっている所なんです。バンは俺と会った時何か思わなかったか?」


 フツバが前にフツバと会った事があるバンに自分が変化していないか聞く。


「うん、確かに僕が助太刀に行った時よりかは少し強くなっていた様な、だから十分で終わらせられなかったのかなるほど」


 バンの大宴会を言う時間は自分が相手を倒すのに要する時間を言っていたらしくあの時バンはフツバを完全に負けさせるつもりだった様だがバンが思っていた以上に成長していたので狂った様だ。


「ぶっちゃけて言うとあの穢軼魔族(エスマゾク)倒した時あっただろ、あの時お前が来る前まではそれだったんだよ。でもあの穢軼魔族(エスマゾク)の方がその力より強くてやられたからお前が起こした俺は普通の俺だったって事」


 バンが裏の事情を聞き何かに納得した様子だ。


「確かにアイツが穢軼魔族(エスマゾク)になってからフツバ君がやられるまでにはだいぶ時間があった。その時間稼ぎはその力がやっていてくれてた訳だ、合点、合点」

 

 二人がかりでやっとだった相手を一人であれだけの時間稼げていた事は確かに少し違和感だった。

 上手くやったんだろう程度に考えていたが今完全に把握した。


「その奇跡で勝てた穢軼魔族(エスマゾク)の話も聞いてはいましたがそういう言う事だったんですね」


 勝てた事には直接関係はしていないが今より強い力で時間を稼いでくれていたなら奇跡の確率も上がってくる。


「その力、ガーリンさんはどう見たんですか?」


「どうせあの人なら「強くなれるなら良かったじゃねぇか」ぐらいにしか言わなかったでしょ」


「一字一句当たってますよ」


 ガーリンが言う事の予知など過去だろうとレイゼからすればお茶の子さいさいだ。


「その力で強くなれるんならなぜ勿体ぶるんです?」


 レイゼは細かい所まで聞き出す為に気になったところは全て追求する。


「それはその上乗せにも上限がある感じなんですよ。最初、僕もそう考えていたんですがある一定のラインでそれが止まっちゃったんです。そして普通の修行をしてもう一回やってみたらまた強くなって。そんな感じなのでもしかしたら僕の強さによってその力で出せる上限も決まってくるのかなって感じです」


 レイゼはフツバの一言一句を聞き逃さず脳内へと刷り込む。

 そして考えられる可能性を探す。


「その力は制御できないから今まで安易に出さなかったんですよね」


「はい、騎士団にはヴェーラを言わなかったみたいに力は隠したかったですし、その後も姫さんとかにも危険が及んだら危ないんで。極力使わないように自制してました」


 下手に発動させまくると仲間にまで危険が及びかねないので今まで前で使った事はなかった。

 

「それは良い判断です。百聞は一見にしかずです。今ここで完全にそれ出してみてください」


 さっきは半分半分だった事もある。

 完全に出せば何かを感じ取る事ができるかもしれない。


「ここならレイゼさんが止めてくれますし、出しても大丈夫ですよね。それじゃあ」


「いや、俺は相手しない。バン、お前を呼んだのはこんな時の為だ頼んだぞ」


 レイゼがバンに頼むと二人から遠くへと歩いて行ってしまう。


「僕がやるんですか⁉︎今のフツバ君より強いらしいのに大丈夫ですかね?」


 バンが一応接戦だった通常フツバとの戦いを思うと今のフツバより強いその力と戦うのはキツそうだ。


「最初から逃げ腰になるな。大丈夫だ、お前ならきっといける。負けたらクビだからな」


 レイゼの横暴にため息を吐き、準備万端のフツバの方を見る。


「ま、確かにやると決まったら負ける気なんて失せますけど」


 バンも戦うと決まればそれなりの覚悟はある。

 例え格上だろうと負けたくないのが戦士としての矜持だろう。

 部屋中の風が騒ぎだす。


「俺もしっかりとは知らねぇが強いから気をつけろよ。じゃっ」


 その力はフツバに向けられる闘気さえあれば必ず出てくる。

 フツバの首がコクンと一度落ちる。


「来るぞ‼︎」


 レイゼがいち早く危険な香りを嗅ぎ取り、バンに警告を送る。

 その声が聞こえるとほぼ同時に斬りあげる斬撃がバンに目掛けて飛んでくる。

 その剣を両刀で力一杯に防ぐ。

 力を緩めると押し負けてしまう。

 フツバとは気色が違う殺気。

 この二人の戦いを見学に専念しようとしていたレイゼだが、保険として腰の刀に手を添えておく。

 レイゼにとって厄介なのが未来に映らない行動をしてくる可能性がある事。

 


「イヒヒヒ」


 片手で掴んでいるにはあまりに重い斬撃。

 話に聞いていた以上だ。

 聞いていた通りの奇妙な笑い方。

 バンは鋭い視線でフツバの見た目をした相手を睨む。


「久しぶりに、手合わせ、しようよ、バンさん」


読んで頂きありがとうございました。

今回はあの力について初めてフツバの口から詳しい説明がありました。

ここから奇妙な構えや諸々のこの力を紐解いていきます

フツバをより不思議に思わせたいと思います。

それでは次話でお会いしましょう

良ければ、感想、アドバイス、質問、よろしくお願いします。

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