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三・五章3話 パナセアとの別れ

どうもビタミンです。

投稿遅れてすいません。

一段落着くと気が抜ける悪い癖が出てしまいました。

もう言ってる間に一年経ちそうなのに全然進んでなくて正直焦ってます。

こんなにモタモタしてらんないですね。

 この一ヶ月間、四豪御雷(しごうみかづち)が訪れ、奇妙な人とも出会い、各々がそれぞれの特技と向き直し、磨いた。

 フツバは度重なる自分のピンチに更なる力を望み、アトラは二人の役に立てるよう必死に機械を作り、考える。

 ライラはもちろんパナセアに薬学の全てを叩き込まれる。

 常人なら耐えれない学習ペース、ヴェーラとは偉大な物でその苦行に一日も休む事なくライラはやり遂げた。

 いや、これはヴェーラの力ではなくライラ自身の並外れた根性なのかもしれない。

 ともかくこの一ヶ月間はフツバ達一行に多大な影響を与えた。

 

「それじゃ、そろそろ出るかぁ」


 フツバが体を伸ばし、体を解す。

 今も変わらずこのウダマンドラは賑やかだ。

 薬の良い匂いが立ち込めており、もう一ヶ月前の出来事の跡はない。

 酒場は泥酔者で賑わい、商売は繁盛しており、ここに指名手配犯が居るなんて誰も考えていない。

 新調した服装に仮面ついでに髪もパナセアに整えてもらった。

 ライラは服装が綺麗になった事に喜ぶことはせず、別れを悲しんで泣き出しそうになっている。

 まるで幼稚園に初めて一人で行く子供のようだった。


「また、きっと会いましょう。師匠ーー」


 パナセアに抱きしめられながらライラは泣きじゃくる。

 フツバを真似た師匠呼びは変わらず、珍しくパナセアも表情に余裕がない。

 翡翠の瞳も潤んでいる。

 

「ライラは充分力を付けた、だから大丈夫。きっとお前たちとはまた会えるよ」


 パナセアがライラの頭をポンポンと二回優しく撫でる。

 

「そうだ、絶対会えるって。俺なんてもう二度と師匠とは会えないんだからなぁ〜。痛って!」


 アトラに手のひらをつねられる。


「フツバさんいくらなんでも黒冗談が過ぎますよ」


 フツバのお茶らけた、笑えないブラックジョークにライラも泣き止んでしまう。

 このパナセアとライラの二人がたったの一ヶ月しか関係を持っていないとはこの場面からは到底想像できない。

 

「今の言葉流石に謝るけど、でも本当にまた会えるよ。この人、死んでも死なさそうだしね」


 フツバがパナセアの若々しい姿を見ながらそう呟く。


「おい、フツバ。お前なんかこの短期間でえらく馴れ馴れしくなったな。それもガーに似た喋り方になり腐りやがって」


「「ガー?」」

 

 聞き慣れない呼び方に思わず三人が聞き返してしまう。


「しまった。この呼び方はもうしないって決めてたんだった」


 パナセアが口を押さえてこんで何かをゴクリと飲み込む。

 三人はその可愛らしい緑髪をした綺麗な乙女姿を見て、お互いに目配せを送ってクスリと笑う。

 

「何だ‼︎その顔は‼︎」


 その揶揄う様子に怒声を飛ばしてくるパナセア。

 

「何でも無いですよー」


 フツバがそっぽを向いてシラを切る。

 酔っているのか照れているのか頬が赤く染まる。

 五英傑の仲の良さを感じた所でフツバが踏ん切りをつける。


「パナセアさんの過去一可愛いところも見れたし、そろそろマジで出るか」


「そうですね」


 アトラがフツバに頷きかける。

 また別れに泣き出しそうになったライラに声をかけたのはパナセアだった。


「ライラ、お前は天才だ。だから自信を持って行ってこい!ちゃんと新聞で見といてやるからもし、フツバやアトラが死んだなんて記事を見たら説教しに行ってやるから待ってろ!」


 いつものパナセア口調に戻り、ライラを励ます。


「はい!きっと師匠の名に恥じぬような活躍をしてみせます!」


 涙を溜めながらなんとか溢さずそう返す。

 

「相変わらず良い目をしている……それからこれを受け取れ」


 パナセアが懐から何かを探り出す。

 それは割れた石板のカケラのような物だった。


「この石板のカケラみたいなのは?」


「石板のカケラだ」


「えっ!本当にそうなんですか⁉︎」


 石板のカケラといわれたが模様がまだこの一カケラだけでは分からない。


「ていうかお前はこれ持ってないのか?」


 パナセアがフツバに聞く。


「ん?そんな感じみたいなのは確かに師匠が持ってましたけど、まだ家に置いてありますよ」


「ならもし寄る機会があれば取っておけ。これはお前達のためだ」


「わっかりました」


 フツバがその意味を特に持たなそうなカケラにパナセアが言ってるからという理由で頷く。


「お前達が今後どうなるか楽しみにしておく、それ行ってこい!」


 パナセアがドンとライラの背中を押してやる。

 その倒れかけてきたライラをフツバとアトラが受け止める。


「行こう、姫さん」


 フツバが優しく笑いかける。

 ライラも笑い返してしっかりと立ち上がる。


「じゃっ、行ってきまーす!師匠!」


 ライラがパナセアの方に大きく手を振り、後ろ歩きで去っていく。

 パナセアもそれに柄にもなく振り返してライラの姿が見えなくなるまで見守ってくれている。

 

「あの人意外と可愛いとこあるな」


 フツバが完全に姿が見えなくなった事を確認した上でライラに話す。


「私は別に意外じゃ無いわよ!だってあの人勉強中も可愛いところがでてたわよ。例えばペプシドレペスっていう薬草をペプシドペレスって言ってたり、薬品作る時にここは慎重にとか言いながら躓いて台無しにしたりね」


「そうなんですね。実は天然なんですか。面白い人ですね」


 アトラがパナセアの天然エピソードに笑みを溢す。

 

「私ね、、、やっぱりやめとく」


 盛大な告白があるかのような切り出しをしたくせに途中で止める。


「なんだよ⁉︎そこまで言われたら気になるって」


 フツバがその態度に怒って言わせようとする。


「ダメ、絶対言わないって決めた」


「何ですがそれ。ライラさんらしいっちゃらしいですけど」


 アトラが三人でのこうした会話も久しく感じる。

 

「それじゃあ次は竹一族の所ね‼︎」


 ライラが真っ直ぐ行く末を指さす。

 その元気な様子に安心するフツバ。

 

「その前に一個ある所に寄るぞ」


 フツバが行く末を訂正する。


「そうなの⁉︎どこよ⁉︎」


「ひーみーつー」


 フツバが距離の近いライラを押さえつけながらそっぽを向いて耳を貸さない。

 三人は仲良く、隣町へと足を進めて行くのだった。

読んで頂きありがとうございました。

終わり方がなんか最終話みたいでしたね。

次は書くのは、、、皆さんもあの時の!ってなる奴です。

ここも大事になります。というか無駄な所を削ぎ落としてやってますので全部大事ですね。

それではまた次話でお会いしましょう

良ければ感想、アドバイス、質問、よろしくお願いします。

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