一章3話 星認試験
基地の訓練場に激しい戦いの音が響き渡る。
「おりゃ!でりゃ!」
「フン!フン!」
二人の男が必死に斬りかかっている。
一人はしょぼい掛け声だがもう一人は気合の入った声だ。
その二人の剣戟を一人の男が軽々受け流している。
「甘い!」
一人を一瞬で蹴り飛ばし、その勢いでもう一人の剣を吹き飛ばした。
確実に勝負はついた。
「まだまだだな。」
フツバがドヤ顔で言う。
「クッソ、強すぎるだろ。お前!」
「そうだ、そうだ。もう一ヶ月経つんだぞお前が来てから、まだ誰一人お前に一撃も当てられないじゃないか」
ガスとシャスがフツバに向かって文句を言う。
「そりゃあ、僕だって伊達に修行してませんよ」
今は、フツバがガスとシャスに特訓をしている最中であった。
この一ヶ月の内に殆どの隊士が挑んだが一撃も当てれず仕舞いだ。
「おい、いい加減。お前が戦ってくれよ。メルトォ」
メルトはあれだけ怒ったが冷静であった。
もう、この一ヶ月間一人で黙々と片隅で修行している。
今まで、あれから一度たりともフツバと戦おうとはしなかった…が、
「フン、良かろう。つい先ほど私も準備が整った所だ。」
「ウォォ、マジか!とうとうやるんだなメルト。」
訓練場全体が湧き上がる。待ちに待った戦いだ。
「おっ、やっと来るんですね。少佐殿」
「お前のここでの無敗伝説も今日で終わりだ。」
偉く自信がこもった言い方だ。
メルトが構えた瞬間一気に静まり返る。
一触即発の空気の中大声が響き渡る。
「残念だが、その戦いは俺も気になるが許可できんな。隊長として」
このガタイが異常にゴツく。
脳筋の権化のような見た目で身長は2メートルぴったしぐらいだろう、髪はまるで1年かけて研究の成果を出して帰ってきた研究者のように無雑作に生えて威厳はないが、戦いのセンスはある。
一般の騎士よりも少し大きめの大剣を背負っている。
時々、見た目にそぐわない、真面目なことを言うのでその時は流石にちょっと引くが確固たる人望があるリーダーにふさわしい男『セイエ・アルバ』である。
この男は四星持ってい「た」男だ。
なんでも、返還したとか何とかだそうだ。
だが、実力は認められていて、隊長という立場に就任されている。
急に止められ、メルトが焦る
「どうしてですか⁉︎俺はこの日のために一ヶ月修行したんですよ!」
「ハハ、もう一日早く挑むべきだったな。」
「それで、この基地の歴史に加わるほどの対戦を止めるほどの理由って何ですか?」
フツバが剣をしまい、質問する。
「まぁ、察しはついてると思うが、フツバに星認試験の権利が出た。」
「「オォーーーー!」」
「セイニンシケン?」
フツバには何を言っているかサッパリ分からない。
「なっ、お前は騎士の癖に星認試験も分からんのか。…おい、メルト説明してやれ。」
「私ですか?…分かりました。」
メルトが息を落ち着かせたて興奮を抑えた後、喋りだす
「それでは、星認試験とはその名の通り星を持つにふさわしいかを決める試験だ。参加資格者全員にそれぞれの所属基地の近くでの大きな事件を引き受けさせられる。その時件の解決の早さとどれだけ穏便に済ませれるかの二点を基本とした観点で見られ、その結果を元に星を授かると言ったシステムだ。勿論簡単ではなく難しい事件ばかりだ。」
一通り簡単な説明が終わる。
「どうだ?フツバやるだろ?」
少し迷ったがすぐに結果は出た。
「まぁ、僕もこれから騎士として働くのならきっと役立つと思いますし、受けると言う形でお願いします。」
(これから事件に関わりたいなら少しは偉くなってた方が調べやすそうだしな。)
「よーし分かっ」
「「待ってください‼︎」」
急に隊士たちが話を止める
「ここの基地で受けるとなると、その事件って…」
「あぁ、そうなるだろうな…」
(何だ何だ急になんでこんな不穏な空気が流れるんだ?)