四章1話 ターニング
どうもビタミンです。
やっと始まりました四章!章まとめは全く進んでないのに話ばかりは進んでいく。
ここが相当大事になる章ではあります。
三・五章は読まなくてもこの章は絶対と言っていいほどに読んだ方がいいです。
というわけで四章スタートです
「ねぇ、フツバ。あの村の近くにアルテミシア・ノ・ヴァイスが居たらしいわよ。そんですぐにあの村に来てたみたい。危なかったわね」
ウダマンドラから三つ目の村でアトラに買わせた新聞を見て記事を読む。
「それ以外には?」
フツバができる限りの情報は得ようとする。
「アトラの存在がバレてきてるわ。三人組という情報が云々かんぬん書いてるわ」
今までは完全に顔バレしていないアトラに買い出しは頼んでいたがそろそろキツくなってきたかもしれない。
「私もとうとう新聞記事に載ってしまうんですね。私の価値が一つ減ってしまう」
自分の評価を真面目なテンションの時は低く見積もってしまうアトラ。
「大丈夫よ、アナタは顔がバレてないだけが取り柄なんかじゃないし、なんなら私より大事よ」
ライラがすかさずアトラのフォローに入る。
「そうだぞ。頭の回転の速さとか、知識量とか、俺が身勝手も動いてもある程度ならアトラが合わせてくれるから助かってる」
フツバがお世辞抜きで助かっている事を言う。
アトラはこの曲がった国の考え方なども熟知しており、フツバのアシストをしてくれている。
「あの村は大丈夫そうか?『鷹の牙』は動いてないのか?」
フツバが村民にも怒られた『鷹の牙』の動きを気にする。
「あぁ、書かれてる書かれてる。騎士団とぶつかったらしいわ。被害は村には及ばず、事態は収束したらしいわ。ヴァイスが頑張って抑えたって書かれてる」
記事に書かれている事を部分的に読み取り話すライラ。
「その感じに書かれてるとなると『鷹の牙』も本気で怒ってわなさそうだな。まぁアイツらなんかで怒ってはこないか。村的にはヴァイスが来てて正解だったな」
村の安否も確認できた事でシコリも無くなり歩く速度少し早くなる。
「あの子達ちゃんと生活できてますかね」
アトラが桃髪が一般人に入る事を心配する。
「分かんねぇけど今のアイツらなら村の人の力を借りずとも五人で協力してやってけてんだろ」
フツバがいの一番に取り掛かった修行メニューにアトラに作らせた機械による日常生活の安定。
少なくとも機会が壊れるまではなんとかやっていけるだろう。
「フツバ、これは私の勘の話なんだけど話していい?」
ライラの話の切り出しにしては珍しい言いぶりだ。
「別にいいよ。ていうかいつもそんな理論立てて話してないでしょ」
フツバからしたら日頃から勘で喋っているようなものだ。
それでもわざわざ切り出すのはそれほどに自信がないのか、それとも。
「リィヤって何か隠してなかった?」
「と言いますと?」
アトラが自分には感じなかった違和感を不思議に思う。
確かにあまり目立つ性格では無かったが何かを隠しているようには見えなかった。
「あの子はね、地味っていうより地味ぶってるって感じなのよね。別にこれは嫌味じゃなくて、なんか隠したい物があってそれのせいで地味になってしまってる感が否めないのよね」
ライラの目にはリィヤが単なる少女にしか見えなすぎて逆に違和感を感じる。
自分の尖った何かを抑えてるようだった。
「ちなみにそれはちょっと分かる。リィヤは頑張っちゃいるんだけどなんかあったな。もっと早いうちに聞いとくべきだったな。重大な事じゃなけりゃいいんだけど」
フツバも薄々感じてはいたあまりに丸い性格の少女。
スカーフやリーレンスの様に元気一杯と言うわけでもなければレグレスの様に勉強大好きと言うわけでもない。
だけど修行に嫌々ついて来ていた感じではなかった。
「隠してるにせよもう私達が聞くには一周するしかないんですから我慢して下さい。後ろにはアルテミシアが付いてきてるんですからね」
アトラがすぐそこまで迫って来ているヴァイスの存在を思い出させる。
「後ろも気にするのは大事だが前もいよいよ着くぜ。きっとバンがあまりに遅くて腹を立ててる頃だろうな」
フツバが伝えていた時間より一週間程遅くに着いたことを笑って話す。
「もうすぐ着くの⁉︎四つ目の村に」
ライラがフツバの発言に心躍らせる。
無理もないライラからすれば待ちに待ったイベントなのだから。
「フツバさん、ここら辺って」
アトラの脳内地図に何か気になる物がある。
「そうだ、ここら辺はこの国の北に当たる場所だ。雪は降っちゃいねぇがな」
東北東ら辺から始まったこの旅という名の逃走も北まで来た。
約四分の一が終わった事になる。
そしてこの国の北と言えばの名所がある。
人生で一度は見ておくべきと言われる観光名所「崩落の宮」がある。
「崩落の宮」それはこの国の北と北国の南東辺りの地面の地下五十メートル程までが粉々に砕けた地域の事を表す。
地面が柔過ぎて全く使い様にならないという悪名も名高い。
不幸中の幸いにもこの国の方が北国よりも占めてる割合が狭い。
どんな物でも広大な面積が平坦になっているのはある種の絶景だ。
「北と言えば『崩落の宮』よねぇ〜。それも楽しみね」
ライラが呑気にも観光を楽しみにしている。
普通は背後に四豪御雷が迫ってるとなると緊迫して観光なんてするつもりは起こらないものだ。
「さ、見えて来たぞー‼︎自称最北端の村「チクフツ村」だ」
現代にもある言ったモン勝ちの商売だ。
これのおかげで「崩落の宮」に来る観光客はここに泊まるので大成功だ。
「フツバ、あそこに竹一族が隠れ住んでいるのね!」
ライラが遠くに見える煙突の家を指さし肯定されるつもりで聞く。
「不正解!あそこにはいません!」
「え?でもパナセアさんの所から四つ目って」
ライラがバンの言っていた言葉を思い出す。
「そうは言ってたがそれゃあただ隠れ住んでるだけじゃねぇって事だ。まぁ目当ては竹一族しかないからすぐ向かうぞ!吸い取れるものは吸い取るぞ」
フツバがどこか遠くを見てそう口角を上げて笑う。
「でも私たちはね、」
ライラがアトラに蚊帳の外同士の同調を求める。
「そうですね。私達はこれと言って学べる様なことは、」
「あーーーる‼︎めっちゃあーる‼︎て言うか普通に薬師も入れば機械家もいーる‼︎」
「早く行きましょう」
アトラがそれを聞いた瞬間二人を置いて先頭を歩き出す。
『竹一族』一族と呼ばれるだけあって大人数でいるのが五英傑の中でも特徴的だ。
ここから起きる出会いによりフツバの行く末は思わぬ方向に決まってしまう。
ガーリンの好敵手と言われた「竹」フツバがただ歓迎されるかは不明である。
「来たか!ガーの弟子!」
読んで頂きありがとうございました。
いつも新章はこの遠くから村を俯瞰する所から始まりますね。
そこでこの辺りには何があるかをザックリと説明させてもらいます。
今回の五英傑はガーリンの好敵手と言われた様に戦闘型ですので戦いも多く描けたらなと思います。
何はともあれ四章まで読んでくださってる方には感謝しかありません。
これからもよろしくお願いします!