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三・五章4話 金の音

どうもビタミンです。

六月も終わりに近づき、自分の六月のサボり具合が露呈してまいりました。

やる時とやらない時の差が自分の問題だなと思いつつ今日も書いていきます。

てか、二章後半のまとめもやらなくちゃ。

夏休みにまとめてするかもです。

 もうかれこれウダマンドラを出て一週間程になる。

 ここは一つの村と村の距離が他の場所より遠く四つ先と聞いていた竹一族の本拠地にはまだ遠そうだ。


「これでやっと二つ目ね!」


 ライラが村の境界線なる部分を飛び越えて村に入る。

 野宿も続いておりきっとウダマンドラでライラが好きな白色の動きやすさと可愛さが両立された服を買っておかなかったら泣き喚いていた所だ。

 仮面もピカピカで臭くなく、パナセアに臭い消しから何までの旅の支度を教えてもらった。

 ガーリンもこれくらい知っているとは言っていたがフツバには言われた記憶が全くなかった。

 この二つ目に当たる村は近くに高い樹木が生えている変わった森があり、それの影が原因なのか村全体がとても薄暗い。

 フツバが地方ではよくあるガラガラな村の様子に通常とは異なる何かを感じ取る。


「ララ、ちょっと待って」


 この物語では古と化した呼び方で率先して進むライラを引き止める。

 ライラは村や町では何度もその呼び方をされているので当たり前に立ち止まる。


「ん?どうしたのー?」


 ライラが引き止めるフツバの方を振り返る。

 その次の瞬間、


「ライラさん!」


 アトラが思わず本名を叫んでしまう。

 それも無理はない緊急事態だ。

 ライラの後ろから突如として現れた大柄な男がライラの頭を掴まんと手を伸ばしているのだ。

 それに警戒していたあの男が出遅れる訳もなく。

 

「お触り厳禁だぜ!」


 ライラの後ろに高速で回り込みフツバがその男の手首を片手で鷲掴む。

 その男の目は充血しており体の所々に痣がある。

 喧嘩馴れをしている特徴だ。

 ついでに鼻も曲がっている。

 フツバの一瞬の推察は見事に当たり、フツバの高速な先手にも状況反射で手を払おうと自分の方へ手を引く。

 まぁ、ガッチリ掴んでいるので離すつもりはフツバにはない。


「びぇふ!」


 そのまま自分の間合いに留め、脚が弧を描き上段蹴りを男の頭に決める。

 男はどこから出したのか分からない声を出して倒れる。

 その衝撃と地面に衝突した時の振動が見事に脳を震わせ男は気絶する。

 男は気絶すると同時にポケットから大量の金を落とす。

 どうやら金を大量に持っていたらしい。


「ほ、欲しい」


 フツバはもらいたい気持ちを抑えて涎を口に戻し、すぐにこの場からライラを連れて離れる。

 アトラもその後ろを素早く付いてきてくれる。


「何でアイツ急に襲ってきたのよ⁉︎」


 ライラが急な出来事だったので路地裏に入ってから遅れて反応する。

 

「分からねぇよ。考えるなら俺たちの正体を知っていたとか?」


 フツバが自分たちが無条件で襲われる可能性を考える。


「私、間違って名前叫んじゃいました!」


 アトラが自分が正体を口にしてしまった事が原因なのかと間違った反省をしている。


「アトラが呼んだのはアイツが襲おうとした後だろ。順序がそれだとおかしい。だから、間違って呼んじゃったことだけ反省してろ。幸いにも誰も聞かれてないというか周りには誰もいなかったから良かったけど」


 フツバが人の集まる様子のない光景に一安心する。

 それよりも奇妙だ。

 確かに音はあまり立てないようにしていたが周りには住居も有ったし、大量の金の音もした。

 それなら一人や二人が近づいてきても何らおかしくない。

 なのに誰一人として来ないのだ。


「こりゃあ、なんか裏があるなこの町」


 フツバがこの異様な光景が広がる街を不自然に思う。


「フツバさん、どうしますか?」


 アトラは闇を抱える町を見過ごせないようでこの質問にこの町を去るという選択肢はアトラの中ではない。

 つまりこの町をどう助けますかと聞いてきてる訳だ。

 この性格だけはめっぽう逃亡に向いていない。

 が、フツバも見過ごすという選択肢は無かったのでフツバも逃亡には向いていないのだろう。


「俺が一旦町全体を見てくるから。帰ってくるまで何があってもここにいろ」


 フツバが二人を路地裏に身を潜めさせて、一人で捜索に出る。

 

「何があってもここにいます!」


 アトラがフツバの命令に従い、足をその場で強く踏み、アトラの足はその場から一歩も動かなくなってしまった。

 命令を固く捉えられ過ぎたが従ってくれることに問題はない。

 フツバが何も言わず路地裏から周囲に気を配りながら町の中心へと向かっていく。

 少し進んでも人の姿は全くなく、もぬけの空だ。

 ところが更に少し進むと人の気配を感じる。

 そこからは微かに人の声も聞こえる。

 人の気配は複数、大量に感じるのに聞こえる声は一つだけだ。

 町の最奥にある家の残骸の空き地に人が大量に膝まづき、両手を後ろに挙げていた。

 その光景はまるで刑務所だった。

 大勢の前では一人の派手な格好をして男が動き多めで話しており、その周りには幹部のような重鎮が並び話を聞いていた。

 その他にも特に特徴のない、喧嘩痕だけが体や顔に残った男たちが並んでいた。

 そこから死角になるしっかりと建っている家の影から盗み聞きしていたフツバ。

 そのフツバに誰か二人が喋りながら近づいてくる。

 フツバはそれにすぐ気づくとその隠れていた家の中に不法侵入し、息を潜める。

 その二人はどうやら派手な男の一派らしく見回りをしているようだ。


「さっき人が来たって言って入り口に向かったアイツ全く帰ってきてねぇな」


 一人の男がそう駄弁る。


「あぁ、それかそれならもう『金のネマー』さんが少しした後金の音がしたー‼︎って走って向かったぜ。だからそいつらがあの金取り豚野郎を倒せたとしても終わりだ」


 フツバがその言葉にその家をバレるの承知で飛び出す。

 

「おい!誰だ⁉︎」

 

 二人が誰もいない筈の家から飛び出したフツバに驚きながらも叫んで追いかけてくる。

 フツバには金取り豚野郎は倒した記憶があるがネマーさんとやらは倒した記憶がない。

 フツバはほとんどの人なら気配で気づくことができる。

 しかし、あの二人が「豚野郎を倒しても終わりだ」と言うほどの強者ならフツバの探知から逃れる事も簡単だ。

 実際、フツバは人の気配探知は実力のわりにレベルが低い。

 その追いかける二人の声に集会をしていた複数人も異変に気づいてしまった。

 派手な男が重鎮に命令してフツバを追う二人を追わせる。

 フツバは全速力でひたすらにあの路地裏に駆けていった。


読んで頂きありがとうございました。

今回は今までの三・五章とは変わり、町に入っていきました。

ここでは少し章にするほど長くないお話を繰り広げていきます。

あとフツバはまたあの虚無モードになったので前よりも強くなっています。

それではまた次話でお会いしましょう

良ければ、感想、アドバイス、質問、よろしくお願いします

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