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ヒスヴィル-HISVIL 〜そのためならば何度でも〜  作者: ビタミン
指名手配犯専門部隊日記
155/217

指名手配犯専門部隊日記ー1ー

どうもビタミンです。

定期的に騎士団側の話も書いていこうと思います。

今回は名前しか出てきていなかったアルテミシア・ノ・ヴァイスの話です。

それ以外にも今後出てくるキャラが出てきます。

これは連続投稿じゃなく分散で投稿しようと思います。


「もう一度聞きます。オトメ・フツバはどこだ?」


 落ち着いてはいるが内には焦りを秘めていてかつ緊張感を空気に持たせる声。

 その緊張感は彼女の立場もあるが溢れ出す存在感が引き起こしている。


「先程から言っての通り。私達は何も知りません」


 村長のムラオサが歯を食いしばり覚悟を決めた目で言う。


(我々が一秒だけでも時間を作る。だから逃げろ、オトメ・フツバ。あの子達との関係もバレちゃマズイんだろ)


「少し前にここでオトメ・フツバを引き渡すという通報があったのだ。なのに来てみれば倒されて間もないこの雑魚どもがいるだけ。コイツらはここら辺をしきる『鷹の牙』の団員とわかっている。その中でもこのヴェーラ持ちのコイツらがここまでやられているとなると通報の一件もありオトメ・フツバがやったとしか考えられない。

最後に聞こう、オトメ・フツバはどちらに逃げた?言っておくが指名手配犯、それも危険度四ともなると貴様らも罪に問われるのだぞ」


 女が理詰めを始め、村民に軽い脅迫までも行う。

 それほど時間が無い。


「私たちは本当に何も知りません。知らない事を言えと言われても無理な物は無理です。例えそれがあなたでも、いえ寧ろあなただからこそこの場しのぎの嘘はつけません。アルテミシア・ノ・ヴァイス様」


 ムラオサの前にいる女。

 その女は背が高く、右目に眼帯をしており、胸の辺りに剣がライオンを貫いている刺繍が施されている。

 白い服に黒の刺繍はよく目立つ。

 赤い髪に赫眼、その眼で射抜かれるのは心穏やかではない。


「なぜ皆こうオトメ・フツバを守ろうとするんだ。あのセメラルトの奴らもオトメ・フツバの事となると一切口を割らなくなる。オトメ・フツバの何がそうさせるんだ」


 ヴァイスがフツバが一部の国民から支持がある事を不思議に思い理由を考えている時地面から骨が突き出てくる。

 その異様な状況を見て騒めく村民達。

 ヴァイスは躊躇することなくその骨を手で触る。


「なるほど、了解だ。すぐ向かう!」


 ヴァイスがフツバ達が逃げた方向目掛けて高速で森を進んで行く。


「私達はオトメ・フツバという事は知らなかった、良いですね。今後はしっかり騎士団に協力しましょう」


 ムラオサが自分のやったしまった事を反省する。

 しかしそれをこの場で注意できる者は全員フツバの言葉に図星だった為一人もいなかった。

 一人で森の中に向かったヴァイスが到着したのはサクラ寮だった。


「こんな森の中にこんな建物が。そして中にいたのはこの五人という事だな、骨々(コツコツ)?」


 ヴァイスの前に並ぶサイトウとスカーフ達。

 そしてそのヴァイスの横には全身骨のガイコツ人間が立っていた。

 鎌を持ち白い軍服を骨ながらに着こなす骨。

 名を骨々(コツコツ)という。

 ヴァイスの右腕として入団当初から一緒にいる。


「森の木の折れ方的にも一度はここに来ていると見て間違いないと思うぜ!」


 木の枝の折れ方で進んだ道が分かるという特技を持った骨々。

 フツバが荷物のために戻った痕跡も見落とさない。


「もしここにオトメ・フツバが来てたとしてもよ、アンタらなんかじゃ捕まえれないと思うぜ」


 スカーフが白々しくヴァイスを挑発する。

 ヴァイスはそんな言葉は受け流せるが一人体はスカスカなのに流せない者がいた。


「テメェらは分からないかもし知らねぇかもだけどよこの天才ちゃんはオトメ・フツバよりも強ぇんだぞ」


 骨々が虎の威を借る狐のようにヴァイスでスカーフ達に威張る。


「残念だが君らと口喧嘩をしている暇はないんだ。君達の火傷や切り傷を見ればアイツらに狙われていたのが君達でそれを助けたのはオトメ・フツバだって事はすぐに分かる。早く言いたまえ。時間が無い」


 ヴァイスがフツバに劣らぬ洞察力ですぐに事実へと考えつく。

 ヴァイスは無駄にフツバが戦うとは思っていない。

 ドイル戦、セメラルト、フツバかは確かではないがウダマンドラ、どれも誰かを助けようとしての行いだ。

 ヴァイスがウダマンドラの事を知ってる理由。

 それはガルートスがウダマンドラにわざわざ来た理由はヴァイスが手を回したからなのである。

 調査結果として帰ってきたのはフツバと同じくらい面白そうなやつがいた、というふざけた者だった。

 ヴァイスとガルートスにはある理由で上下関係があり、直に会って問い詰めて見れば


(「うーん、オトメ・フツバは居たかもしれないかなぁぐらいだよ。たぶん居たんじゃないかなぁ?」


 ガルートスは隻眼に睨まれ気まずい汗が流れてくる。

 権限に違いはないが気持ち的には違いがある。

 いつものガルートスなら知らないの一点張りでやり通すがヴァイスとなると逆らえない。

 嘘をついてもどうせヴァイスにはバレるのでついても無駄だ。


「なぜ捕らえなかった?」


 上からの視線でガルートスを睨み続ける。


「それは、そのぉ、」


「お前どうせそのオトメと同じぐらい面白そうなやつとかに気を取られてオトメの方がどうでもよくなっただろ?」


 ヴァイスは昔から強い人を見つけたらワクワクする馬鹿な奴だと知っている。

 結果報告がフツバに触れていない事がその答えだ。


「すいませんでした。たぶんオトメ・フツバは居ました」


 ガルートスは抵抗せず正直に認める。


「それじゃあ、もう一つの発見したという情報は嘘だったという事か。まぁいい骨々、そっちはメルトに行かしとけ」


「へいへい」


 ヴァイスの副官を務める骨々に雑用は押しつけられる。


「オトメ・フツバ。貴様と会うのが楽しみだ」)


 こうしてヴァイスはこの村へとやって来たわけだ。

 行き道にセメラルトにも寄ったが何も情報は得れずじまい。

 頼りのこの村に来てみても何も無し。

 騎士団最大の壁は国民なのかもしれない。

 奇しくも騎士団と国民との間に信頼関係はあまり築かれていない。

 

「おい!ヴァイス。なんか近くでめんどくさい事が起きてるらしいぜ!村に情報持ってきた奴がいるらしいから早く戻るぞ。どうせそいつら吐きやしないんだからな」


 骨々は地面に骨を潜らせ地面から突き出ている骨に触りながら言葉を発すれば骨々に届く様している。

 その情報伝達の速さもヴァイスの強みとされている。


「ありがとう、骨々。お前はコイツらから引き続き聴取を続けてくれ。もう今日は追うのは不可能だろうから必要最低限の情報だけでも聞きだすかお得意の観察をして調べてくれ。頼んだぞ」


「へいへい」


 いつもヴァイスは骨々に大量の仕事を頼んでくる。

 それでも断らず文句言わずにやる所から信頼関係がある事がわかる。




「なんなんだ?面倒くさい事とは」


 ヴァイスが村に戻り、明らかに走って来て疲れている兵士に話を聞く。


「それが、『鷹の牙』が動きだしたんです。そしてこの村に向かっているとのことです」


 ここまで団員がやられては当たり前だろう。


「誰が率いている?」


 それ次第では交渉の余地ありだ。


「情報によればメルホンだそうです」


「そうか、良かった」


 交渉の余地有りである。

 フツバを無理して追うのと国民を見捨てるという選択には簡単に結論がでる。

 

「良かった。こちらに私が出向いていて」


 首を曲げて音を鳴らし、準備に入る。

 交渉の余地が有ろうと一応は犯罪者集団。

 

「定期的に蹴散らしておかねばな」


 ヴァイスもガルートスと差ほど変わらず戦闘好きである。


 

 


 

 


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