三・五章9話 信じれる人
どうもビタミンです。
最近、二件もブックマークが増えましてとても嬉しく思っています。
この章は早く終わらせて次に行ってもっと増えてくれたらなと思います。
でも、この章を雑に扱う気は一切ありませんが。
今回でこの章のメインキャストは勢揃いします。
「何なんだコイツら⁉︎てっきり桃髪髪の子どもはみんな落ち込んでる子かと思ってた」
フツバがちびっ子二人に反撃されているサイトウを見殺しにする。
「やめなさい!やめなさいぃ!ちょっと止めてくださいこの子達を」
顔を四方八方に引き伸ばされ、助けを求めるサイトウ。
埒があかないのでフツバが止めに入ろうと一歩踏み出す。
その足音が耳に届いた瞬間に二人は弄くり回すのをやめて腰に携えた剣に手を当て怯えと怒りと憎しみと悲しみと、濁りきった目でフツバを睨む。
「何もしねぇって!さっきはそっちが襲いかかってきたんだろうが!」
フツバが両手を頭の横まで上げて攻撃の意思をないことを示して警戒を一切緩めようとしない。
その警戒している相手の前でさっきまで仲間のサイトウを弄くり回していたというのに警戒心が半端に身に付いている。
「アトラ、サイトウはどうやらあんまり権力ないこと分かったから頼む」
フツバがサイトウのこの子達から受ける信頼の底は知れたのでもうアトラに頼るしかない。
「……」
「アトラーー」
「……」
「アトラーーーーーーーー‼︎」
「は、はい!」
呆然と元気にハツラツな二人を見ていたアトラは自分が呼ばれている理由を把握しきれていない。
「コイツらにならアレを見せていいだろ?」
フツバが頭を指さして伝える。
「はい、もちらんそのつもりです。ライラさん、あれを」
アトラが柄のない単なる帽子を外してショートの偽黒髪を下ろす。
その行動を何が起こるのかと不可思議そうな目で追う二人。
アトラがライラから謎の白い粉を貰う。
これはパナセアがアトラの髪の隠し方を知った時に渡してくれた染色している物を落とす粉だ。
その白い粉を頭に振りかけると見る見る黒色だった髪が桃色へと豹変していく。
現代人が未確認生物を発見した時かのような目でアトラの変貌を見る二人。
二人は衝撃のあまり、剣を離してしまう。
後ろでサイトウも驚いているが、その後ろにも隠れて驚いている二人が居るのにフツバは気づく。
「私も見ての通り、あなた達と同じく桃髪です。この人達はあなた達に危害を加える様な人じゃない」
アトラが桃髪を整えながら二人を説得する。
二人のフツバとライラに対する警戒が薄くなる。
桃髪の人達が一番分かっている自分たちがこの環境下で人を信じるハードルの高さ。
そして目から伝わる同じ地獄、否それよりもより一層の地獄を味わってきたことが。
綺麗な碧眼の奥には修羅場を乗り越えてきた物特有のエグみがある。
「そんな立て続けに、現れるもんかよ!アンタらも俺達の事を差別しないのかよ!」
所々に含みのある言葉があるが今はその真義を問い詰めるのはやめておこう。
サイトウが後ろから二人をゆっくり抱きしめてあげる。
「この人たちはな、お前達が昔居たセメラルトの桃髪の人々を守ってくれたんだぞ」
「えっ?」
二人が押し寄せてくる信頼たるに値する情報に頭が追いついていない。
人を信じるという行為に慣れていない。
「そろそろ後ろの二人も出てきたらどうだ?俺達が何もしないのは分かっただろ」
フツバが木の影に隠れているもう二人を呼ぶ。
二人は慌てて頭を引っ込めるがもう遅い。
観念して、ゆっくりとフツバの顔の様子を見ながら出てくる。
襟足を伸ばした、ヤンキー味を帯びた髪型の男の子に、可愛い花柄の髪飾りをした女の子が一人出てくる。
この二人は先の二人とは違い、まだ心が安定していない。
今にも泣き出しそうで、未来を迷った目をしている。
今は全員がこの状況について行けていない。
子どもという事もあり仕方のない事だ。
こういう時に今まで面倒を見てきたサイトウは気が利いて
「みんな、一旦サクラ寮に戻ろう。この人たちの事はまた明日話そう。色んな事があって疲れただろ」
サイトウが脳の処理が追いつかない子ども達を優しく引率する。
その言葉に従うまま後ろで怯えていた二人は震えた足で歩き出す。
「ほら、二人も」
サイトウが背中を押してあげながら一緒に歩いて帰る。
ツインテールの女の子は癖なのか両手で両方の髪先を弄っている。
ツーブロックの男の子はというと一度歩き出しはしたが途中で足を止めてフツバの方をまた睨む。
「お前達、名前は?」
今の彼の最大限の声を発する。
その言葉にフツバが反応して左手でピースをして右目から左目へとピースを横に動かしてポーズを決める。
「俺はオトメ・フツバ。お前達よりも何百倍も強い男だ」
後ろからライラが前に出てフツバの横に立つ。
そして一人で手を後ろで繋ぎながら
「私はラーズウェル・ライラ。この世界を変える女よ」
こちらの桃髪は年上なだけあって落ち着くのが早い。
もうしっかりと喋れる様になった最後のアトラが少年の目を真っ直ぐ射抜いて
「私はトローノ・アトラ。あなた達と同じく桃髪でそして、心に信じる人がいる女です」
アトラのその言葉を聞いて、何も言わず少年は歩き出した。
この日、フツバ達はこの運命の出会いをするのであった。
読んで頂きありがとうございました。
最後の締めであった通り、この出会いはのちに大きな意味を成してきます。
なのでこの章は欠かせませんでした。
ここで一つ言いますが、出てきた少年少女達の髪型がオシャレなのはサイトウの計らいで、少しでも自分の髪を素敵だと思って欲しいと思ってした物です。
もちろんこの世界にモデルなんて無いので自分でこの髪型達を思い付いたサイトウは芸術センスの塊です。